イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

彼がいたから、三笘が活きた。超攻撃的布陣を支えた冨安健洋をリスペクト!

ハーフタイムは1-0でドイツがリード。シュート数14対1で、パス成功本数はたったの62本。一方的に押されていた日本代表には、変化が必要でした。森保監督の決断は、冨安健洋。味方に通したパスは1本のみと散々な出来だった久保建英を諦め、4-2-3-1から5-2-3にシフトしました。

後半の日本代表監督の交代策は、極めて論理的でした。CBを3枚にしたうえで、長友と酒井をステイとしたのは、エンジンがかかる前に不慮の失点を喫するのを避けたかったからでしょう。最初の10分で確認できたのは、ラームが上がりズーレは引くというドイツのサイドの戦い方が変わらないことでした。

左サイドでは連携を取って攻めていたドイツは、右からの仕掛けはニャブリの個人技に依存していました。前線のプレスが機能すれば、左サイドが守備に忙殺されることはないと確信した森保監督は、57分に投入した三笘薫をWBに据えました。

「ABEMA」で解説を務めていた本田圭佑さんが、「WBでは、三笘さんが引かされてしまうのではないか」と懸念を示していましたが、指揮官と選手たちはリスクを取る覚悟ができていたようです。「ビハインドの状況だったので、1対1を受け入れて守備をすることが必要だった」。冨安の言葉から、左サイドの制圧を勝負のキーポイントに据えていたことがわかります。

ここからの彼のミッションは2つです。ニャブリを止める、三笘を活かす。プレミアリーグで左のSBとしてもプレイしていた24歳は、CBとSBのハイブリッドともいえる自らの役割を心得ていました。ハーフタイムに、意思統一はできていたのでしょう。リヴァプール戦でサラーを完封した男は、長友にも三笘にも「後ろは気にしなくていい」と伝えたと述懐しています。

前線で機能していなかった前田を浅野も、納得のカード。将棋でいうところの「敗着」は、67分の一手ではないでしょうか。ハンジ・フリック監督の2枚代えは、トーマス・ミュラーとギュンドアンをホフマンとレオン・ゴレツカ。マンチェスター・シティのベテランMFが残っていれば、森保監督の堂安投入は、71分という早い時間ではなかったかもしれません。

権田のビッグセーブ4連発の後、足を痛めた酒井が交代を要求。日本の指揮官は、アクシデントによって強いられたカードも、攻めの強化に使いました。74分にピッチに送り出されたのは、南野拓実。最前線に浅野、その後ろに南野と堂安、WBに三笘と伊東、セントラルMFに鎌田というゴリゴリの攻撃的布陣は、同点ではなく逆転をめざすチームの構えです。

10番が入った直後、冨安のパスが左の三笘に届き、得意のカットインから南野、堂安で同点ゴールをゲット。勢いに乗じた青いシャツは、83分の浅野のスーパーショットでスコアをひっくり返しました。追加タイム7分を含む最終盤は、ドイツの猛攻をさばく時間。左のCBは冷静でした。

90分を過ぎてからピッチに座り込んだのは、「悪い流れを断ち切りたかったから」だそうです。メディカルスタッフが呼ばれないよう、ほどほどで切り上げた冨安は、最後まで守り切ってタイムアップを迎えました。日韓ワールドカップのフース・ヒディンクを思い出させる超攻撃的采配が結実したのは、そこにいる全員が指揮官の意図を理解していたからでしょう。

「以前からいっているけど、昔ほど劣っていない。倒せるだけのクオリティーは持っていると思っていた。今日はそれを証明できた」

パス成功率90%、ロングフィード成功2本、チャンスクリエイト1回。いつもとは違うポジションで戦った冨安は、いつもと同じ安定感を披露しました。ヒーローは権田、三笘、堂安、浅野ですが、対人能力が高いCBが間に合ったことも、勝因のひとつだったのではないかと思います。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す