【Brazil2014】最後の1枚はPKキーパー・クルル!ファン・ハール采配またもズバリで、オランダ激闘を制す!
対するオランダは、2012-13シーズンのプレミアリーグ得点王、ファン・ペルシと、同じくチャンピオンズリーグ優勝メンバー、アリエン・ロッベンが二本柱。前回ワールドカップ得点王のスナイデルがその後ろから攻撃を操り、単純な戦力の足し算なら試合前から勝負ありです。怖いのは、コスタリカのカウンター。オランダにとって大事なのは、先に点を奪って余裕を持って戦える状況を作ること。ワールドカップ出場経験者はゼロと、DFラインの経験値が低いのがオランダの懸念です。
試合は静かな立ち上がりから、やがてオランダがボールを支配します。ロッベン、デパイがドリブルで持ち込み、スナイデルに預けて右サイドのカイトに展開する攻撃は、慎重になりすぎているのか手数が多過ぎ、しばしばデパイが止められて、なかなかシュートに持ち込めません。20分、コスタリカが逆襲。ジョエル・キャンベルが右のガンボアを走らせ、中に入った強いグラウンダーのクロスはDFがクリア。ピンチを脱したオランダは22分、右サイドのカイトから中央のデパイにきれいなクロスが通り、デパイが左でノーマークだったファン・ペルシに落とすと、エースが得意の左足でシュート!しかしこの一発は、GKナバスが体に当てるビッグセーブを見せてボールはこぼれ、フォローしたスナイデルのミドルもナバスがキャッチ。オランダが、絶好のチャンスを逃します。
これをきっかけに、両チームとも縦に速い攻撃を仕掛けるようになり、それまでと別の試合のような攻め合いにスイッチします。29分、デパイが左から抜け出して放った左足シュートはナバスが足を伸ばしてセーブ。35分にはコスタリカのFK。ヘッドで折り返したボールをボルヘスがシュートし、コスタリカ先制と思われた瞬間、水際でDFがクリア。オランダはビハインドを背負うという最悪の展開を回避します。38分、今度はオランダ。ロングボールに最前線で反応したロッベンが倒されFK。スナイデルの右足は壁を越えてゴール左隅に飛びますが、GKナバスがまたもビッグセーブ!両者とも、いつゴールが決まってもおかしくない展開ですが、最終ラインの集中力と冷静さが最後の一線を越えさせません。前半は0-0、コスタリカ、強い!とりわけ素晴らしいのはGKナバス。彼らがなぜ、大会前のテストマッチで日本に3点も獲られたのかわかりません。
後半、オランダの守備陣が落ち着きを取り戻し、コスタリカが攻め手を失います。52分、ロッベンが右サイドで倒されたFKから、スナイデルが放ったミドルは大きく枠の上。57分にロッベンが右サイドをえぐってニアにクロスを入れるも、コスタリカが先に触ります。60分を過ぎても0-0。ポゼッションはオランダですが、コスタリカはセットプレーに活路を見出そうとします。62分のFKは、ボラニョスが直接狙って枠に入らず。64分にはFKをゴンザレスがヘッドで合わせるも、これもゴールを捉えられません。ファン・ペルシがオフサイドとファールが多く、オランダの攻撃はレフェリーの笛で止まります。残り20分。より疲れているのはオランダか。攻撃に入ったとき、ボールをもらう動きが減っています。交代を75分まで引っ張ったファン・ハール監督、最初の1枚はデパイをレンス。81分、ペナルティエリア左の角でロッベンが倒され、FKはスナイデル。カーブをかけたシュートにナバスの腕は届かず、しかしボールはポスト!
ラスト5分、オランダの猛攻が続きます。右からDFをかわして思い切り打ったファン・ペルシの右足はナバスがブロック。88分、左サイドにいたスナイデルのプラスのクロスに飛び込んだファン・ペルシはボールにタッチできません。追加タイムに入った92分、ファン・ペルシのFKをナバスが弾くと、ルーズボールを拾ったオランダは左に展開。デフライが入れたグラウンダーのクロスに、中に走り込んだ2人が触れず、ファーサイドのファン・ペルシがニアを狙ったシュートはDFテヘダがゴールライン上でクリア!オランダの思いは実らず、ついにゲームは延長戦です。
最初の10分は、両者ともシュートが打てません。ファン・ハール監督は、カードを2枚温めている状態。フィニッシュが決まらないだけで、特段悪いところが見当たらないチームを変えたくないのでしょう。102分のロッベンのFKは壁を直撃。結局、前半はスコアは動かず。ここでファン・ハールが手を打ちます。後ろのマルティンス・インディを削り、フンテラールを投入。いよいよ勝負です。
延長後半、ファン・ペルシもブライアン・ルイスも足をつっています。ナバス相手にPKを蹴らなくてはならないオランダは、120分で決着をつけたいはずですが、ロッベン以外の運動量が落ち、攻めきれません。117分、コスタリカのカウンターからフリーになったウレニャが放った絶望的なシュートは、GKシレッセンが何とかセーブ。ラスト1分、スナイデルが左から打った美しいミドルはクロスバー!ファン・ハール監督の最後の1枚は、プレミアリーグで時々神がかり的なセーブを見せていた、ニューカッスルGKクルルです。120分を終え、コスタリカが初めて優位に立ったのではないでしょうか。何しろ、ナバスです。PK戦は望むところでしょう。
…コスタリカが勝利に近づいたはずのPK戦でしたが、結論をいえば、ファン・ハール采配は大当たりでした。「PK要員」ティム・クルルは、すべてのシュートで逆をとられず、うち2本をストップしました。オランダのキッカーは、ファン・ペルシ、ロッベン、スナイデル、カイトと「経験豊富なオッサン優先」。やはり、ここいちばんは、ベテランです。シュート数20本対6本で優勢だったのにゴールを奪えず、ブーイングがこだまするスタジアムでのPK戦。オランダにとっては嫌な雰囲気だったと思われますが、PK戦まで考えた知将の緻密かつ明快な采配と、4年前を知る主軸の強いハートが苦しい戦いを勝利に導きました。いや、すごい。ファン・ハール監督がプレミアリーグでどんな指揮を執るのか、ますます観たくなってきました。
コスタリカ、ブラボー!スーパーナバス!素晴らしい試合をありがとう。12本もオフサイドを取った5バックの統率はお見事。日本代表も、自らが弱者であることを認識し、強者にどうすれば勝てるかを考え抜いて徹底すれば、勝つチャンスはあるのだと勇気づけられました。4年後、ロシアで会いましょう。今度は、日本も間違えませんよ!(ウェズレイ・スナイデル 写真著作者/Dmitry Neimyrok)
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オランダ代表の正守護神シレッセンはキャリアで一度もPKを止めた事がないとのこと
この試合ノックアウトラウンドだしそりゃ監督が誰でも替えますわな(笑)
チームやキーパーの士気を考えるとかえられないとおもいますよ。BBCのコメンテーターが話していましたけど普通ならプレッシャーのかからないキーパーに、PKのためだけに交代することでプレッシャーをかけてること、そして重要な場面でPKを外して普段は蹴らないロッペンに蹴らせたことを考えるとかなりの勝負師かと(笑)
ゆうまさん アスピ(ryさん>
私も、アスピ(ryさんに賛成です。
・「120分+PK戦」というシナリオを持ってなければ、延長で3枚使い切りたいところ
・GKにウォーミングアップさせると、ピッチにいるプレイヤーを動揺させる可能性がある
・GKを入れるタイミングもデリケート
・あの雰囲気の中に、1回もプレイせずに入るクルルも、
最後までプレイできないシレッセンも嫌なものです。
ロッベン含め、完璧にPKを決めた選手たちを見て、監督との信頼関係が深いんだなと
思いました。いろんな意味で、簡単にできる采配ではないですね。
私も低レベルながらGKだったので、最後のPK5発だけ責任がかかる
クルルは、ものすごいプレッシャーがかかってるだろうな、と思いました。
1本めも、クルルが120分守っていたら止められていたかもしれませんね。
キックは甘かったのですが、入ったばかりでまだ体が動いてませんでした。
おもしろい試合だった
ただ残念だったのはTBSの実況解説、○田○倉さん両名ひどかった
どんだけオランダ寄りなんだと、後ほぼ試合内容の解説してないし
実況解説者も贔屓チームがあるのは当然なんだろうけどプロとして
中立公平な立場でやってほしかった
先にNHKで放送したアルゼンチン-ベルギーを岡田さんの解説で見た後だとよけいに際立つ、面白さが実況解説でこれだけ違うのかって
準決勝のアルゼンチン-オランダもTBSらしいのでこの試合はしっかりやってもらいたいですね
自分としては今大会福西さん岡田さんの解説がよかったと思います
どの解説がよかったですか?
PNDさん>
圧倒的に、岡ちゃんがよかったですね。あとは、ツイッターの大儀見さん(!)