偏愛的プレミアリーグ見聞録

GKオナナ、DFチェリク、ウィリアム・サリバ、ガブリエウ・マガリャンイス、ティアニー。中盤センターにトーマス・パーティーとイヴ・ビスマ、2列めはニコラ・ペペ、ブエンディア、サカ、最前線にオーバメヤン。「フットボールロンドン」が、来季プレミアリーグにおけるアーセナルの基本フォーメーションを予想しています。4つの見慣れない名前は、9000万ポンドの補強予算を預かるエドゥTDのターゲットです。

テイシャン・デニラン＝アライン記者は、「イヴ・ビスマはトーマス・パーティーにとって完璧なパートナー」「フロント4は創造性がある」「スミス・ロウとマルティネッリはベンチからでもインパクトを与えられる」と評価し、アーセナルはチームとしての厚みを増すと主張しています。ブエンディアとイヴ・ビスマが3500万ポンド、リールの右SBゼキ・セリクは1300万ポンド、12ヵ月の出場停止という重いペナルティを喰らったアンドレ・オナナは700万ポンド。まずは、それぞれのディールの状況について、現地メディアのレポートをピックアップしてみましょう。

ノリッジで39試合15ゴール16アシストという出色の数字を残し、チャンピオンシップ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーに輝いたエミリアーノ・ブエンディアは、この夏のガナーズが最も重視しているターゲット。「スカイスポーツ」によると、プレミアリーグに昇格するクラブは既に3000万ポンド（約46億5000万円）を蹴っており、ガナーズは3500万ポンドに引き上げた2度めのオファーを提示済みだそうです。

2018年にノリッジがヘタフェから獲得した際には100万ポンド未満だったブエンディアには、4000万ポンドのタグが付いています。ガナーズが要求額を呑めば、ニコラ・ペペ、オーバメヤン、ラカゼット、エジル、ジャカに次ぐ歴代6位のビッグディール。早期に決めるべく積み増すか、支払いを減らすべく時間をかけるか。「3500万ポンドを超えればアストン・ヴィラは撤退」といわれているなかで、エドゥTDの交渉術が注目されています。

ブライトンのポール・バーバーCEOは、「適正なオファーが届いて、選手が望むなら受け入れる」とイヴ・ビスマの移籍を容認しており、評価額はブエンディアと同額の4000万ポンドといわれています。リヴァプールも狙っていると報じられたマリ代表MFは、アーセナル入りを望んでいるとのこと。ジャカのローマ移籍が噂されるなか、より守備力が高いセントラルMFを加えることができれば、トーマス・パーティーの攻撃センスが活かせるようになるでしょう。

ベジェリンの移籍が決まったら、後釜として押さえるといわれているのがリールのザキ・チェリクです。10シーズンぶりのリーグアン制覇に貢献したトルコ代表は、契約期間が残り2シーズンとなっており、単独で交渉できれば手頃なお値段でディール成立に持ち込めるでしょう。ワン＝ビサカのバックアッパーを探しているマンチェスター・ユナイテッドと、セルジュ・オーリエの退団に備えたいトッテナムは、本気で獲りにくるでしょうか。プレミアリーグの争奪戦となり、移籍金が高騰すれば、最初に降りるクラブとなってしまいそうです。

マット・ライアンがブライトンに戻ったため、GKも懸案のポジションとなっていますが、アヤックスのオナナが700万ポンドなら手を伸ばすしかないでしょう。禁止薬物となっているフロセミドの陽性反応が出て、2月に出場停止処分を下された25歳の守護神は、CAS（スポーツ仲裁裁判所）への提訴によってペナルティの軽減をめざしています。クラブでのトレーニングも禁止されているオナナが半年の短縮を勝ち取れれば、9月になる前にレノとのレギュラー争いをスタートさせることができます。

グエンドゥジが1200万ポンド、ジャカは2150万ポンド、ベジェリンが2000万ポンド。彼らを希望額で売りさばき、ルーカス・トレイラ、メートランド＝ナイルズ、マヴロパノス、コラシナツで4000万ポンド程度を加えられれば、4人の新戦力を獲っても収支はゼロに近づきます。間違いなく、例年よりも忙しい夏。現地メディアが語るさまざまな物語の主役となりそうなアルテタ＆エドゥの動向を、しっかり追いかけていければと思います。（アンドレ・オナナ　写真著作者/Femke Kruize）