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マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「ONCE A BLUE, FINALLY A BLUE」…ウェイン・ルーニーはエヴァートンに帰るのか?

移籍金ゼロ!?シーズンが終わる前から去就が取り沙汰されていたウェイン・ルーニーが、古巣復帰間近と報じられています。プレミアリーグで最も積極的に補強を進めているエヴァートンですが、2019年まで契約が残っているマンチェスター・ユナイテッドのキャプテンにいくらでオファーを出すのか、高額サラリーが払えるのかと思いながら「ザ・サン」に目を通すと…。「Manchester United’s Wayne Rooney is going home to finish his career with Everton… but it can’t be called a fairy tale return(マンチェスター・ユナイテッドのウェイン・ルーニーは、エヴァートンでキャリアを終えるために帰郷します。おとぎ話のような復帰とはいえませんが)」と題された記事は、今回の筋書きが凱旋と呼べるものではないことを語る感傷的なトーンに包まれています。

2004年8月31日、2650万ポンドでオールド・トラフォードにホームグラウンドを移した19歳のストライカーは、赤い悪魔と呼ばれるクラブのサポーターに「Once a Blue, always a Red」と叫ぶ熱狂的なチャントで支えられてきました。「ONCE A BLUE, FINALLY A BLUE」。タブロイド紙は、かつてのオールド・トラフォードを思い出させながら、多くのサポーターが描いていた未来と違う行く末を見出しにしています。

移籍金は発生せずと伝えられているディールについて、双方のメリットを整理してみましょう。タブロイド紙がいうように「モウリーニョが描く未来に彼はいない」なら、マンチェスター・ユナイテッドは居場所のないキャプテンを高額サラリーを払いながらベンチに置き続けるのは避けたいところ。週給25万ポンド(約3600万円)、すなわち年間19億円弱という支払いがなくなれば、年次会計ベースではその分を大物選手獲得のための100億円近い移籍金にまわせます。

エヴァートンにとっては、これだけの金額をひとりの選手に払うのは大きな負担ですが、移籍金がかからなければ、50億の選手を5年契約で獲得して年俸9億円を払い続けるのと同じ計算になります。プレミアリーグのサラリーキャップルール(=選手へのサラリー総額を以前の額から算出した範囲に収めなければならない)を守るためには、2~3人を放出しなければならないはずですが、エースのロメウ・ルカクが出ていくならそのあたりもクリアできるのでしょう。衝撃のデビューでグディソン・パークを湧かせたルーニーの帰還は話題性充分で、ユニフォームやグッズが売れるというメリットもあります。双方にとって悪くない着地にするには、この一手しかなさそうです。

マンチェスター・ユナイテッドで過ごした13年間で、559試合出場253ゴール。1月21日のストーク戦でFKを叩き込み、クラブのトップスコアラーの座を手中にしたレジェンドは、プレミアリーグ優勝5回、チャンピオンズリーグ制覇を含む12のタイトルをサポーターにもたらしてくれました。チェルシー時代にルーニーを絶賛していたモウリーニョ監督も、多大な貢献を充分に理解しているクラブもキャプテンをあっさり手離すことになるとは考えていなかったはずですが、1度もトップフォームに戻らなかった最悪のシーズンを目の当たりにして苦渋の選択を迫られることになったようです。

「MLSからのオファーはない」「家族とともに中国に移籍する可能性はない」「クラブのプレシーズンツアーのメンバーに彼の名前はない」…。エヴァートン移籍はほぼ決まったという「ザ・サン」に対して、常に慎重な「BBC」は「合意に至っておらず、他のクラブからの関心は続いている」としていますが、「オールド・トラフォードを離れることを許される可能性は高い」と、一連の報道が単なるゴシップではないと認めています。イングランド代表としてロシアワールドカップに出場することを諦めていないキャプテンは、古巣復帰を復活の足掛かりにすると決めたのでしょうか。ピックフォード、マイケル・キーン、クラーセン、サンドロ・ラミレスを既に獲得し、オリヴィエ・ジルーまで獲ろうとしていると伝えられるチームゆえ、昨季の出来ではベンチが指定席となってしまうでしょう。しかし…。

「ONCE A BLUE, FINALLY A BLUE」。復活するにしても、静かにスパイクを脱ぐことになるとしても。いま一度、「ザ・サン」の言葉をかみしめてみると、ひとりのサッカー選手として幸せなキャリアなのではないかと思います。あのウェイン・ルーニーがプレミアリーグのなかでも格段に温かいグディソン・パークのサポーターに支えられながら最後のチャンスに賭けるなら、253回も歓喜の瞬間を味わわせてもらったファンとして、ピッチを去る日まで応援し続けようと心に決めています。「移籍金ゼロ」は、事実であれば、イングランド史上最高とも称されるストライカーのプライドを傷つけないことを大事にしたマンチェスター・ユナイテッドとエヴァートンの粋な計らいなのかもしれません。タブロイド紙は、いつになく情緒的な記事をこう結んでいます。

Now it’s a new dawn, a new day . . . and he might just be feeling good.(新しい夜、新しい日…彼はただ、気分がいいだけかもしれません)

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“「ONCE A BLUE, FINALLY A BLUE」…ウェイン・ルーニーはエヴァートンに帰るのか?” への2件のフィードバック

  1. yuto より:

    今夏中にルーニーがユナイテッドを去ることには猛反対します。
    CLを戦う今期を見据えれば、スタメンとして常にピッチに立てなくとも過密日程の中でルーニーの力が必要になる試合は必ずやってくるはずです。
    まだ、スパイクを脱ぐ準備をするのには早すぎます。

  2. makoto より:

    yutoさん>
    ルーニー自身の意向と、高額のサラリーをどう考えるか、なのでしょうね。チームに貢献できないまま彼がいるのは、監督にとっても経営ボードにとっても重いことなのだろうと想像します。

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