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監督解任で世界は激変…ハマーズで苦しんだセバスティアン・アレがアヤックスに移籍決定!

セバスチャン・アレのアヤックス移籍が決まりました。と、いわれても、ピンとこない方が多いかもしれません。2019年の夏に、フランクフルトからウェストハムに移籍した際の4500万ポンドはクラブレコード。当時のハマーズは、2列めをまかせたかったアルナウトヴィッチをトップに据えており、点取り屋の獲得が急務でした。2018-19シーズンのブンデスリーガで29試合15ゴールという素晴らしい数字を残したストライカーは、190cmの長身を活かした空中戦の強さがセールスポイントで、いかにもプレミアリーグ向きの選手でした。

2019-20シーズンを迎えたマヌエル・ペジェグリーニ監督は、開幕節のマンチェスター・シティ戦からアレを最前線で起用しました。プレミアリーグデビュー戦は0-5という惨敗でしたが、3節のワトフォード戦で2ゴールをゲットしてシーズン初勝利に貢献。8節のクリスタル・パレス戦まではプレミアリーグ7戦4ゴール1アシストと順調で、チームも3勝3分2敗の8位とまずまずのポジションをキープしていました。

風向きが変わったのは、ここからです。クリスタル・パレスとのホームゲームを1-2で落としたイーストロンドンのクラブは、年末までの11試合を2勝1分8敗という絶不調に陥ってしまいます。アレは、この間1ゴールのみ。ペジェグリーニ監督は解任され、デヴィッド・モイーズ監督が戻ってきました。新監督の下で戦った年明けからの10試合は2ゴール1アシストと冴えず、チームも2勝2分6敗で残留争いを続けていました。コロナウィルスの蔓延による中断まではレギュラーだったアレは、7月から3勝3分1敗と立ち直ったチームでは常にベンチスタートで、5試合ノーゴールという苦いフィナーレを甘受するしかありませんでした。

初年度は、プレミアリーグ32試合7ゴール2アシスト。空中戦218勝はリーグTOP、206敗は4位で、これらの数字を見るだけでもアレがどんな役回りを担っていたかがよくわかります。2年めは出遅れ、先発出場が増えたのは11月に入ってからでした。ボーウェン、ソーチェク、フォルナルス、マイケル・アントニオを中心とした機動力が高いフットボールを志向したモイーズ監督は、7勝5分5敗で10位と好位置キープ。自信を深めた指揮官にとって、プレミアリーグ16試合3ゴールのポストプレーヤーは、必要な存在ではなくなってしまったのでしょう。

ヨーロッパリーグ出場権をめざすハマーズは、アヤックスから受け取る移籍金2000万ポンド(約28億円)を元手に、ボーンマスのジョシュア・キングなどスピードを武器とするアタッカーを狙っているといわれています。新天地に向かったアレは、「チャンピオンズリーグに出場し、常にタイトルをめざせるクラブだ。勝者のメンタリティは自分にふさわしい」とコメント。絶対的エースのタディッチや大ベテランのフンテラールなど、5人のアタッカーとポジション争いをしなければならず、前途洋々とはいえません。

評価してくれていた指揮官が解任となり、環境が激変…セバスチャン・アレは、香川真司が舐めた苦い味を同じ監督の下で体感する羽目に陥ってしまったようです。2019-20シーズンに218回も空中戦で勝ったのに、ヘディングでのゴールはゼロ。今季のウルヴス戦の1発が唯一、頭で叩き込んだゴールでしたが、3-0で勝っていたゲームの追加タイムで決めても、覚えているファンは少ないでしょう。プレミアリーグでは真価を発揮できなかったものの、26歳ならこれからがピークです。フンテラールの後継者として、サポーターに語り継がれる日が来ることを祈っています。(セバスチャン・アレ 写真著作者/Steindy)


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