偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・シティが、いよいよこの夏最初のディールを決めにいくようです。以前から何度か報じられていた、レスターのリヤド・マフレズ。2015-16シーズンにプレミアリーグ37試合17ゴール11アシストという大活躍で、前年に残留争いに巻き込まれたクラブを優勝に導き、PFA年間最優秀選手に輝いたドリブラーです。2016‐17シーズンは6ゴールに終わったものの、昨季は35試合11ゴール10アシストと復活。移籍金6000万ポンド（約87億6000万円）は、数年前なら高すぎると感じる数字ですが、1月にレスターが8000万ポンドと主張していたことを思い出せば、より妥当な額で着地したといえるでしょう。

「Riyad Mahrez set to join Man City from Leicester this week（リヤド・マフレズは今週中にレスターからマン・シティに加わる見通し）」と題した記事を掲載した「スカイスポーツ」は、マフレズの移籍金はまだ合意に至っていないとしながら、今週中にはメディカルチェックに進むと伝えています。2016年の夏にアーセナルへの移籍話が騒がれたマフレズは、今年の1月にもマンチェスター・シティからのオファーが話題になっておりましたが、移籍金の額が折り合わずに無念の残留。交渉が決裂したと聞いた27歳のMFは、ショックのあまり10日間ほど練習を欠席し、代理人が「5000万ポンドなら出すといっていたレスターが約束を破った」と抗議していました。苦しいシーズンを過ごしていたレスターにしてみれば、冬に戦力を失いたくないという思いもあったのでしょう。幾度かの破談を経て、マフレズはようやくプレミアリーグのビッグクラブでプレイするという夢を実現できるところに辿り着きました。

2015-16年にプレミアリーグを制覇したレスターの11人は、過半がいなくなるのではないかと思われます。優勝した年のオフシーズンにカンテがチェルシーに移籍し、昨夏にはドリンクウォーターが後を追いました。ロベルト・フートは昨季出場ゼロで退団。ジョニー・エヴァンスとマグワイアのCBコンビで戦うとなれば、ウェズ・モーガンもクラブを離れるかもしれません。左SBフクスは32歳になり、チルウェルにポジションを明け渡す可能性大。マフレズが移籍すれば、残る主力メンバーはヴァーディー、岡崎慎司、オルブライトン、ダニー・シンプソン、シュマイケルとなります。エースストライカーとGKも他クラブから声がかかると思われ、岡崎はイヘアナチョにポジションを奪われそうな雲行きです。あれから2年、クラウディオ・ラニエリのカラーは、相当色褪せてしまいそうです。

一方のマンチェスター・シティは、アルジェリア代表MFの獲得で、サイドが盤石の体制となります。スターリング、サネ、マフレズ、ベルナルド・シウヴァという顔ぶれには、文句のつけようがありません。ヤヤ・トゥレが抜けた中盤には、ナポリのジョルジーニョが加わると報じられており、これが実現すれば、量も質も懸念はなくなります。数々のレコードを塗り替えたプレミアリーグ最強チームは、新しいシーズンも独走で優勝に向かうのでしょうか。32勝4分2敗などという信じられない数字を2年連続で叩き出されたら、ライバルクラブはお手上げです。

次のシーズンは、チャンピオンズリーグを制覇すべく、戦術的なオプションを増やしてくるのではないでしょうか。メッシが下り坂に入り、クリスティアーノ・ロナウドがレアル・マドリードを離れることになれば、ペップ・グアルディオラのチームは欧州制覇の大本命に指名されるかもしれません。国内では、何卒お手柔らかにお願いいたします。