偏愛的プレミアリーグ見聞録

「フランス代表のキリアン・ムバッペは、2018年のワールドカップでブレイクしたスター選手。2022年のカタール大会で名を残すのは誰か？」。昨日、配信された「BBC」の記事で、日本代表のプレーメイカーがワールドカップの注目選手10人にピックアップされています。

ブレイクが期待される逸材を選定したのは、「BBC Sport」のテレビ・ラジオでワールドカップを担当する解説者たち。フランクフルトで大活躍の鎌田大地を推すのは、ガイ・モーブレイさんです。「若手とはいえないが、もうすぐプレミアリーグで見られる選手」という書き出しで始まったレポートは、記事のTOPを飾っています。

「2017年に日本からフランクフルトに移籍した後、当初は苦戦していた鎌田は、ブンデスリーガとヨーロッパリーグで素晴らしいシーズンを送っている。アタッキングを最も得意とするオールラウンドなMFだが、深い位置でプレイでき、タックルも好きなようだ」

「香川真司は、マンチェスター・ユナイテッドでは”OK”に過ぎなかった。グレートな中田英寿の絶頂期をボルトンで見ることはなかった。鎌田は、こちらで真に輝く最初のジャパニーズスターになれるだろうか？」

「あるいは、ジュード・ベリンガムがプレミアリーグに帰還する際のキーになる可能性すらある。彼の契約は今シーズン限りとなっており、ボルシア・ドルトムントが獲得を熱望している」

サガン鳥栖からフランクフルトに移籍したのは、20歳のときでした。2017-18シーズンは公式戦4試合出場に留まり、翌シーズンはシント・トロイデンにローン移籍。ベルギーのクラブで、公式戦36試合16ゴール9アシストという数字を残したMFは、2019-20シーズンにレギュラーポジションを奪取しました。

ブンデスリーガでは28試合2ゴール6アシスト。ラウンド32のザルツブルグ戦でハットトリックを達成したヨーロッパリーグは、10試合6ゴール2アシストと素晴らしいパフォーマンスを披露しました。2020-21シーズンのブンデスリーガは、32試合5ゴール13アシスト。鎌田が注目度を高めたのは、昨季のヨーロッパリーグでした。

決勝までの13試合すべてで先発し、5ゴール1アシスト。ウェストハムに1-2で勝ったセミファイナルのファーストレグでは、決勝ゴールをゲットしています。公式戦オールで46試合9ゴール4アシスト。チームを欧州のタイトルに導いた15番は、2022-23シーズンも好調をキープし、22試合12ゴール4アシストという出色のスタッツを叩き出しています。

左のウイング、アタッキングハーフ、セントラルと複数のポジションをこなしながら、ゴールを量産。3試合連続ノーゴールがなかったブンデスリーガでは、「キッカー」の平均評価ランキングで全登録選手のTOPに立つなど、リーグ屈指という言葉が大げさではない活躍ぶりでした。

チャンピオンズリーグの3戦連発は、日本人初の快挙。直接対戦したトッテナムは、獲得をめざしていると報じられています。プレミアリーグでダイチ・カマダに目を付けているのは、ノースロンドンだけではありません。得点力不足が課題のエヴァートンと、攻守のバランスを改善したいリーズも、フランクフルトとの契約延長交渉の成り行きを注視しています。

夏にフリーエージェントとなる日本代表MFは、シーズンが終わるまで残る意向ですが、ACミラン、ドルトムント、スパーズなら検討するのではないでしょうか。「もうすぐプレミアリーグで見られる選手」が実現すればいいのですが…。

シント・トロイデンから戻ってきたときは450万ユーロだった「transfermarkt」の査定は、3000万ユーロ（2610万ポンド＝約43億6000万円）に高騰しています。ワールドカップで活躍したら、プレミアリーグからのオファーが増えるかもしれません。

チアゴとヘンダーソンの後継者がほしいリヴァプール？カンテに移籍の噂があるチェルシー？同郷の冨安健洋を獲得したアーセナル？ベルナルド・シウヴァの去就次第でまさかのマン・シティ…？カタールで世界にアピールし、トップクラブへのステップを駆け上がっていただければと期待しています。（鎌田大地　写真著作者/Sven Mandel）