「武藤嘉紀にとって、ニューカッスルよりウェストハムのほうがいい理由」…いや、その前に。
3人の共通項は、サッカーエリートではなかったこと、「自分は下手だ」という初心をキープして努力を怠らなかったこと、それぞれの国のカルチャーに溶け込み、チームメイトといい関係を築いて持てる力を出し切ったことでしょう。彼らとともに戦った監督の多くが、「プロフェッショナルとしてお手本になる」「献身的なプレイでチームを支えてくれる」とリスペクトしています。
なぜ、こんな話を始めたかといえば、「次世代メンタルお化け候補」のプレミアリーグ参入に期待しているからです。武藤嘉紀、26歳。ワールドカップロシア大会では力を発揮できなかったものの、マインツでの3シーズンで残したブンデスリーガ66試合20ゴールは、大迫勇也の108試合15ゴールよりも半端ない数字です。FC東京U-18ではサイドバック、慶應義塾大学経済学部卒でソッカー部(サッカーじゃなくソッカーです)所属、Jリーグデビューは20歳というキャリアは、この世界ではバリバリの雑草です。
Jリーグと日本代表での活躍を評価され、2015年にチェルシーとマインツから声がかかった武藤は、入団直後にレンタルに出されそうだったプレミアリーグのビッグクラブのほうを断りました。以来、3年。昨季公式戦で30試合10ゴール5アシストという素晴らしい数字を残した選手に、プレミアリーグ移籍の噂が立っています。「デイリー・ミラー」が6月に報じていたのはニューカッスルとクリスタル・パレスですが、直近の話題はニューカッスルとウェストハムに書き換えられています。
「ニューカッスルが正式オファー」という日本のスポーツ新聞の記事は、移籍金が載っておらず、眉唾でしょう。しかし、根も葉もない噂かといえば、そうでもなさそうです。イギリスメディア「HITC」が「Why West Ham are a better option than Newcastle for reported target Muto(ターゲットといわれている武藤にとって、なぜニューカッスルよりウェストハムの方がいいオプションなのか?)」という記事を掲載しており、ファーストチョイスではなくても獲得候補リストに名前はあるのではないかと思われます。
メディアがハマーズ推しなのは、ニューカッスルには創造性がなく、ハードワークと規律、堅守をベースに戦っていると評価しているからです。「ホセルやドワイト・ゲイルを好む人たちは、こう教えてくれるだろう。ベニテスのほうで孤独なストライカーになるのは、多分に楽しい役割ではないはずだ」。一方、ペジェグリーニ監督については「現実主義ではなくピュアリスト」とし、新戦力のヤルモレンコとフェリペ・アンデルソンを前線に配した攻撃的なサッカーが魅力と解説しています。
彼らの結論は、「3試合で1点というペースを変えたいなら、攻撃的なウェストハム」ですが、チチャリートとアルナウトヴィッチがいるクラブという前提が抜け落ちています。「3試合に1試合の途中出場というペースが嫌なら、攻撃陣が弱いニューカッスル」という選び方もあるのではないでしょうか。いや、もとい、現状は「ターゲット」「興味あり」という緩いお話。4年後のカタールの大舞台で、プレミアリーグで鍛えられたメンタルの強さを発揮してもらいたいのはやまやまですが、リアルな情報が飛んでくるまでは、居酒屋でしばし盛り上がって終わりとしたほうがよさそうです。われわれもまた、怪しい情報に振り回されてもポジティブに楽しんでしまえるメンタルの強さを発揮しましょう。(武藤嘉紀 写真著作者/Светлана Бекетова)
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三大メンタルお化けに同意します。
他にもステージは違いますが、川島、長谷部、内田…海外組には、変化や劣勢に際して、自分が取るべき行動を見つけて実行する力を感じます。サッカーが上手い下手以前の強さですね!