偏愛的プレミアリーグ見聞録

アーセナルの経営ボードとエドゥTD、ミケル・アルテタ監督の間では、あらかじめスケジューリングされていたのでしょう。ユーロ2020が終わるまでは本人が動けないので、ブライトンとの交渉期間。イングランドVSクロアチアの直後、6月16日に4000万ポンドのオファーを断られると、ノックアウトラウンド進出が決まった25日に、4700万ポンド（あるいは4500万ポンド＋アドオン）の2回めを却下されています。この段階で、昨季プレミアリーグ16位のクラブが5000万ポンドというラインを譲らないことがわかりました。

プレミアリーグで36試合しか出場経験がないベン・ホワイトの移籍金は、ニコラ・ペペ、オーバメヤンに次ぐ高額ですが、アーセナルに躊躇する雰囲気はありませんでした。イングランド代表がファイナルに駒を進めたため、交渉は長引きましたが、エドゥTDは3度めのオファーで着地すると確信していたはずです。7月15日に、ウィリアム・サリバがマルセイユにローン移籍すると発表。このニュースは、ベン・ホワイトの獲得を決めにいくグリーンシグナルに見えました。

その1日後、「スカイスポーツ」のトランスファー・ライブブログが「GUNNERS FINALLY GET WHITE」と速報を配信。これを追いかけた「BBC」「テレグラフ」も、移籍金は5000万ポンド（約76億円）と報じています。ベン・ホワイトがバカンスを終えて帰ってくるのは26日。ノースロンドンに直行した23歳のCBがメディカルチェックを無事に通過すれば、ほどなく公式サイトで正式発表がなされるでしょう。彼の帰国日から逆算してスタートしたかのような5週間のプロジェクトは、計算し尽くされていたように見えるポール・トゥ・ウィンでした。

ひと足早く入団したヌーノ・タヴァレスが、レンジャースとのフレンドリーマッチで同点ゴールをゲット。ホールディングのロングフィードをトラップして強引にボックスに持ち込み、右足でねじ込んだ一撃は、この夏3人めの入団を歓迎する祝砲のように感じられました。ベン・ホワイトが帰ってくる前に、隔離期間をクリアしたアルベール・サンビ・ロコンガの入団がアナウンスされるのではないでしょうか。

マーケットの主役となっているアーセナルは、3人の新戦力以外にもさまざまなニュースとゴシップを生み出しています。エクトル・ベジェリンのインテル移籍は、買い取りオプション付きのローンを希望するイタリア王者と、移籍金1500万ポンドを主張するプレミアリーグのクラブの綱引きとなっているとのこと。2140万ポンドのフセム・アワール獲得は、スパーズとのノースロンドンダービーといわれていますが、昨日の「ミラー」は「レアル・マドリードのウーデゴーアが獲得可能になったら急襲する」と伝えています。

彼ら以外の前線の獲得候補は、プレミアリーグで実績があるジェームズ・マディソンとタミー・アブラハム。ベジェリンが出ていくなら、パリのティロ・ケーラーが後釜候補となり、ルベン・ネヴェスを押さえられればグラニト・ジャカのローマ移籍が決まるともいわれています。ジョー・ウィロックとネルソンは出ていくのか。GKはどうなるのか。デッドラインデーは8月31日。この先6週間、アーセナルに関するニュースが途切れることはなさそうです。