偏愛的プレミアリーグ見聞録

3年半ほど前、契約締結直前でチェルシーに横取りされたサイドアタッカーは、スケールアップして戻ってくるようです。リヴァプールが、24歳になった「エジプティアン・メッシ」モハメド・サラー獲得に近づいているとのこと。チェルシーではプレミアリーグ13試合2ゴールと真価を発揮できず。2014-15シーズンの冬のマーケットでフィオレンティーナにローン移籍した男は、16試合6ゴールと即座に結果を出してみせました。ローマに移った際はフィオレンティーナと揉めましたが、所属していたチェルシーからの買い取りオプション付きのレンタルという形で決着。2015-16シーズンはセリエA34試合14ゴール、そして昨季は30試合15ゴールと欧州屈指のアタッカーに成長しています。

ローマとの契約は2019年まで残っているものの、サラー本人はプレミアリーグに再チャレンジしたがっていると伝えられています。イタリアメディア「ガゼッタ・デロ・スポルト」は、サラーの代理人ダミ・アッバース・イーサ氏がロンドンに入り、リヴァプールと交渉を始めたと報道。既に個人合意に至っており、最大3500万ユーロ（約43億2000万円）といわれている移籍金さえ決まれば、リヴァプールは3年越しの片思いを成就させることができるようです。

サラーを無事に獲得できたら、クロップ監督はどんな布陣で戦うのでしょうか。プレミアリーグ2016-17シーズンの基本形だった4-3-3なら、マネを中央か左に入れてサラーは右ウイングでしょうか。2トップの一角やトップ下でも活躍できる快速アタッカーは、「走るサッカー」にさらなる流動性をもたらしてくれるはず。彼が獲れるなら、点取り屋タイプのストライカーの獲得は必要ないかもしれません。フィルミーノかマネがゼロトップで最前線に構え、サラーが中に斬り込んでゴールを量産する絵は簡単にイメージできます。コウチーニョは、後半戦で好プレーを見せた8番のポジションにコンバートか。いやー、脅威です。マネとサラーが前線にいるとなると、ペップ・グアルディオラといえどもラインを上げて戦うのを躊躇するかもしれません。

プレミアリーグ4位に食い込み、2017-18シーズンはチャンピオンズリーグで戦うことになるレッズですが、本大会の前に8月のプレーオフをクリアしなければならず、早期に来季の布陣を固めたいところ。CSKAモスクワやホッフェンハイム、スポルティング・リスボンと対戦することになればやっかいですが、ビクトリア・プルゼニ (チェコ）、クラブ・ブルッヘ (ベルギー) 、ステアウア・ブカレスト (ルーマニア) 、ヤングボーイズ (スイス) 、ニース (フランス) 、イスタンブールBB (トルコ) 、AEKアテネ (ギリシャ) といったチーム相手なら、順当にグループステージに駒を進められるでしょう。移籍話は、公式発表されるまでは気が抜けませんが、サラーが決まれば俄然盛り上がります。ドミニク・ソランケに続く補強第2号の確定を、しばし待つこととしましょう。いやー、脅威です。（モハメド・サラー　写真著作者/Илья Хохлов）