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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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プレミアリーグ2021-22シーズン・夏のトランスファーマーケット総括 ②補強総合評価

プレミアリーグのトランスファーマーケットを総括するレポートの第2弾は、リーグ制覇やTOP4フィニッシュをめざすクラブの補強と売却の総合評価です。ビッグ6と呼ばれていたクラブが、いずれも懸念材料を残してマーケットを終えたなかで、最も満足度の高い補強を実現したのはブレンダン・ロジャース率いるレスターでしょう。

最大の成果は、プレミアリーグのビッグクラブから狙われていると報じられていたジェームズ・マディソンとユーリ・ティーレマンスのプロテクト。新戦力のチョイスも、意図が明確でした。34歳になったジェイミー・ヴァーディーの後継者として、オーストリアブンデスリーガ28試合27ゴールで得点王に輝いたザルツブルクのパトソン・ダカ。リールから獲得した逸材ブバカリ・スマレは、エンディディを欠くと不安定になりがちな中盤センターを落ち着かせてくれるはずです。

懸案だった左SBには32歳になったライアン・バートランドを加え、長期離脱のフォファナの穴を埋めるのは同じくセインツのヴェステルゴーアです。デッドラインデーにアデモラ・ルックマンを獲ったのは、サイドのスペシャリストが手薄と判断したからでしょう。失敗できない後方のポジションはベテランで締め、長期的な視点で強化したかった前線は23歳以下の有望株。2年連続でプレミアリーグ5位に留まったクラブは、満を持して6年ぶりのCL出場権獲得にチャレンジします。

ビッグ6を見ると、納得感No.1はルカクとサウール・ニゲスが加わったチェルシーです。欧州王者に不安を覚えるポイントは1点のみ。セヴィージャのジュール・クンデを獲得できなかったのに、クル・ズマを売却した3バックは、期待の新鋭トレヴォ・チャロバーが失速したら苦しくなるかもしれません。

とはいえ、ルカクが加わった前線は、苦しい初年度を過ごしたカイ・ハヴェルツのフィット感が高まっており、得点力は飛躍的に向上するものと思われます。ツィエク、ハドソン=オドイ、ヴェルナー、プリシッチらが本領を発揮すれば、マン・シティとのマッチレースとなるのではないでしょうか。

ヴィラから来たばかりのグリーリッシュが素晴らしいパフォーマンスを見せているマン・シティは、ハリー・ケインの獲得失敗がマイナスポイントですが、戦術に長けたペップがあっさり克服してしまう予感があります。デブライネを前に据える偽9番は、グリーリッシュのサポートで鋭さを増す可能性大。あるいは好調のフェラン・トーレスが、アグエロの椅子にすっぽり収まってしまうかもしれません。

プレミアリーグ開幕から3戦で1ゴール3アシストのガブリエウ・ジェズスは、センターでも右サイドでも機能しそうです。バンジャマン・メンディのトラブルは想定外でしたが、ジンチェンコ、ジョアン・カンセロ、ラポルテ、ナタン・アケをまわせば問題ありません。今季のプレミアリーグは、ペップとトゥヘルのバトルにセカンドグループがどこまでついていけるかという展開になるのではないかと思われます。

昨季は2位でフィニッシュしたマンチェスター・ユナイテッドは、ジェイドン・サンチョがフィットするかどうかと、中盤センターの守備力に不安があります。デクラン・ライスやエンディディのような存在を加えられれば、9年ぶりとなるプレミアリーグ制覇への期待感が高まったのですが…。このうえは、13年ぶりに戻ってきたクリスティアーノ・ロナウドに、ファーガソンラストイヤーのファン・ペルシ無双の再現というマンガ的なファンタジーを期待したくなります。

一昨年の王者リヴァプールは、イブラヒマ・コナテで最終ラインを補強するのみという節約プランでマーケットを終えました。ワイナルドゥムとシャキリがいなくなったにも関わらず、前も中盤もステイとしたチームは、「エリオットがブレイク、カーティス・ジョーンズも成長し、チアゴ・アルカンタラ、ナビ・ケイタ、チェンバレン、南野拓実がいよいよ真価を発揮する」といった条件の大半を満たさなければ優勝は難しいのではないでしょうか。

トッテナムは、クリスティアン・ロメロ、エメルソン・ロイヤル、ブライアン・ヒルといった即戦力を獲得しましたが、ガレス・ベイル、ラメラ、シソコ、ヴィニシウス、アルデルヴァイレルト、セルジュ・オーリエといった退団組の顔ぶれを並べると、強化に成功したと胸を張ることはできません。ヌーノ監督は、エンドンベレを戦力としてカウントせざるをえないでしょう。プレミアリーグ3連勝スタートのチームの現実的な目標は、EL出場権獲得とヨーロッパカンファレンスリーグの初代王者ということになりそうです。

アーセナルの補強は、抜けた選手、売るつもりだった選手の代役ゲットと考えれば理解しやすくなります。ラムズデールはエミリアーノ・マルティネス、ベン・ホワイトはダヴィド・ルイス、富永健洋はベジェリン、ヌーノ・タヴァレスはコラシナツ、サンビ・ロコンガはダニ・セバージョス、ウーデゴーアは彼自身。これらの組み合わせのなかで、明確に強化されたといえるポジションがないのが、今季プレミアリーグ最高額の大型補強に伴うモヤモヤ感です。

新戦力はいずれも若い選手なので、大化けする可能性があるというのが唯一かつ最大の希望です。昨季プレミアリーグで8位の55ゴールに終わったチームは、攻撃的なポジションにワールドクラスを入れるべきだったと思います。3連敗、ノーゴール、最下位という最悪の展開となったチームは、ヨーロッパリーグ出場権に届くのか。実績や格ではなく、戦術に合った選手を揃えたというなら、ピッチでそれを証明しなければなりません。

補強した顔ぶれと残った懸念材料から、ビッグ6のマーケットでの立ち回りを評価するなら、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、トッテナム、アーセナル、リヴァプールといった順番でしょうか。とはいえ補強は水物、期待外れや意外な大当たりに出会えるのも、プレミアリーグファンの楽しみのひとつです。2ヵ月後あたりに、中間テストの結果発表をやりたくなりますね。11日の再開が待ち遠しいです。


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“プレミアリーグ2021-22シーズン・夏のトランスファーマーケット総括 ②補強総合評価” への2件のフィードバック

  1. n より:

    節約の対義語がチェルシーと思うくらい財布を気にしない補強スタイルですが、今季はとても上手く収まりました。充分2チームは組めるスカッドなので、2冠3冠の期待も高まります。

  2. アイク より:

    毎日更新ありがとうございます。
    いやぁ…ライバル達のビッグディールが眩しい今日この頃、まさかと思ってたら本当にコナテだけでした。
    レギュラーに競争を促すためにも補強はある程度必要と思うのですが。昨年の連鎖的なアクシデントは仕方ないとしても、移籍市場への消極的姿勢によって黄金期を自ら終わらせてしまうのではと心配になります。
    まぁでも、ボスには十分な内部競争が見えていると信じて、今シーズンも楽しみます。

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