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明確な采配が生んだ恍惚の2分。スペインを逆転した日本がドイツを沈め、世界を驚かす首位通過!

優勝経験国ドイツを逆転という痛快なアップセットの後、アウトサイダーと目されていたコスタリカにワンチャンスを活かされて痛恨の敗戦。1勝1敗の日本代表は、スペインに勝てばノックアウトラウンド進出、敗れれば敗退となります。

森保監督のチョイスは、3バックです。GK権田、3バックに板倉、吉田、谷口。アウトサイドは伊東と長友、2センターは田中と守田。前田の後ろに鎌田と久保が入る3-4-2-1でしょう。ドイツ戦で何もできなかった久保と前田の起用は、カウンター狙いということなのでしょうか。

ルイス・エンリケ監督は、ドイツ戦から5人をチェンジ。バルデ、ロドリゴ・エルナンデス、パウ・トーレス、アスピリクエタの最終ラインは総入れ替えです。立ち上がりはスペインのポゼッション。4分に右サイドを突破した久保は、折り返しが味方に合いません。

日本のプレスは、自陣に呼び込んでから。6分のニコ・ウィリアムズのグラウンダーは、左のポストの前でカットしています。7分、自陣ボックスでブスケツがパスミス。奪った日本は、田中のラストパスをボックス右で受けた伊東が、ニアを狙ったシュートをブロックされました。

12分、右からクロスを入れたのはアスピリクエタ。板倉はモラタに裏を取られてしまいました。フリーのヘディングが、権田の脇を抜いて0-1。早々にリードしたスペインは、隙がなければ縦に出さず、悠々とボールをまわしています。

21分のスタンドのウェーブは、スペインに攻撃を促しているように見えます。23分の右からの速攻は、モラタのシュートが権田の正面です。日本代表は、奪った後の縦パスが通らず。34分に左から裏に抜けた鎌田は、オフサイド。伊東が右サイドで粘った36分のチャンスは、奪い返した鎌田のシュートをパウ・トーレスがブロックしました。

前半のうちに、日本の3バック全員にイエロー。ポゼッション17%対83%、シュート数2対5、オンターゲット0対3と、スペインがうまく時間を進めてハーフタイムを迎えました。同時刻開催のドイツは、コスタリカに1-0でリード。このままいけば、2強が順当に勝ち抜けです。

森保監督は、後半頭から久保と長友を下げて堂安と三笘を投入。コスタリカ戦の伊藤と浅野とは違って、0-1の際に想定していたプランのひとつでしょう。48分、GKシモンがバルデに出したボールを、詰めた伊東がカット。右から思い切りよく打った堂安のミドルが、シモンの手を弾いてゴールに飛び込みました。

さらに50分、田中がボックス右の堂安に預け、ファーに走り込んだ三笘が中央に折り返すと、中央に飛び込んだ田中がプッシュ。VARは、三笘のタッチはゴールラインに触れていたとジャッジし、日本が逆転に成功しました。ルイス・エンリケ監督が動いたのは57分。モラタとニコ・ウィリアムズを下げ、フェラン・トーレスとアセンシオでで同点をめざします。

61分、プレスで汗をかいた前田に代わって浅野が前線へ。田中と浅野が仕掛けた63分のカウンターは、浅野の折り返しをシモンがキャッチしました。森保監督の4枚めは、68分に鎌田を冨安。アーセナルのDFは、右のウイングバックです。残り20分でドイツとコスタリカは1-1。日本はグループ首位に立っています。

70分、ボールを奪取した三笘が左からスプリント。グラウンダーに反応した浅野のダイレクトショットは、明らかにミスキックです。スペインの猛攻に、日本は防戦一方。5バックは、ボックスの入り口付近に釘付けとなっています。83分、堂安のFKを叩いた板倉のヘッドはシモンの正面。森保監督の最後のカードは、87分に田中を遠藤です。

89分にアセンシオがミドルを放つと、権田が弾いて吉田がクリア。直後、ワンツーで抜けたフェラン・トーレスの決定的な一撃は、コースを読んだ権田ががっちりキャッチしました。追加タイムは7分。右サイドの冨安は完璧。左の三笘も、縦への突破を許しません。

クロスをひたすら切り続けた日本が、リードを守り切って2-1で首位通過決定!忘れえぬドーハで、2度めの奇跡が起こりました。ポゼッション18%は、ワールドカップの勝者のなかで最低の数字だそうです。

同点ゴールと逆転につながるグラウンダーの堂安、決勝ゴールの田中、攻守で互角に渡り合った三笘、右サイドに鍵をかけた冨安、冷静にクロスをはね返し続けた3バック…すべてがうまくかみ合った素晴らしい逆転劇でした。

森保監督の采配も、まさに2勝1敗。3バックでスタートし、前半を最少失点で抑えたことで、後半は狙い通りの手を打てたのではないかと思います。前田、三笘、鎌田の厳しいプレスから生まれた同点ゴール、攻めに出たスペインの隙を突いた逆襲。明確にギアチェンジを宣言した采配が、エンジンがかかる前だった相手の動揺を誘い、恍惚の2分を生み出したのだと思います。

ドイツとスペインを逆転で屠れるチームが、世界にいくつあるでしょうか。「Japan beat Spain to top group as Germany crash out」。ライブレポートをスポーツカテゴリーのトップに掲げた「BBC」は、「前半は驚くほど余裕の表情だったスペインが、その先でこんなドラマを繰り広げるとは、誰も予想しなかっただろう」と驚きを伝えています。

私たちは今、日本サッカー史上最高の興奮のなかにいます。ありがとう。次戦のクロアチアに勝ち、ベスト8に進出することがチームの目標ですが、激戦の余韻冷めやらぬ今朝は、もうしばらく熱狂の渦に身を浸していたいと思います。(堂安律 写真著作者/El Loko Foto)


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“明確な采配が生んだ恍惚の2分。スペインを逆転した日本がドイツを沈め、世界を驚かす首位通過!” への2件のフィードバック

  1. アイク より:

    光速の更新ありがとうございます!
    まぐれではない、チームとしての確かな強さを目撃しました。
    コスタリカ次第では敗退もあり得た本気のスペイン相手に、ビハインドとリード、加えてドイツの追い上げという局面の変化に、全員が精神状態を適応させ一つの戦術を実行していました。それもリードの守り方が、南アフリカのようにとにかく跳ね返せ!でも、ロシアのように負けても良いから追加失点は許すな!でもなく、敵の攻撃を受け止めながら強かにカウンターを狙うという、本当に強くないとできない戦い方です。
    初戦のドイツには油断や、日本国民も驚く、スカウティングにないシステム変更に戸惑った部分があったかもしれませんが、スペイン戦は実力勝ちと言っていいと思います。
    まだ信じられない想いです。素晴らしい。
    守田中、3バック、権田。
    スーパー堂安、やはり最高です。
    ミトマはドリブラーと思ってましたが、エリクセンかロバートソンかと見紛うとんでもないスルーパスを浅野に通していましたね。近々2人とも行くんじゃないでしょうか、ビッグクラブ!

  2. ぎぐ爺 より:

    どうも。
    11/29のコスタリカ戦の記事のコメントに
    「決勝Tなんか無理」と投稿した愚か者です。

    いや〜本当っ、ごめんなさいデス。
    恥ずかしい。

    アイクさんのおっしゃるように、後半リードしてからの守備と落ち着いた対応
    それを補強する的確な交代はお見事でしたね。

    ミトマサン、ドウアンサンは来年夏は忙しそうですねぇ。
    どのクラブに行くか楽しみです。

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