偏愛的プレミアリーグ見聞録

GKラムズデール、最終ラインは冨安健洋、ベン・ホワイト、ガブリエウ・マガリャンイス、ティアニー。中盤にトーマス・パーティーが入り、2列めにはウーデゴーア、スミス・ロウ、サカ、トップにオーバメヤン。ミケル・アルテタ監督は、今季のプレミアリーグをメンバー固定で戦っています。

直近のプレミアリーグ3試合の先発メンバーを見ると、10人がレギュラー。4-2-3-1ならトーマスの脇にサンビ・ロコンガが入り、4-3-3なら右サイドにニコラ・ペペというのが、唯一の選択肢です。チャンピオンズリーグもヨーロッパリーグもないクラブに、ターンオーバーは必要ありません。主力はプレミアリーグに集中し、カラバオカップはサブの選手たちがアピールする場となります。

アルテタ監督のレギュラー固定で割を食っているのは、レノ、ホールディング、マルティネッリ、ラカゼット。ドイツ代表GKは冬に新天地を求める可能性があり、ベン・ホワイトとガブリエウに負傷がなければ、控えのCBが活躍する場は国内カップとなります。マルティネッリとラカゼットはスーパーサブ。グラニト・ジャカが復帰すれば、サンビ・ロコンガの出番は減るでしょう。

そんななかで、チームにとってもグーナーにとっても悪い知らせが舞い込んできました。月曜日のクリスタル・パレス戦で、マッカーサーに右足のふくらはぎを蹴られたブカヨ・サカがリタイア。アストン・ヴィラ戦を控えたプレスカンファレンスで、7番の状態について問われたアルテタ監督は、「トレーニングには復帰していない」「わからない。どうなるか見てみないと」と答えています。

パトリック・ヴィエラが率いるチームに敗戦寸前に追い込まれた理由のひとつは、22回のボールロストを記録したニコラ・ペペでした。このポジションを確実に改善してくれるサカの不在は、アルテタ監督の悩みの種になりそうですが、不本意なシーズンを過ごしていたガブリエウ・マルティネッリにとってはチャンスです。

18歳だった2019-20シーズン、公式戦26試合10ゴール4アシストというスタッツを残したブラジルの原石に、私は大いに期待しています。将来の姿は、偽9番として自在に振る舞うフィルミーノか、左サイドを拠点としてドリブルとショートパスでチャンスを創るグリーリッシュか、ゴールもアシストも量産するブルーノ・フェルナンデスか。プレミアリーグを代表するプレーヤーになる可能性を秘めている逸材ですが、2年めからは負傷に悩まされています。

2020-21シーズンは、膝の負傷で前半戦を失い、公式戦23試合2ゴール2アシスト。終盤戦で復活の兆しを見せていたものの、最後の3試合は16分しか出番をもらえませんでした。今季に入り、プレミアリーグ開幕から2試合は左サイドで起用されていたのですが、結果を出せずにチームは連敗。それ以来、先発したのはカラバオカップのウィンブルドン戦のみに留まっています。

サカがいなければ、オーバメヤンの後ろにスミス・ロウ、ウーデゴーア、ニコラ・ペペが並ぶのが自然ですが、右サイドを安定させるなら、ウーデゴーアを右にまわしてスミス・ロウとマルティネッリを配するというオプションがあります。サカの不在はヴィラ戦のみか、あるいはレスター戦まで長引くか。いずれにしても、短い時間で爪痕を残せなければ、今後の出番は残り20分を切ってからになりそうです。

ひとつ年上のフィル・フォーデンは、偽9番、ウイング、インサイドMFといった複数のポジションをこなす存在としてペップの信頼を得ています。マルティネッリがめざすべきは、「フォーデンほど自在なパスワークはないが、フォーデンより得点力がある」という評価でしょうか。アルテタ監督は、ヴィラに対してどんな布陣で臨むのでしょうか。まずは2列めの並びに注目しましょう。