偏愛的プレミアリーグ見聞録

パリ・サンジェルマンが買い取りを拒否したマウロ・イカルディを筆頭に、アーセナルがストライカーを物色しているというニュースが続々と報じられています。以前に名前が挙がっていたのは、セルティックで通算126試合62ゴールのオドソン・エドゥアールや、2019-20シーズンの公式戦で31試合9ゴール9アシストという数字を残したモナコFWウィサム・ベン・イェデル。エドゥアールの移籍金は2500万ポンド（約33億円）、ベン・イェデルには3600万ポンド（約47億4000万円）のバイアウト条項が存在するといわれています。今までのプレミアリーグのビッグ6なら、いずれも手頃な価格ですが、コロナウイルスによる売上ダウンが深刻なクラブにとっては簡単に出せる額ではないのかもしれません。

今週に入ると、ラカゼットが自宅でヒッピークラックに興じたという残念なニュースが届き、呼応するかのように複数のゴシップがメディアのTOPページを飾っています。「フットボールインサイダー」が、「アーセナルが、リーグアン中断直前の5試合にスカウトを送り込んでいた」と報じたのは、アミアンのFWセール・ギラシのお話です。2月のパリ・サンジェルマン戦で2ゴールを決め、プレミアリーグのクラブが一斉に注目し始めたといわれたストライカーは、公式戦24試合9ゴールというスタッツを記録しています。

2019年1月に、買い取りオプション付きのレンタルでケルンからギラシを引き入れたアミアンは、わずか500万ポンド（約6億6000万円）で完全移籍に移行したとのこと。2019-20シーズンの活躍で、一時は1800万ポンド（約23億7000万円）まで高騰したと伝えられておりましたが、リーグ2に降格したクラブは、値下がり覚悟で売りさばく意向といわれています。187cmの長身で、フィジカルの強さはプレミアリーグ向きですが、ケルン時代に負傷続きだったのが気になるところです。代理人が「アーセナルとの契約をめざしている」といっているようですが、ラカゼットやオーバメヤンと同等の活躍を期待するのは荷が重いのではないでしょうか。

一方、「ミラー」が報じたガナーズのターゲットは、クラブ・ブルッヘのナイジェリア代表FWエマヌエル・ボナヴェントゥレ・デニスです。ギラシの競合はウェストハム、ボーンマス、ブライトンといわれていますが、こちらはマンチェスター・ユナイテッド、ニューカッスル、モナコが注目しているといわれています。今季公式戦33試合9ゴール、ジュピラープロリーグ20試合5ゴールは微妙な数字ですが、CLグループリーグのレアル・マドリード戦で2発といえば、印象が変わるのではないかと思われます。

クラブ・ブルッヘのクレメント監督が、「新たなステップにチャレンジする時が来ている」と移籍を容認しているストライカーは、2200万ポンド（約29億円）で獲得できるようです。ガナーズにとっては、以前から関心ありと伝えられていた選手ではありますが、来季プレミアリーグでいきなりブレイクという計算はしていないでしょう。巧みなテクニックで「ナイジェリアのネイマール」と称えられている逸材は大化けする可能性を秘めていますが、2020-21シーズンのアルテタ監督がデニスを手元に置いたとしても、プレミアリーグにフィットしているエンケティア優先で開幕を迎えるはずです。

現在は、経験豊富なストライカーが離脱するリスクを考慮して、それなりのお値段で獲得できる代役を物色している段階なのでしょう。アーセナルが、オーバメヤンもラカゼットも手離すという大胆な刷新に打って出る可能性はあるのでしょうか。アトレティコ・マドリードのトーマス・パーティーを獲得するべく、笑気ガスを吸引したと騒がれた点取り屋は放出しても、今季プレミアリーグ17ゴールの絶対的エースは死守したいところですが…。引き続き、ガナーズ絡みのストライカーに関するニュースに注目したいと思います。