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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Brazil2014】点差よりも組織力の差。個人力頼みのイングランドは優勝候補イタリアに完敗!

プレミアリーグが専門なもので、日頃から素晴らしいプレイを観せていただいているイングランド代表には、ついつい肩入れしてしまいます。緒戦の相手は、難敵イタリア。ユヴェントスやインテル、ACミランのサポーターの方には申し訳ありませんが、「プレミアリーグがセリエAに負けちゃいかん」という気分もあり、否が応にもテンションが上がります。スタメンは…おお!「リヴァプール・ユナイテッド」ですね。スタリッジ、スターリング、ジェラード、ヘンダーソン、グレン・ジョンソンと、半分が今季プレミアリーグで躍進を遂げた、準優勝チームの面々。ここに、ルーニーとウェルベックというマンチェスター・ユナイテッドのアタッカーと、レイトン・ベインズ、ジャギエルカのエヴァートン守備陣が加わり、ケーヒルとジョー・ハートをまぶした顔ぶれが、現在のベストメンバー。イングランドにとっては、バロテッリとピルロを自由にさせないことが、今日のゲームの絶対条件です。

19歳のスターリングが打った思い切りのいいミドルを合図に、両者互角のゲームが始まりました。ピルロが左右にボールを散らし、グラウンダーのクロスからフィニッシュに持ち込もうとするイタリアと、速いボールを前線に送り、落としを受けてヘンダーソン、ウェルベック、グレン・ジョンソンが次々と遠めからシュートを放つイングランド。バロテッリとルーニーの両エースには厳しいマークが張り付き、15分を過ぎてもいい形でボールを受けることができません。22分、前がかりになったイングランドのスキをついてマルキージオが持ち込み、マークが緩かったバロテッリが強烈なミドル。直後、イングランドもウェルベックが右サイドを崩し、触れば1点というグラウンダーを通しますが、バルザーリがぎりぎりで足に引っ掛け、CKに逃れます。

より組織的に攻守が機能しているのはイタリア。イングランドは、「足元につながれるぶんにはOK」というラフな守り方です。イタリアが、ダイレクトパスや速いパス交換を仕掛けてきたら、イングランドは守りきれないでしょう。30分を過ぎるとイタリアが完全に攻勢。そして、ついに均衡が崩れたのは35分。CKをピルロがスルーすると、ペナルティエリアすぐ外でマルキージオがフリー。「ゴール前だけ固めておけばいい」というイングランド守備陣をあざ笑うようなきれいなミドルシュートが、ゴール左隅に吸い込まれます。

このまま劣勢を強いられるかと思われたイングランドを救ったのは、やはりルーニーでした。失点の2分後、縦パスを受けて左サイドを抜け出すと、遊んでいるかのような軽いキックをファーサイドのスタリッジにピタリと合わせ、リヴァプールのゴールゲッターは文句なしのハーフボレー!あっという間にゲームは振り出しに戻ります。しかし、その後もペースはイタリア。46分、バロテッリが裏に抜けて、飛び出したGKハートの頭上を抜くループを放つも、DFがヘッドでクリア。前半は1-1で終わりますが、ゴールの匂いが漂うのは、アズーリのほうです。ホジソン監督は後半、ペナルティエリア周辺の守備の緩さを修正できるのでしょうか。

後半、ホジソン監督は左にいたルーニーを右にスイッチしてきました。47分のスタリッジの左足シュートをシリグが弾くと、イタリアはすかさず反撃。右からのカンドレーバのクロスに、CBガリー・ケーヒルはバロテッリを離すという致命的なミスを起こしてしまいました。ゴール左、至近距離からのヘッドが決まって2-1!イタリアが再度、リードを奪います。

1点を追いかけるイングランド。グレン・ジョンソンが再三、右から仕掛けてクロスをフィード。イタリアは中を固めて応戦します。60分過ぎ、ホジソン監督最初の交代は、ウェルベックに代えて今季プレミアリーグで大成長をみせたロス・バークリー。62分、レイトン・ベインズの短いスルーパスを受けたルーニーが、ファーに打つと見せかけてニアを狙うも惜しくも枠の外。64分にはフレッシュなロス・バークリーが、左から中に斬り込み、右ポストめがけてシュートを打ちますが、これはGKシリグがセーブします。70分過ぎに、イタリアはバロテッリをインモービレ、イングランドはヘンダーソンをジャック・ウィルシャー。79分、イタリアはバローロ投入、イングランドはスタリッジout、アダム・ララナin。1点差のまま、残り時間は10分です。

83分、ララナがデ・ロッシに倒され、左からのFKはジェラード。右足で巻くも、ゴールの上。86分、ロス・バークリーのドリブルからの落としを受けたルーニーの左足も大きく外れます。ああ、セリエAファンのみなさん、ごめんなさい。プレミアリーグとの差は、経済力と外国人パワーを合わせもっての差。イタリア代表は、イングランドよりも強くて魅力的です。いちばん大きいのは、監督の戦略構築力でしょう。ブランデッリ監督のチームは、ピルロを中心にポジションバランスが取れており、組織的な攻撃ができるチームで、ホジソン軍団は個人の集まり。ルーニーとスタリッジ頼みで、逆襲の手段はハイクロスとミドルしかありませんでした。

選手が代わっても、サッカーが変わらなかったイングランドは、ピルロのブレ球FKがバーを叩いて外れるのを見届け、タイムアップの笛にうつむきました。痛い敗戦ですが、力の差があった割には、よく戦ったと思います。しかしまあ、イングランドはチームとしての魅力に乏しいですね。ジェラードからスタリッジやスターリングへの高速パスや、縦パスを受けたヘンダーソンにルーニーやウェルベックが絡んで…といった、プレミアリーグを湧かせたリヴァプールスタイルのサッカーを期待していただけに、現在、日本戦を前にして、惨敗したかのように意気消沈しているところであります。

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“【Brazil2014】点差よりも組織力の差。個人力頼みのイングランドは優勝候補イタリアに完敗!” への5件のフィードバック

  1. より:

    まぁ普通に面白い試合でしたし、イングランドも思ったよりは強かった気がします。
    でもやはり戦術やら連携やらが浸透してない感じはありありと浮き出てましたね。

  2. makoto より:

    森さん>
    イングランドは、古き良き時代の明るいサッカー、という風情でした。

  3. アーセナル より:

    いつものイングランドで安心した

  4. makoto より:

    アーセナル さん>
    いつものイングランドでしかなかった…というがっかり感も少々(笑)

  5. makoto より:

    自分はユベントス及びアズーリのファンですが、正直イングランド相手なら楽勝と思っていました。しかしそれは全然違って、かなりの接戦だったように思います。後半になるにつれイングランドのほうが、よりバテていたような気はしましたが・・・

    —–
    アズーリの8さん>
    イタリア側からみると、楽勝するようにみえるのですね。新鮮な視点、ありがとうございます。

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