偏愛的プレミアリーグ見聞録

昨日、アレクサンドル・ラカゼットがメディカルチェックを終えて、プレミアリーグ参入まであと一歩というところまで来たようです。アーセナルは、今日にでも正式発表に漕ぎ付けるのではないでしょうか。背番号は、ルーカス・ぺレスがつけていた「9」か、あるいは2ケタか。エースストライカーが背負う9番にいい思い出がないクラブですが、ラカゼットならそのネガティブなイメージを払拭してくれるでしょう。過去を気にすることなく、彼にふさわしい番号をチョイスしていただければと思います。

さて、大物ストライカーの入団決定の前に、いくつか気になる話が動いています。チェルシーのストライカー、タミー・アブラハムがスウォンジーにレンタルされることが決まりました。チャンピオンシップのブリストルで40試合24ゴールと大暴れした後、U-21欧州選手権のイングランド代表としてドイツ戦でゴールを叩き込んだ19歳は、新天地で早期に決める力をアピールしたいところです。スワンズの最前線に君臨する昨季プレミアリーグ15ゴールのエース・ジョレンテは、サイクリング中の骨折で出遅れが懸念されています。1年前、エイバルから獲得したボルハ・バストンはプレミアリーグ18試合1ゴールと完全に期待外れ。サンドロ・ラミレスをエヴァートンに売ったマラガが、後釜として呼び寄せるようです。

正統派ストライカーの層が薄いスワンズでは、スペイン勢が不在となればすぐにアブラハムに出番がまわってきます。次のシーズンで結果を出してウェールズのクラブに完全移籍し、32歳のジョレンテをベンチに追いやるのが、チェルシーのエースの座は遠いアブラハムにとって現実的なシナリオでしょう。

さらにもうひとつ、興味深いディールが順調に進んでいます。セヴィージャMFイボーラが、昨季チャンピオンズリーグで戦ったレスターに移籍するとのこと。セヴィージャの公式サイトが基本合意に達したとアナウンスしており、メディカルチェックで問題がなければ正式に発表される見通しです。これはびっくり。2013年の夏にレバンテからセヴィージャに加わった29歳のセントラルMFは、公式戦172試合30ゴールという数字を残しており、キャプテンまで務めたバリバリの主力選手です。2015-16シーズンにはヨーロッパリーグを制し、昨季はリーガ・エスパニョーラ4位でチャンピオンズリーグ出場権をゲットしたクラブからプレミアリーグ12位への移籍はキャリアアップには見えません。

1250万ポンド（約18億3000万円）といわれている移籍金は、お得感があります。エンディディはまずまずだったものの、ナンパリス・メンディがチームになじめなかったレスターは、来季はカンテがいたポジションをどうするかで悩まなくてもよさそうです。クレイグ・シェイクスピア監督の希望が順調に成立すれば、次なるターゲットはマンチェスター・シティのアタッカー、ケレチ・イヘアナチョでしょうか。

つい今しがた、ハダースフィールドがダービーのトム・インスを獲得したというニュースが入ってきました。中堅・下位クラブが経済的に強いプレミアリーグは、この夏も欧州から有力なタレントが集まってくるようです。明朝はラカゼット。そして週末にはマンチェスター・ユナイテッドやチェルシーが大物獲得を発表するかもしれません。引き続き、マーケットの動向をお伝えしてまいります。アブラハム、イボーラ、楽しみです。