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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

インテルとの本格交渉スタート。ロメウ・ルカクは出すべきか、残すべきか⁉

セリエAに行きたがっているロメウ・ルカクを巡る交渉が、本格的にスタートしています。インテルのピエロ・アウジーリョSDは、「われわれがルカクを獲得するためにマンチェスター・ユナイテッドと行った交渉は、オフィシャルなものだ」と明言。「スカイスポーツ」によると、プレミアリーグで7シーズン連続2ケタゴールを達成したストライカーについて、オールド・トラフォードのクラブは7500万ポンド(約102億円)という高額のタグを付けています。インテルのオファーとは1000万ポンド以上のギャップがあり、しかもセリエAのクラブは3年の分割払いを希望しているともいわれています。

プレミアリーグ残留か、未知の世界でチャレンジか。キャリアアップ志向が強いベルギー代表は、マーカス・ラシュフォードと高額の新契約を結んだマンチェスター・ユナイテッドでは出場機会を増やせないと踏んでいるのでしょう。昨季プレミアリーグで32試合12ゴール。モウリーニョの頃とスールシャールに変わってからのスタッツは、奇しくも16試合6ゴールとぴったり同じですが、新監督の下では途中出場が6試合で前任者時代の3試合から倍増しています。

チャンピオンズリーグのノックアウトラウンドでは、パリとバルサ相手に先発2回、後半からの登場が2回。ホームで0-2と完敗し、1-3以上の勝利が必要だったパルク・デ・プランスで、奇跡的な逆転を実現する2ゴールをゲットしたにもかかわらず、バルサとのファーストレグで空回りすると即座に降ろされるという采配にはストレスが溜ったことでしょう。

スールシャール監督の肩を持てば、「相手のレベルが上がると、ゴールに絡めなくなる」のがルカクの課題です。マンチェスターに来てからの96試合42ゴールをチェックすると、プレミアリーグのビッグ6から決めたのはチェルシー戦の1発のみ。CLでも、パリ戦の爆発を除けばセヴィージャ、CSKAモスクワ、バーゼルです。これに対して、「モウリーニョがカウンター志向だったため、ビッグチャンスが少なかった」「マンチェスター・ユナイテッドというクラブ自体のレベルが、強豪に対して劣っていたからではないか」という反論もありそうですが、ルカクはスター軍団のベルギー代表でも強豪相手にゴールを決めていないのです。

アザール、メルテンス、デブライネらのお膳立てがあるチームで積み上げた48ゴールを見ると、ハットトリックはルクセンブルク戦とジブラルタル戦のみ。強者からゲットしたといえるのはオランダ、ポルトガル、メキシコぐらいで、彼のゴールリストにドイツ、フランス、スペイン、イングランド、イタリア、アルゼンチン、ブラジルの名前はありません。前線にわかりやすく張るタイプで、駆け引き上手とはいえないストライカーは、CBのレベルが上がるとフリーでフィニッシュする機会が激減してしまうのです。

ペップやクロップなど、機動力が高いフットボールを志向する指揮官は、ルカクを敬遠するでしょう。獲得を熱望しているインテルの指揮官は、3-4-3や4-2-4をベースに高い位置で奪って速攻を仕掛けるアントニオ・コンテです。昨季の終盤戦で布陣をいじりすぎたこともあり、スールシャール監督のコンセプトは未だはっきりしていませんが、就任直後に連勝していた頃のスタイルにフィットするのは間違いなくラシュフォードです。ただしそれでも、私はルカクを残したほうがいいと思います。彼はまだまだ成長の余地があり、同等の数字を残せる点取り屋を獲るのは難易度が高いと考えているからです。

雑だったポストプレーと精度が低かった右足のフィニッシュは、目に見えて改善しています。フィジカルの強さとヘディングの打点の高さはプレミアリーグ屈指のレベルで、中堅や下位相手に着実にゴールを稼いでくれるのを「安心感」「計算できる」ともいえます。ちなみに、アーセナルでプレミアリーグ通算32ゴールのオーバメヤンも、ビッグ6相手にPK以外でゲットしたのはノースロンドンダービーの1発のみ。それでも彼を不要と吐き捨てるグーナーはいないでしょう。

モウリーニョ監督が選手との確執を報じられていた頃も、ルカクだけは「監督と他の選手の関係など気にしていない。もし誰かが揉めているのなら、当事者同士で何とかするべきだ。われわれは大人なのだから」と我関せずを貫いていました。指揮官とひとたび信頼関係を築ければオーダーに従い、うまくいかないと見ればドライに居場所を変えようとするあたりは、真のプロフェッショナル。努力家でもあり、チームにいい影響をもたらすことができる選手です。

ルカクがどうしてもイタリアに行きたいのであれば、気持ちよく送り出したいと思いますが、指揮官の言葉で翻意してくれるなら、2019-20シーズンも全力で応援します。駆け引きを身につけ、パリ戦で見せたラインの裏に抜ける動きを常時再現できるようになれば、26歳のストライカーはもうひと皮剥けるのではないでしょうか。別れを覚悟しつつ、しかし密かに違う結末を期待しながら、インテルとマン・ユナイテッドの交渉の行方を見届けたいと思います。

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“インテルとの本格交渉スタート。ロメウ・ルカクは出すべきか、残すべきか⁉” への6件のフィードバック

  1. アイク より:

    ルカクはユナイテッドに移籍してからネタ要員になってしまった

    —–
    更新ありがとうございます。
    格下相手に計算が立つ選手は貴重、なるほどと思いました。
    ロシアW杯の日本戦で見たルカクは脅威そのものでした。巨体を活かしたキープとドリブルはディフェンダーを寄せ付けず、最後はクレバーなフリーランとスルーによってボールに触れずにカウンターを成功させました。彼のフィニッシュ以外のプレーを私はもっと観たいです。

  2. ルーニー より:

    更新ありがとうございます。僕の勘違いだと申し訳ないんですが、アーセナル戦でも決めていたと思います。それと、ルカクのヘディング、ジャンプは相当低いと感じています。滞空時間が短いと言いますか……
    よく、ルカクが強豪相手に弱いと言われますが、彼は守備をしているからでしょう。それに、PLの中でビッグゲームに強いストライカーはアグエロくらいだと思っています。
    ルカクには残って欲しいです。もうちょっとプレミアで見ていたい

  3. アイク より:

    誤送信で2度投稿してしまい、すみません。
    削除しました。

  4. ランパードが好き より:

    ロシアW杯ブラジル戦で新たな発見になったルカクを右サイドにはらせる形をスールシャールもちょくちょく使っていた印象でFAカップアーセナル戦も勝利しました。
    ルカクにとって、どのシステムにしてもルカクの頑張りに対してこぼれを狙い運動量豊富で攻守にフォローができるリンガードの存在も重要と見ています。
    シティやリバプール相手に真正面から攻撃力を打ち出すサッカーは厳しいだけにエリア付近でポジションを待つFWよりも守ってカウンターで活きるルカクを失って感じる痛さはかなりあるのではないでしょうか。
    戦力的に厳しいもののコンテインテルにサッリユーベを倒してほしい気持ちもあるのでルカクのインテルへの移籍にも興味はありますが。

    別の話になるんですが来シーズンからプレミアリーグにもVARが導入となるので個人的なありなしや他リーグとは基準が違うプレミアにとってどう影響するかなど、導入となる開幕前の今にまたブログで扱われるのを期待しています

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    機動力の少ない選手は生きにくい時代になりました

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    big6へのスタッツの低さに驚いたけどほとんどの相手は格下と言えるから上手くやれば得点王狙えるスペックはあると思う

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