偏愛的プレミアリーグ見聞録

「パンデミックで受けた財政的な打撃があり、もう1シーズンはチャンピオンズリーグから遠ざかることを考えると、大金が動くと期待すべきではない。ダヴィド・ルイスは契約満了で退団。エンケティアの残留も疑問符。彼の契約は、アレクサンドル・ラカゼットと同様に2022年夏で終わる。ウィリアンも契約が2年残っているにもかかわらず、退団となるかもしれない」

「ウィリアム・サリバは、ニースへのローン移籍から復帰し、トップチームでの活躍が期待されている。マテオ・グェンドゥージはヘルタ・ベルリンに、ルーカス・トレイラはアトレティコ・マドリードにいるが、どちらも出番はあるだろう。マーケットに参入する機会があるとすれば、以前から検討していた攻撃的MFの強化だ。ウーデゴーアを獲得できなかった場合は、そのポジションを優先することになるはずだ」

「フルバックのエリアと前線にもいくつか動きがあるかもしれない。ヤングスターのフォラリン・バログンは最近になって新契約を結んだばかりだが、ラカゼットが退団すれば、ミケル・アルテタは主将のピエール＝エメリク・オーバメヤンの競争機会を増やす可能性がある」

イギリスメディア「スカイスポーツ」が、「summer transfer plans analysed」と題した企画を連載しています。プレミアリーグの全クラブの補強計画について分析するレポートで、降格クラブを除く17本が近日中に出揃う予定です。冒頭に引用したのは、「スカイスポーツニュース」でレポーターを務めるダルメシュ・シェスさんによるアーセナルのアナライズです。マンチェスター・シティとチェルシーの次に少ない39失点でシーズンを終えたチームは、明らかに攻撃に問題を抱えています。

トータル55ゴールは9位、シュート459本は11位、オンターゲット152本は12位。1試合あたりのドリブル成功数7.8回は17位で、セットピースからの6ゴールは18位に沈んでいます。カウンターから決めたのは1ゴールのみで、ミドルレンジからの3ゴールは13位。どこをどう見ても、プレミアリーグでTOP4を争えるレベルではありません。「創造性の欠如は大きな問題であり、個人レベルでも明らか」と語った「スカイスポーツ」のアナリストは、「プレミアリーグで5アシスト以上はゼロ。トップクリエーターはブカヨ・サカで、チャンスメイクが38回あるけど、この数字ではTOP40にも入らない」と指摘しています。

前線の攻撃力と中盤の強化が必須となるアーセナルは、どんな選手を獲得すべきでしょうか。「スカイスポーツ」のオリヴァー・イェウさんのリストをチェックしてみましょう。中盤の右サイドには、チャンピオンシップを制したノリッジで39試合15ゴール17アシストという驚異的なスタッツを残したエミリアーノ・ブエンディア。主力が離脱するセントラルMFには、今季プレミアリーグで2位となるタックル成功数104本を記録したブライトンのイヴ・ビスマ、シェフィールド・ユナイテッドで攻守をコントロールしたサンダー・ベルゲといった名前を挙げています。

ウーデゴーアとダニ・セバージョスがマドリードに戻り、ジャカにローマ移籍の話がある中盤においては、メートランド＝ナイルズ、グエンドゥジ、ルーカス・トレイラの取捨選択も重要になってきます。ニューカッスルでプレミアリーグ7試合連続ゴールを決めたジョー・ウィロックは、攻撃のオプションとして楽しみな存在になりました。ティアニーがいないと弱体化する左のフルバックは、サウサンプトンのベテランSBライアン・バートランド。ベジェリンとの蜜月が終わりを告げるなら、右SBのピックアップも必要です。

昨夏のマーケットで攻撃的な選手を取り逃し、エジルやパパスタソプーロスが余剰戦力化したガナーズは、26年ぶりに欧州のステージを失ったシーズンの前にマーケットで出遅れるわけにはいきません。まずは、補強資金の確保。「誰を獲るか」の前に、「誰を売るか」をはっきりさせなければなりません。ルナルソン、ベジェリン、コラシナツ、マブロパノス、ルーカス・トレイラ、ジャカ、メートランド＝ナイルズ、グエンドゥジ、ウィリアン、ネルソン、ラカゼット、エンケティア…エドゥ＆アルテタのジャッジに注目しましょう。