イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「プレミアリーグは憧れ」…セインツとストークがスペイン人ストライカーを続々獲得!

「プレミアリーグでプレイするのが子どもの頃からの夢だった。サウサンプトンには素晴らしいトレーニング施設とスタジアムがあり、まさにビッククラブだ。プレースタイルも自分に合っている。早くチームに貢献したい」。クーマン監督のセインツが、今年の夏もおもしろい選手を獲得しました。昨季、プレミアリーグで入団してすぐにチームに溶け込み、セインツの核弾頭としてゴールを重ねたグラツィアーノ・ペッレもヒットでしたが、「マラガのラウール」ことファンミも期待できそうです。

完全移籍で契約期間は4年、移籍金は推定510万ポンド(約9億7000万円)。スペインユース代表の各年代で次々とゴールを決め、2011年と2012年にはU-19欧州選手権でスペインの連覇に貢献しています。昨季、リーガ・エスパニョーラで9位だったマラガは、上位クラブのなかではビルバオと並んで最もゴールの少ないクラブでしたが、34試合に出場したファンミは8ゴールをゲット。4月に行われたサンチャゴ・ベルナベウのレアル・マドリード戦では、敗れはしたもののDFラインの裏に入ってマラガ唯一のゴールをヘディングで奪っており、最終的にはチームのリーディングスコアラーとなっています。

ファンミという愛称は、本名のフアン・ミゲル・ヒメネス・ロペスの頭から取ったのでしょうか。U-19のスペイン代表を中心にいくつかの試合をチェックしましたが、ゴール前に入ってくるタイミングのよさとキックの正確さが光る選手で、最前線で体を張ってポスト役を務めるペッレとはまた違うタイプです。169センチという小柄なテクニシャン、ファンミとフィジカルが強いペッレというコンビは、1年先にストークに加わった170センチのボージャン・クルキッチがクラウチの後ろをかき回したように、機能するのではないでしょうか。早期にフィットするスペイン人選手が多いプレミアリーグだけに、セインツの攻撃力UPのカギを握る22歳の活躍が今から楽しみです。

ストークといえば、こちらもスペイン人選手の入団を発表しました。ボージャン・クルキッチ、ムニエサに続く3人めとなるスペイン人は、酒井宏樹や清武弘嗣がいるハノーファーに所属していたFWホセルです。昨季のレコードは30試合出場で8ゴール、契約期間は4年、移籍金570万ポンド(約10億8000万円)。数字はことごとくファンミと似ており、ホセ・ルイス・サンマルティン・マトで「ホセル」という愛称も似た者同士ですが、こちらは191センチの長身ストライカー。レアル・マドリードのBチームであるカスティージャで頭角を現し、トップチームでもゴールを記録しているホセルは、ヘディングがうまく、ハノーファーのPKキッカーでもありました。「プレミアリーグでプレイしたいという野望がずっとあった。ここは素晴らしいクラブだ」と語る25歳のストライカーは、来季はボージャン・クルキッチとのスパニッシュ・コネクションで、ストークをさらにやっかいなクラブに仕立ててくれるはずです。

20代前半の選手たちがプレミアリーグへの憧れを口にするのを聞くと、彼らが日本でいう小~中学生の頃、アーセナルの無敗優勝があり、マンチェスター・ユナイテッドの欧州制覇があったのだなとあらためて思います。20代後半の本田圭佑や長友にとってのそれは、1990年代に強かったミラノのクラブやユーヴェ、ローマ、つまりはセリエAなのでしょう。われわれのように、テレビとPCを通じてサッカーを観ている者は、ついつい「チャンピオンズリーグ出場権がないといい選手は獲れない」などと決めつけてしまいがちです。しかし選手たちはそれだけで自分の将来を選択しているわけではなく、子どもたちに憧れの気持ちを与えるようなクラブの魅力や、若い選手に対するキャリアアップの道の提示などがあれば、それなりの選手が来てくれることもあるのだと思います。

そうであれば、10年後を考えると、昨季のように欧州でベスト8ゼロなどといった停滞を長く続けるわけにはいきません。チャンピオンズリーグの上位を当たり前のように占めていた強いプレミアリーグが完全な残像とならないよう、来季の巻き返しを期待したいと思います。ヨーロッパリーグ出場のセインツにとっては、ファンミ獲得はあくまでも「最初の一歩」でしょう。次なる強化策に、引き続き注目してまいります。(ファンミ 写真著作者/Catherine Kõrtsmik)

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す