偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドが、フレッジ獲得合意を発表しました。キャリックが引退し、フェライニを失うのが既定路線のプレミアリーグ2位にとって、前線にチャンスボールを供給してくれるブラジル代表の25歳は、希望通りの新戦力です。移籍金は5200万ポンド（約76億4000万円）といわれており、数年前なら高いと眉をしかめるレベルですが、昨今の高騰で麻痺した頭は「そんなものか…」と受け入れてしまいます。次なるターゲットは、右サイドのアタッカーとSB。ポルトの19歳SBジオゴ・ダロトも、今週中に決まるといわれています。ジョゼ・モウリーニョらしく早期にスカッドを固め、プレミアリーグ2018-19シーズンも昨季同様のロケットスタートを決めていただければと思います。

一方、例年スピード獲得が目立つリヴァプールは、ひと足先にファビーニョ獲得を発表しましたが、こちらも移籍間違いなしといわれていたエムレ・ジャンがイタリアへ向かうと報じられました。契約満了となる24歳のセントラルMFが選んだのは、最有力といわれていたユヴェントスです。年棒500万ユーロ（約6億4000万円）の4年契約と伝えられており、来週のメディカルチェックを経て正式発表となるようです。レッズでの4シーズンは、プレミアリーグ115試合10ゴール。入団当初から、スケールが大きい若手と書かせていただいたのを懐かしく思い出します。アンフィールドでビッグタイトルを手に入れてほしかったのですが、「よくやった。おつかれさま！」と背中を押してあげたいと思います。イタリアの名門でも、彼らしく思い切りのいいプレイを見せていただければと期待しています。

ここまでは、答え合わせのようなお話ですが、「フランスフットボール」や「マルカ」が報じたサディオ・マネのレアル・マドリード移籍は、緊張感が高まるニュースです。ジネディーヌ・ジダン前監督が獲得を熱望と伝えられたレッズの左ウイングは、欧州王者と個人合意に達していたと報じられており、クラブ間交渉が首尾よく終われば白いシャツが手に入るというところまで、話は進んでいたようです。ジダン退任で一時的にストップといわれているものの、後任が誰であろうと、マネは不要とはいわないでしょう。セインツとリヴァプールで過ごした4シーズンで、プレミアリーグ123試合45ゴール。4季連続で2ケタゴールと安定的に活躍しており、左右真ん中どこでもこなす柔軟なプレースタイルは、マドリードでも重宝されるでしょう。

フィルミーノ、サラー、マネの最強3トップを来季プレミアリーグでも楽しみにしていた者としては、止まってくれと祈るばかりですが、ご本人の意志が強ければ、最高値で売り切ることに集中したほうがいいでしょう。レッズの最強の武器は、誰を獲っても見事にフィットさせるユルゲン・クロップの戦術と人間力だと思います。サラーの得点力とフィルミーノの怪しいポジショニングだけは、代えが利くものではありませんが、マネの穴を埋めるアタッカーなら獲れるはず。噂のフェキルを配した4-3-2-1（4-3-3-0⁉）、トマ・レマルやプリシッチを入れた新しい3トップなど、クロップさんらしい魅力的なユニットを披露してくれるのではないかと期待してしまいます。

昨夏の補強は完璧だったレッズは、3トップの一角崩しという頭の痛いアタックに、どう対応するのでしょうか。アレクシス・サンチェスやコウチーニョを思い出すと、強引な引き留めよりも補強資金ゲットによるチーム再構築のほうが得策…いや、年初にアレクシスとミキで実現したスワップはいかがでしょうか。レアル・マドリードの左サイドといえば…。すみません。悪ノリしました。彼の古巣のサポーターが持ち出す話ではありませんね。マルシアル、ラシュフォード、7番とただでさえ左サイドが渋滞しているのに、CR7のご母堂が「復帰してくれたらいいわね」とおっしゃったと聞いて、動揺していたもので。このうえマドリードから33歳が戻ってきて、ポジションと背番号の取り合いが始まれば、コメディを通り越してホラーです。マネとネイマールが今のクラブに留まってくれれば、心配事がひとつ減るのですが。

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