偏愛的プレミアリーグ見聞録

「Manchester United is delighted to announce the club has reached agreement with Real Madrid for the transfer of French international defender and World Cup winner, Raphaël Varane, subject to a medical and to player terms being finalised」

マンチェスター・ユナイテッドの公式サイトが、ラファエル・ヴァラン獲得についてレアル・マドリードと合意したと発表しています。しかしこれ、なかなかのフライングですね。最後に、「メディカルチェックと選手のサラリー確定を条件として」という但し書きが付いています。「発表できるのを喜んでいる」という言葉に、既成事実化したいという意志が感じられるリリースですが、数日後にはウェルカムと書かれた記事が並んでいると信じましょう。

ジェイドン・サンチョは7300万ポンドで、ヴァランはアドオンまで含めれば最大4200万ポンドと報じられています。「ESPN」は、「ユナイテッドのオーナーであるグレイザーファミリーは、夏のウィンドウで1億ポンドの補強資金をオーレ・グンナー・スールシャール監督に預けた」といっていますが、これが事実なら既に予算オーバーです。

売却が確定している選手がいないのに、ラインを踏み越えることはないでしょう。プレミアリーグ制覇をめざす名門クラブは、右SBのバックアッパー、セントラルMF、アタッカーの補強も検討していると伝えられています。予算の上限は、もっと上にあるのではないでしょうか。とはいえ、彼らが主張する「適切なオファーを受ければ喜んで手放す選手が大勢いる」という点については、異論はありません。

ジェシー・リンガード、ブランドン・ウィリアムズ、ディオゴ・ダロト、アレックス・テレス、フィル・ジョーンズ、アンドレアス・ペレイラ、ダニエル・ジェームズ、そしてアンソニー・マルシャルとポール・ポグバ。怪しい記事も少なくないアメリカメディアは、9人の名前を挙げた後、「トム・ヒートンをフリーで獲得したため、GKは4人になっており、ディーン・ヘンダーソンかダヴィド・デ・ヘアがローン移籍する可能性がある」と付け足しています。

ポグバの契約延長が見込めなければ、ミーノ・ライオラと交渉中といわれているパリ・サンジェルマンに売却して、代役を獲得するというところまでは既定路線でしょう。候補の中で最も高額なデクラン・ライス（1億ポンド!?）に手を伸ばす際には、ハマーズがほしがっているジェシー・リンガードを条件に組み込む可能性があります。

その他の選手には、いい値段は付かないのではないでしょうか。ローマ移籍が噂されたアレックス・テレスは、「マンチェスター・ユナイテッドにいられるのをうれしく思う」と退団を否定。マルシアルについては、記事を書いたマーク・オグデン氏自身が、「売れれば2500万ポンド前後の収入になるだろう。しかし、COVID-19が大流行しているなかで、一貫性のないフランス人FWと契約するために大金を使おうとしているクラブの行列はなさそうだ」と悲観的な見方を示しています。

プレミアリーグや国外のクラブから話がありそうなのは、ミランがローン移籍を希望と報じられたディオゴ・ダロトをはじめ、リンガード、ブランドン・ウィリアムズ、ダニエル・ジェームズぐらい。ビッグクラブが派手な争奪戦を展開しているなかで、中小クラブの大半は安価な選手に特化しており、完全移籍に持ち込むのは難しそうです。マンチェスター・ユナイテッドに入りたがっているといわれるキーラン・トリッピアーや、直近まで噂になっていたサウール・ニゲスは、オールド・トラフォードに来るのでしょうか。まずは、ポグバ問題の解決ですかね…。