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GKに新時代到来!チェルシー入団間近のロベルト・サンチェスはパスワークでケパに勝てるか?

マンチェスター・ユナイテッドはダヴィド・デ・ヘアに別れを告げ、アンドレ・オナナを獲得しました。アーロン・ラムズデールで問題なしと思われていたアーセナルは、ダヴィド・ラヤを連れてこようとしています。ビルドアップの重要度が増した昨今、GKの評価に変化が生じているようです。

トップクラブにおいては、ショットストップに長けただけではゴールマウスをまかせられなくなっています。チェルシーとブライトンがクラブ間合意と報じられたロベルト・サンチェスも、パスワークを理由にポジションを奪われたGKです。ジェイソン・スティールとの差は、ボールをもらうために下がってくるカイセド、パスカル・グロス、ルイス・ダンクにタイミングよく当てられるかどうかです。

Why Brighton have changed their goalkeeper as season enters crunch time(シーズンが佳境を迎えるなかで、ブライトンはなぜGKを代えたのか)」。3月に配信された「アスレティック」のレポートは、ウェストハム戦のスティールとチェルシー戦のロベルト・サンチェスを比較し、GKの判断がもたらした戦況の違いを解説しています。

ハマーズのフロントスリーの間にできたスペースに入ったのは、パスカル・グロス。ここぞという瞬間を見逃さなかったスティールが縦に通すと、左でダイレクトパスを受けたルイス・ダンクがサイドのエストゥピニャンに展開し、プレスをかいくぐりました。SBに近寄ってもらったカイセドはフリーで、速攻スタート。最後は三笘薫がボーウェンに倒され、PKをゲットしています。

対してロベルト・サンチェスは、チェルシー戦でカイ・ハヴェルツに寄せられると、中央に下りてきたマック・アリスターに出せず、右のウェブスターにヘルプを求めました。メイソン・マウントのプレスでコースを限定されたウェブスターは縦へのフィードを狙われ、スターリングのラストパスからコナー・ギャラガ―にフリーで打たれてしまいました。

一瞬空いた味方に、縦パスを出せるか出せないか。ハーフラインあたりでマークを外したMFにピタリと合わせられるか。デ・ヘアよりオナナを取ったテン・ハフも、ラムズデールがいるのにラヤに目を向けたアルテタも、GKのパスワークの積み重ねが試合を変えるというデ・ゼルビの信念に共感を示すはずです。

ロベルト・サンチェスがブライトンのレギュラーGKになったのは、23歳の若手だった2020-21シーズン。マシュー・ライアンを起用していたグレアム・ポッター監督は、足元の確かさを評価して抜擢しました。パスワークでポジションを奪った守護神は、判断力と間合いのよさが強みのライバルに足元をすくわれ、ベンチが定位置となりました。

ブライトンが6月にアンデルレヒトのフェルブルッヘンを確保したのは、出場機会を得たいロベルト・サンチェスが出口に向かうとわかっていたからでしょう。カイセドに対する8000万ポンドのオファーを強硬に拒んだクラブは、2500万ポンドをあっさり受け入れています。メンディの売却益より高額を支払うチェルシーは、単なるバックアッパーを獲ったつもりはなさそうです。

ロベルト・サンチェスがチェルシーを選んだのは、スティールよりケパ・アリサバラガのほうが戦いやすいと判断したからでしょうか。2023-24シーズンだけを見れば、ヨーロッパリーグに出場するブライトンより、プレミアリーグのみのチェルシーのほうが試合数が少なく、ポジション争いに敗れた際の環境は厳しくなります。

昨季プレミアリーグにおけるセーブ率は、ケパが73.3%、ロベルト・サンチェスは64.8%。ショットストップでは迎え撃つ28歳が上ですが、ビッグクラブで初めてプレイするGKは総合力で勝てるでしょうか。マウリシオ・ポチェッティーノ監督の用兵に注目しましょう。(ロベルト・サンチェス 写真著作者/jamesboyes)


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