偏愛的プレミアリーグ見聞録

トッテナムの提示額は1290万ポンド（約19億8000万円）にアドオン260万ポンド（約4億円）。ボローニャの評価額は2000万ユーロ（1720万ポンド＝約26億4000万円）で、両者の間には170万ポンドほどのギャップがあるようです。「スカイスポーツ」が、セリエA12位のクラブがプレミアリーグ7位のオファーを蹴ったと報じています。右SBとCBをこなす富安健洋は、セルジュ・オーリエを手離そうとしているクラブにとっては、うってつけのターゲットです。

コートジボワール代表のSBが退団となれば、本職の右サイドはマット・ドハーティーのみ。スパーズ移籍初年度は、本領発揮とはいかなかった元ウルヴスのベテランは、戦術をよく知るヌーノ・エスピーリト・サント監督の就任によってパフォーマンスが高まるはずです。ボローニャでは、右とセンターで同等の評価を得ていた富安健洋は、ドハーティーとポジションを争いつつ、アルデルヴァイレルトやダヴィンソン・サンチェスをバックアップするという立ち位置になるのでしょうか。チャレンジしがいのある話ですが、右SBとCBといえば、補強必至となっているビッグクラブがもうひとつあります。

マンチェスター・ユナイテッドの右はワン＝ビサカのみ。タックルのスペシャリストに何かあれば、トゥアンゼベが穴を埋めるという建て付けは放置できないリスクとなっています。ヴァランやパウ・トーレスを狙っているといわれるCBも、不安定なリンデロフと負傷が多いバイリーがバックアッパーでは不安です。アトレティコ・マドリードのキーラン・トリッピアーも2000万ポンド以内で獲れる可能性があるようですが、ユーティリティーが高い22歳に方向転換してもおかしくありません。

「マンチェスター・ユナイテッドもタケヒロ・トミヤスの獲得を検討している」と報じているのは「アスレティック」とマイナーメディアで、「ただし彼はトップターゲットではない」と追記されています。スパーズのマネージングディレクターに就任したファビオ・パラティチさんは、ユヴェントスにいた頃から「長らく日本人選手を高く評価している」といわれており、獲得に賭ける熱量は格段に上でしょう。

「90min」は、セリエAの最新事情を知らないプレミアリーグファンに向けて、日本代表DFのストロングポイントを解説。「2020-21シーズンにCBで17試合、右SBで14試合、左で2試合プレイしている」「空中での能力は、両方のペナルティエリアで印象的。昨季のセリエAで90分あたり3回弱の空中戦に勝っただけでなく、2つのゴールを記録している」「22歳は両足を使える。獰猛な身体性、守備意識、スピード、技術力の組み合わせによって、バックラインのどこでもプレイできる」と絶賛し、「投資したくない人物はいるのか？」と問いかけています。

1回めのオファーで200万ポンド弱まで差が詰まっているのであれば、ライバルクラブの横槍が入らなければすんなり決まるはずです。「アスレティック」は、「1460万ポンドとアドオンで充分」と主張しており、プレミアリーグのライバルがオファーをかぶせてくる前に決めるべきでしょう。

ご本人はプレミアリーグにチャレンジしたがっており、第一希望はスパーズ。「フォイスを売ったお金をまわしてほしい」「素晴らしいサインになる」「ヌーノがバックスリーを選択したら、完璧な右のCBになる」と盛り上がるノースロンドンのサポーターたちは、朗報を心待ちにしているようです。