右サイドバック吉田麻也、「ESPN」「スカイスポーツ」のベストイレブンに!
この試合の観戦記で私は、「2度の決定的なピンチをつぶしたプレイは素晴らしいが、攻め上がりに怖さがなく、連携ミスから縦に抜かれたシーンもあり、トータルまずまず」と書きました。これは、長友のスピードも内田のクロスもない吉田は、サイドバックとしては今ひとつ迫力にかける、という評価でもあったのです。しかし、ベストイレブンです。イングランドのメディアは、「2度の決定機ストップ」「安定的なポジショニングと的確な判断」のプラスを大きくみたことになりますね。正直、そこまでよかったか!?とびっくりしましたが、これは考えさせられることでもありました。「サッカーの本質とは何か」という大きなテーマについて、です。
どういうことかといえば、そうですね、例を挙げましょう。FWの選手でよくありがちな話ですが、試合中、大半の時間で消えていたのに決勝点だけ獲って、翌日のメディアにデカデカと載ることがあるじゃないですか。「やっぱりスゴイ!」という体で。私はずっと、これに違和感があったのです。「いいとこ持ってったけど、トータルマイナスじゃないか」と。しかし、その試合がもし1-0だったとすると、ゴールを決めたのは彼ひとり、なんですよね。バスケットボールやラグビー、野球と違って、サッカーという「なかなか点が入らないのが普通であるゴールが貴重なスポーツ」において、その1点を確実に決めたこと、もしくは1点もののピンチを救ったことが、いかに貴重なことであるか。極端にいえば、特にFWやGK、DFは、その一瞬のためにキックやヘッドの練習をし、連携を確かめ、試合中にも幾度となく駆け引きや小競り合いを繰り返し、オフサイドかどうかで口角泡を飛ばして審判とやりあっているわけですから。一瞬の早さ、一瞬の正確さ、一瞬の判断の是非。数回しかない「一瞬」がすべてを決めてしまうサッカーだからこそ。
特に欧州のメディアは、ほんとうに「一発だけ」だった選手はほめ過ぎず、しかし「一瞬」をしっかり結果に残した選手はきちんと評価し、ピンチを招いたプレイやチャンスを呼び込んだプレイには目を光らせ、小さなミスは大目に見ます。そのへんのバランスはさすがです。ふたつのメディアにおける今回の吉田麻也の評価をあらためて翻訳(というより意訳ですかね)すると、
「2度の決定機を止めたプレイは、FWでいえば2得点に値する大活躍である。そのほかのプレイも安定的で、チームの守備に対する貢献度は大である。ときどき軽く抜かれたり攻撃でミスがあったりしたけど、サイドでかわされたくらいじゃ点は入らないし、ついていってたから大きな穴は空いてないし、実際何事も起らなかったのだから、いいじゃん、そのくらいは」
ということなのでしょうね。なるほど。…私は、日本人選手に対して過敏になってしまうところもあって、ついついミスを大きく見がちで、厳しい評価をしていたのかもしれません。ここは頭のなかをシャッフルして、フラットな目線に立ち返りましょう。
吉田麻也さん、おめでとう。こないだはよかったよ!ベストイレブンに値するぐらい。
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