偏愛的プレミアリーグ見聞録

事実だとすれば、由々しきことです。「ザ・タイムズ」が、「アーセナルが、オーバメヤンとラカゼットの売却を検討している」と報じたのは13日。その後の4日間で、ガボン代表ストライカーの移籍がフォーカスされるようになり、アルテタ監督が売りたがっていると伝える記事が急激に増えています。

「スカイスポーツ」「フットボール・ロンドン」「ミラー」「talkSPORT」「90MIN」「ESPN」「EUROSPORT」。有力な売り先として挙げられているのは、11億5000万ポンド（約1730億円）もの巨額負債が話題になっているバルセロナで、いくつかのメディアは「フィリペ・コウチーニョとのスワップ」と主張しています。

話の根拠とされているのは、「昨季プレミアリーグで29試合10ゴール3アシストと不振だった」「プレシーズンマッチで4試合ノーゴールと精彩を欠いた」「プレミアリーグ開幕節のブレントフォード戦を病気を理由に欠場した」「アルテタ監督が、2人のストライカーがいない理由を明確にしなかった」といったところでしょう。「EUROSPORT」は「今の状態では、週給30万ポンドは厳しい」と書き立て、「talkSPORT」は「指揮官とキャプテンは目を合わせない」といっています。

アーセナルが、オーバメヤンとの契約延長を発表したのは11ヵ月前。今回の件は、よくあるゴシップかもしれませんが、エドゥTDが動き始めているのだとすれば、エースを残留させたのは失敗だったと白状しているようなものです。このチームは、ベテランを軽視するようになったのでしょうか？オーバメヤン、ラカゼット、ジャカ、レノ、セドリク・ソアレス、エルネニー…28歳以上で放出の噂がないのは、トーマス・パーティーのみ。ダヴィド・ルイスは退団し、ウィリアンはたった1年で見限られようとしています。

ベテランに対する厳しさだけでなく、アルテタ監督が来てから獲得した選手が全員レギュラーとして活躍していないのも気になります。パブロ・マリ、セドリク・ソアレス、ガブリエウ・マガリャンイス、ウィリアン。度重なる負傷で、プレミアリーグの先発出場が18試合に留まったトーマス・パーティー以外は、持てる力を発揮できずにシーズンを終えた感があります。

今年の夏に加わったヌーノ・タヴァレス、アルベール・サンビ・ロコンガ、ベン・ホワイトは、どうなるでしょうか。5000万ポンドを投じて連れてきたベン・ホワイトがベンチに追いやられれば、「実績のないCBに高額の移籍金を払ったから、攻撃力を高めるという課題を解決できなくなった」という批判の声が高まるのは間違いありません。

やんちゃが過ぎたグエンドゥジと、不満を爆発させたウィリアム・サリバが再びチームに合流することはなさそうです。厳格な指揮官は、ひとたび見切った選手に手を差し伸べることなく、スカッドをむやみに小さくしているように見えます。デッドラインデーまで残り2週間を切ってから、ストライカー刷新などという噂が新たに飛び交うのはなぜでしょうか。昨季プレミアリーグで9位の55ゴールしか決められなかったチームは、守備陣をステイさせてでも前線を強化すべきだったはずです。

「エドゥは、移籍交渉において完全に混乱している。アーロン・ラムズデール…2シーズン連続でクラブがチャンピオンシップに降格したGKを獲得できないとなれば、アーセナルは何をいわれるだろう。少年時代からティエリ・アンリを愛し、ロンドンに残り、アーセナルに行きたがっていたタミー・エイブラハムとの契約を成立させることができなかった。フセム・アワールは、1月からオファーを待っているが何も届いていない」
「戦略とは何か？彼らはベン・ホワイトに5000万ポンドを費やした。そのお金で強化できた領域がたくさんある。ひとりの選手に5000万ポンドを使っても、魔法の杖を振るうことはできない」（アレックス・クルック/talkSPORT）

「何かが歪んでいる。何かが正しくない。ブレントフォード戦の直前まで、オーバメヤンとラカゼットはスタメンで出場する予定だったのに、突然抜けてしまった。もし彼らが病気だというなら、病状を教えてほしい。いくつかの場で、内部抗争があるように感じる。アーセナルには必要のないことだ。フィールド上のパフォーマンスにおいて、真剣に取り組まなければならないことがあるからね」（ケヴィン・キャンベル/スカイスポーツ・ニュース）

これらの声に、エドゥTDとアルテタ監督はどう応えるのでしょうか。得点力の向上が最優先課題のチームが、フレンドリーマッチで揮わなかったエースを開幕してから売りに出すという迷走は、メディアの作文だと信じたいのですが…。