イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

トリッピアーのFK1発…セットプレーしかなかったイングランド、必然の逆転負け!

ピックフォード、カイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、マグワイア、とりっぴあー、アシュリー・ヤング、ヘンダーソン、リンガード、デル・アリ、スターリング、ハリー・ケイン。ガレス・サウスゲート監督がピッチに送り出したプレミアリーグの11人は、スウェーデン戦と同じ顔ぶれです。FIFAワールドカップロシア大会準決勝、ルジニキスタジアムのクロアチアVSイングランド。4分にデル・アリがモドリッチに倒され、ボックス手前でFKを獲得します。右足で巻いたトリッピアーのシュートに、GKスバシッチは触れません。PK3発、CK発、FKからはこれが2発め。イングランドの先制点は、今大会9点めとなるセットプレーからのゴールでした。

リードしたイングランドは、相手の攻撃を冷静にさばいて再三速攻を狙います。11分のCKはマグワイアが打ち上げ、14分のCKもマグワイアのヘディングが惜しくも右にアウト。相変わらず質が高いイングランドのCKは、今日も決まりそうな雰囲気を漂わせています。18分、ペリシッチが左から放ったミドルシュートはニアに外れてしまいました。攻めあぐむクロアチア、堅守のイングランド。21分、ストリニッチの自陣でのミスをスターリングがさらいますが、ラストパスをもらったハリー・ケインがオフサイドです。プレミアリーグ30ゴールのストライカーが、今日のゲームで大会7点めをゲットすれば、得点王は決まりでしょう。

デヤン・ロブレンとスターリングのプレミアリーグ対決は、快足ストライカーが優位に立っています。30分、中央でボールを受けたデル・アリが、すぐ左にいたハリー・ケインにラストパスを通すと、スバシッチと1対1になった9番にラインズマンの旗が遅れて上がります。モドリッチが右から持ち上がった32分のチャンスは、レビッチの左足シュートがGKの正面。36分、速攻を仕掛けたハリー・ケインが左のデル・アリに預けると、3人に囲まれたプレーメイカーは中央から上がってきたリンガードにラストパス。コントロールショットは右に外れ、マンチェスター・ユナイテッドのアタッカーは天を仰いでいます。

43分のブル去りコのミドルは、右に大きくアウト。クリアのカットからラキティッチがゴールに迫ったシーンは、ジョン・ストーンズが冷静に対応しました。1-0のまま終わった前半は、明らかにイングランドペース。単調なアタックに終始したクロアチアは、ロシアとの激闘の疲れを残しているのかもしれません。後半に入って10分を過ぎても、クロアチアはシュートがありません。ロングフィードをハリー・ケインがスターリングに落とし、ダイレクトパスを受けたリンガードがボレーで狙うとDFにヒット。CKのクリアをカイル・ウォーカーが右サイドに浮かすと、トリッピアーがダイレクトで入れたクロスに、頭から飛び込んだハリー・ケインは触れませんでした。

62分、右サイドでインターセプトに成功したヘンダーソンが、スターリングを縦に走らせますが、ゴールライン際で倒れ込みながら蹴ったクロスはスバシッチが足でセーブ。直後、クロスのクリアをトラップしたペリシッチが思い切りよく右足を振り抜くと、強烈な一撃はカイル・ウォーカーが身を挺してブロックします。クロアチアの同点ゴールは、68分でした。ブルサリコのロングクロスに左足で合わせたのは、やはりペリシッチ。今大会のイングランドが、競り負けて失点したのは初めてです。

勢いに乗ったクロアチアが、一方的に攻め立てています。71分、相手のミスを咎めたペリシッチがボックスに入って打った左足シュートはファーポストを叩き、フォローしたレビッチのボレーはピックフォードがキャッチ。サウスゲート監督は、74分にスターリングを諦め、ラシュフォードに速攻の起点を託します。ハリー・ケインのスルーパスで抜けたリンガードは、グラウンダーを逆サイドに流してしまい、ヘンダーソンのミドルは大きく浮いてしまいます。82分、ブロゾヴィッチがラインの裏に浮かしたボールをマンジュキッチがワントラップで狙うも、ピックフォードがセーブ。押しまくっていたクロアチアはゴールを奪えず、3試合連続の延長戦となりました。

アシュリー・ヤングに代えてダニー・ローズ。最初の11人で戦い続けていたクロアチアは、94分に足を痛めたストリニッチが下がり、ピヴァリッチが入りました。97分、イングランドの3枚めのカードは、ヘンダーソンをエリック・ダイアー。97分のCKでフリーになったジョン・ストーンズのヘッドは、枠に入っていたブルサリコが冷静にクリアします。101分にレビッチに代わって登場したのは、プレミアリーグでうまくいかなかったクラマリッチ。107分、左から上がったペリシッチがアーリークロスを入れると、マンジュキッチのボレーは、足元に飛び込んだピックフォードのビッグセーブに阻まれます。延長前半はスコアレスで終わり、勝負は次の15分に持ち越されました。

開始3分、ショートコーナーをニアで叩いたブロゾヴィッチのボレーは左にアウト。逆転ゴールが決まったのは、109分でした。左サイドで高く上がったクリアをペリシッチがラインの裏に送り、ジョン・ストーンズの背後に入ったマンジュキッチが文句なしのボレー!サウスゲート監督は、カイル・ウォーカーをジェイミー・ヴェーディーにスイッチして最後の勝負です。115分に足を痛めたマンジュキッチがチョルルカに代わった直後、トリッピアーが激痛のリタイア。10人になったイングランドは、劣勢を跳ね返せず。ラシュフォードが蹴った最後のFKは、競り合いに持ち込めない凡庸なボールでした。そしてタイムアップ。クロアチアが2-1でイングランドに競り勝ち、フランスとファイナルを戦うことになりました。

セットプレーを武器として勝ち進んだチームは、セットプレーしか武器がないという弱点を露呈して敗れ去りました。これこそが、ガレス・サウスゲートの限界だったのだと思います。3月に固めたばかりの3バックを機能させるのが精一杯で、前線の連携を高めるところまでは手がまわらなかったのでしょう。ハリー・ケインは相棒とのコンビネーションを築けないままシュートを打てずに終わり、ラシュフォードとヴァーディーは浮かない表情だけが印象に残りました。

それでも、このチームには「ベスト4、おめでとう。よくやった!」と声をかけたくなります。ピックフォード、ジョン・ストーンズ、ロフタス=チーク、デル・アリ、エリック・ダイアー、ラシュフォード、そしてハリー・ケイン。2022年の大会がフットボールプレーヤーとしてのピークとなる若い選手たちは、貴重な経験を積むことができました。ペリシッチやマンジュキッチの老獪なプレイは、次に勝つためのいいお手本だったのではないでしょうか。プレミアリーグファンのひとりとして、この大会を楽しませてくれた彼らに感謝しています。ノーゴールに終わったスターリングや、最後の失点の原因となってしまったジョン・ストーンズに、フェルナンジーニョが浴びたような心ない罵声が届かないことを祈る次第です。(キーラン・トリッピアー/写真著作者/Кирилл Венедиктов イヴェン・ペリシッチ/写真著作者/Антон Зайцев)

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“トリッピアーのFK1発…セットプレーしかなかったイングランド、必然の逆転負け!” への17件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    ケインはやっぱり雑魚専でしたね。
    ラッキーゴールとPKだけで、本当に役に立たなかった

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    現状でのベストメンバーだったと思いますけど、あまりバランスの良いメンバーではなかったように思います。ウィンクス、クック、チャロバーあたりのボランチが順調に成長してくれのに期待します。ウィルシャーとバークリーは頑張れ。

  3. ペップの街 より:

    途中まで、疲れからか精彩を欠いていたクロアチアでしたが同点弾がカンフル剤になったのか、動きも球際も良くなりましたね。マンジュキッチの逆転弾は勝ち上がりへの闘志の中にも冷静さを失わない素晴らしいゴールでした。小国でありながら名選手を輩出するこの国に脱帽です。
    イングランドはシンプルな戦術で統率も取れていましたが、今後に向けてはまだまだ重要なピースが欠けているような気がします。
    ユース世代にタレントが育っているそうですから次回が更に楽しみです。

  4. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    イングランド予想外の躍進でした。個人的にはピックフォードのフィードの正確さが好きでした。
    伸び代あるチームですから、今後に期待ですね。

  5. Eeee より:

    交代で出てきた選手がこうも機能しなければ難しいです。スターリングを下げたらボールが回らなくなり、そしてヘンダーソンを下げたことによって全くボールを持てなくなりましたね。
    コロンビア戦でスターリングを下げると間延びしてボールを持てなくなることは分かってたはずなのになんで変えたんですかね…
    今日のイングランドは自ら攻撃の選択肢を減らす交代ばかりで見ていて辛かったです。
    ロングボールとセットプレーだけで勝てるほどワールドカップは甘くないと言うことですね

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    発展途上の中でベスト4は良い結果ではないかと思います。ケインも怪我明けの中キャプテンとして良くやっていたと思いますし、ロリスとの決勝戦が見られれば熱かったですが3位決定戦もプレミア対決が多く楽しみです!

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    アトレティコが優勝した辺りもセットプレー主力な感じだったけどセットプレーが主得点源なのはそんな悪い事かな?

  8. 凹んで より:

    勝負は紙一重だったと思います。そんなにクロアチアが素晴らしかった訳でもなく、イングランドはプラン通りだったと思います。セットプレーや放り込みがストロングポイントなら、別に地上戦にこだわる必要無いですね。最後は交代カードの薄さが悔やまれましたが、2022に期待します。

  9. グーナーです より:

    こんなことを言っては代表に身も蓋もないですが、このイングランドならばスパーズにいるケインやアリの方が恐ろしいと感じました。
    あれほどのストライカーを活かしきれなかった代表の今後の成長に期待します。
    サウスゲートさんには申し訳ないですが、4年後に本気で優勝を目指すならば可能な限り早い段階で優勝を狙える監督にスイッチし、チームの成熟を目指すべきではないでしょうか。
    完成しきっていないメンバーでベスト4までこれたことは自信を持ってもいいのかと思います。
    (FAにその気があれば)4年後の主役は彼らにもなり得るでしょう。楽しみです。

    ・・・・・・・・・・とは言え、まだ完成していない優勝候補がもう1チームありますよね。
    4年後のW杯決勝の予備練習として、3位決定戦を戦っていただけたらと思います。

  10. ペップの街 より:

    しかし、今日勝てたとはいえ、クロアチアは疲労困憊ですね。
    3試合も延長戦突入で実質的には1試合分多くてプレーしてるし、決勝までの日数も1日少ないし。
    フランスはポグバ、マチュイディ、カンテの中盤がモドリッチ、ラキティッチに襲いかかってくるでしょうし、ムバッペは全開でかき回すだろうし。
    分裂国家の悲願の優勝が見られれば感動ものなんだけど!

  11. xof ybot より:

    スパーズの5人が勢揃いの場面では劣勢にもかかわらず興奮してしまいました。
    が、ピッチ上にはエリクセン不在時のスパーズのような閉塞したサッカー…。満身創痍なはずのクロアチアに延長後半からギアを上げられてはたまったものではありませんね。
    PKのジンクスを打ち破ったついでに、ユーロ08の予選でクロアチアに喫した敗退決定の一敗のリベンジを果たせるかと期待しましたが…

  12. 凹んで より:

    勝負は紙一重だったと思います。そんなにクロアチアが素晴らしかった訳でもなく、イングランドはプラン通りだったと思います。セットプレーや放り込みがストロングポイントなら、別に地上戦にこだわる必要無いですね。最後は交代カードの薄さが悔やまれましたが、2022に期待します。

  13. エミリー より:

    とにかくクロアチアのファイトに感動!!
    他のチームより、一試合分多く走ってるのに!!
    さすがのモドリッチがヨタついた時なんか、少しウルッときましたよ。
    そんな足でイングランドに自由を与えず、これだ!というカウンターを狙い、ちゃんと決勝点を奪う。
    スポ根漫画の展開でした。
    クロアチアチーム、とにかく休んで下さい!!
    イングランドは、ハマらないと脆いっていうのが露呈し、追いつかれてからはだらしなかったですね。
    このチームは、四年後でしょうかね。
    でも、面白い試合でした!

  14. ワルテル より:

    毎度の更新ありがとうございます。

    準決勝のどちらも面白かったです。イングランドはこのベスト4をどう捉えるかですね。多少、クジ運に恵まれた感もあり、とはいえ紙一重でファイナリストの可能性もあっただけに、ここからの4年間の組み立て方が楽しみです。1人くらい卓越したプレイメーカー、群を抜くアタッカーが出てくれば、いよいよの機運も高まるのではないでしょうか。誰がチャンスを掴むのか、今後のプレミアを観るひとつの楽しみになりそうです。

  15. ペップの街 より:

    民放の中継ではちょっと解説の方がうるさかったので、今NHKBSの録画放送でじっくり楽しんで見ています。

  16. プレミアリーグ大好き! より:

    アリが最後までトップフォームでなかった
    それに尽きると思いました

  17. にわかスパーズファン より:

    イングランドにエリクセン、もしくはデ・ブライネがいなかった。これに限ると思います。

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