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アザール、クルトワ、ウィリアン、ジルー…チェルシーの主力大量離脱はピンチか、チャンスか!?

レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長が、「素晴らしい選手を数人獲る」と発言しており、個人合意済みと報じられているクルトワとアザールに必要なのは、移籍金の額が決まることだけのようです。プレミアリーグ5位からの巻き返しを図るマウリツィオ・サッリ監督にとっては、いきなりの試練ですが、出ていくといわれている選手は彼らだけに留まりません。

バルセロナが、ウィリアンの3度めのオファー。「スカイスポーツ」は、2度めの5300万ポンド(約77億4000万円)から200万ポンド上乗せされたと報じています。コンテ監督との確執から、スタンフォード・ブリッジを離れると決断していた29歳のMFは、新監督になってもクラブに残るつもりはないようです。2013年にロシアのアンジ・マハチカラから移籍し、5シーズンの通算成績は公式戦236試合44ゴール、プレミアリーグ166試合25ゴール。直近2シーズンの途中出場激増が、この夏の移籍志願となった最大の理由なのでしょう。マンチェスター・ユナイテッドからもオファーがあったと伝えられていますが、マティッチ獲得でプレミアリーグ2位にジャンプアップしたライバルに、2年続けて主力を差し出すのは避けたいところです。バルサからぎりぎりまで移籍金を引き出し、エンゴロ・カンテのほうは諦めていただくのが最も望ましい着地ではないでしょうか。

さらに昨日、アトレティコ・マドリードがオリヴィエ・ジルーのローン移籍を打診してきたというニュースが入りました。チェルシーがゴンサロ・イグアインの獲得に成功すれば、出番が激減すると読んだアプローチでしょう。1月に加入したばかりのベテランストライカーは、途中出場でシュートを打てずに終わる試合も多く、プレミアリーグ13試合3ゴールという微妙な数字しか残せませんでした。スペインでグリーズマンとのフランス代表コンビが実現すれば、得意のポストプレーが冴え渡り、より多くのゴールに絡めるのではないでしょうか。

連日、主力の大量離脱の可能性が報じられているチェルシーですが、すべて実現したとしても、サッリ監督にとっては悪いことばかりではないはずです。同郷のコンテ監督がプレミアリーグ初年度で優勝しているだけに、シーズンが始まれば何かと比較されそうですが、戦力ダウンのスタートで期待値がナチュラルに下がれば、プレッシャーとの戦いは軽くなります。新戦力やサブメンバーの抜擢が増えれば、指揮官と選手の確執が多かったチームの空気が変わり、自分好みのスカッドに仕立てやすくなるでしょう。

クルトワとアザールが移籍するとなれば、ミランのドンナルンマやレスターのシュマイケル、ラツィオのミリンコヴィッチ=サヴィッチ、CSKAモスクワのゴロヴィンなど、インターナショナルクラスの獲得が必要となりますが、補強一発で簡単に埋まる穴ではなさそうです。であればここは、ピンチをチャンスに変えるべく、クラブに眠っている才能を引き出すチャレンジに打って出るというのはいかがでしょうか。

エメルソンとロス・バークリーの覚醒、2年めとなるバカヨコのブレイク、ペドロの復活、ロフタス=チークをはじめとする若手の抜擢。指揮官の構想次第では、ダヴィド・ルイスも「古い新戦力」となるかもしれません。目利きと戦術に長けた指揮官は、選手の適性を見極め、しばしばサプライズを演出するものです。ラシュフォードやリンガードがワールドカップに出場するきっかけを創ったファン・ハール監督や、ヴィクター・モーゼスとマルコス・アロンソをプレミアリーグ優勝チームのレギュラーに仕立てた前任者のように。

多くの報道が、チェルシーの危機を示唆しています。主力が大量にいなくなれば、2015-16シーズン以来の凋落の可能性があるのは否めません。しかし私は、あらためてこのチームを警戒しようと思います。アンチェロッティ、ラニエリ、コンテといったプレミアリーグ優勝監督を輩出した国で、最も美しいサッカーをすると称賛された新指揮官は、われわれが思いもよらない新機軸や才能発掘によってチェルシーをCLに復帰させるのではないか、と。獲った、出したに注目するばかりでなく、プレシーズンマッチにおける選手の起用法もしっかりウォッチしなければと気を引き締める今日この頃であります。

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“アザール、クルトワ、ウィリアン、ジルー…チェルシーの主力大量離脱はピンチか、チャンスか!?” への2件のフィードバック

  1. nor より:

    更新お疲れ様です。いつもながらチェルシーにも詳しく書いていただき非常に嬉しいです。仰る通り、ある程度は新しい布陣で、タイトルへのプレッシャーが下がった方が、新監督の元での再建にはいいかもしれませんね。個人的には若手起用に期待ですが、サラー、ルカク、デブライネと放出選手のブレイクを横目に、昨季獲得選手の辛抱強い起用による融合を見てみたいです。ルガー二報道がありましたが、GKとCBの主軸がどんな布陣になるか、またトップの人選はどうなるか、プレシーズンにも注目したいと思います。

  2. エミリー より:

    サッリ監督は、自分は移籍市場に興味がない珍しいタイプの指揮官だ。与えられた選手と戦力を磨いて、勝つことにしか興味がないとか語ったそうですよ。
    不気味なコメントですよね。
    でも、そういう職人タイプの人、大好きですけどね。
    スター選手をまとめあげるのも才能ですが、現有戦力をフルに活用する監督はカッコいい。
    去年のバーンリーの監督さんなんか、アーセナルからすると脅威でしたからね(泣)

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