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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Brazil2014】ワールドカップ開幕前夜。あらためて贈りたい、香川真司と日本代表メンバーへのエール

われわれは、欲しかったものを手に入れたり、望んでいた世界が現実になっても、いつの間にかそれが当たり前になり、 不満が生まれ、さらに上のものがほしくなるやっかいな生き物です。中田英寿や稲本潤一が日韓ワールドカップを戦い、はじめてワールドカップでグループリーグを突破したのも、早いもので12年も前の話になってしまいました。あの頃、10年後の日本代表において、レギュラーの大半を海外クラブ所属選手が占めており、プレミアリーグやセリエAのトップクラブに所属する選手がいるなどと、誰が想像できたでしょうか。「香川真司はマンチェスター・ユナイテッドに要らないんじゃないか」「本田圭祐は、ACミランにフィットしていない」…サッカー関連の掲示板や専門メディアのコメント欄で、日本代表の選手たちへの批判を目にすると、いつも思います。日本人にとって、欧州のトップクラブに代表選手がいることはもはや当たり前になってしまい、試合に出場してときどきゴールを決めるだけでは満足できなくなってしまったのだ、と。

しかし、フラットに考えてみると、こういった声があること自体がすごいことだな、と思います。21世紀に入ったばかりの頃は、日本の選手がチャンピオンズリーグに出場し、マンチェスター・ユナイテッドでレギュラー争いをするなどということが起こるとは、世界じゅうの誰も思ってなかったのですから。そんな日本の躍進の象徴である香川真司が、2日後には、はじめてワールドカップを戦います。2014年ブラジル大会の開幕を明日に控えた今、マンチェスター・ユナイテッドのサポーターとして、また日本代表を長年応援してきたものとして、あらためて、香川真司にエールを送りたいと思います。

今週の頭、日本代表の10番はマンチェスター・ユナイテッドの公式サイトのインタビューに答え、「いちばん鮮明に覚えているワールドカップは日本が初めて出場した98年のフランス大会。ワールドカップで印象に残っているシーンは、2002年日韓ワールドカップ決勝のブラジル代表ロナウドのプレイと、落胆していたドイツ代表GKオリバー・カーン。ワールドカップで、日本代表として戦うのが夢だった」と語っています。そしてまた、優勝チームや注目選手を聞かれると、彼はこう答えています。

―今大会で優勝すると思う代表チームと、注目すべき代表チームを挙げてください。
「どちらもジャパンです!」
―では、今大会でスター選手として輝きを放つであろう選手は誰ですか?
「シンジ・カガワ! あとは他のユナイテッドのチームメートです」

…こんなコメントを読むと、涙ぐみそうになるくらい、テンションが上がります。もう、「がんばれ香川!ぜひゴールを挙げてくれ!」といった月並みな言葉しか出てきません。先日、サッカージャーナリストの宇都宮徹壱さんが、今回の日本代表について「確実に点が獲れるチームだけれど、点を獲られるチームでもあることが、コスタリカ戦とザンビア戦でわかった。守備の綻びを修正できないまま、日本代表はワールドカップに向かう。であれば、とにかく攻めて、自分たちのいいところを出しきって、負けるときもすがすがしく負けてほしい」という趣旨のことを書かれてましたが、私はこれに非常に共感します。前回の南アフリカで、オランダ、カメルーン、デンマークに対して、しっかり守ってグループリーグ突破を果たしたという結果に喜びながらも、日本のサッカーファンは、心のどこかで「世界と互角に攻め合える日本代表」を待ち望んでいたのではないでしょうか。守備がダメ、本田の調子が今イチなどと、つついたらネガティブな要素などいくらでも出てきますが、今回の日本は、過去最高のチーム。そして、今までになかった攻撃的なチームです。

まずは、この4年間、ザッケローニ監督のサッカーに取り組んできたメンバーが、ほぼ全員無事にワールドカップにたどり着いたことを祝福したいと思います。ワールドカップ出場、おめでとうございます。リードされようが相手が押してこようが、前へ前へ進むことをやめない、世界が魅力的に感じてくれるであろう新しい日本のサッカーを、ぜひブラジルの地で披露してください。そして、香川真司には、ぜひゴールを奪っていただき、日本を上位に導くとともに、ファン・ハール新監督に、クラブに必要な選手であることを知らしめてほしいと思います。

がんばってください。しかし、ケガと病気にだけは、気をつけて。

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