偏愛的プレミアリーグ見聞録

エリック・テン・ハフか、マウリシオ・ポチェッティーノか。マンチェスター・ユナイテッドの新監督は、2人のいずれかに絞られた感があります。有力候補のひとりといわれていたルイス・エンリケは、「カタールで母国を率いる以上にエキサイティングなポジションはない」と噂を一蹴。フレン・ロペテギも、「来シーズンもセヴィージャのベンチにいる。間違いない」と明言しています。

アヤックスでエール・ディヴィジを2回制したオランダ人か、トッテナム時代に4季連続でプレミアリーグのTOP4をキープしたアルゼンチン人か。マンチェスター・ユナイテッドは先週、テン・ハフとオフィシャルな会談を実施し、指揮官に就任するための条件などについて情報収集を行いました。オランダの名門クラブのCEOはファン・デル・サールであり、現在は財政難に苦しんでいます。違約金さえ払えば、彼らは拒否しないといわれています。

一方、2023年まで契約が残っているポチェッティーノ監督を引き抜く際も、1500万～2000万ポンドの違約金が必要になります。昨夏、ハキミ、ドンナルンマ、ワイナルドゥム、セルヒオ・ラモス、メッシという大型補強を敢行したレオナルドSDは、余剰戦力の整理に失敗。緊張感が高いロッカールームを預かることになった指揮官は、不満を抱えていると伝えられました。冬に獲得を要請したエンドンベレを拒否されたことで、両者の溝はさらに深まっているようです。

プレミアリーグへの復帰を望んでいると報じられた指揮官は、リーグアンのトロフィーを置き土産にパリを離れるという話を歓迎しそうです。「レアル・マドリードがアンチェロッティに不満があり、ポチェッティーノ招聘に動く可能性がある」「サー・アレックス・ファーガソンがアンチェロッティを推薦」といった噂も飛び交っていますが、ラ・リーガで首位を快走しているイタリア人指揮官を1年で解任は、さすがにないでしょう。

ポチェッティーノ監督については、テディ・シェリンガムをはじめ、OBや選手が歓迎ムードといわれています。エリック・テン・ハフ監督の攻撃的なサッカーは魅力的ではありますが、プレミアリーグを知っているアルゼンチン人監督には、スムーズな強化が図れそうという期待感があります。

ちなみに、ラルフ・ラングニックはテン・ハフ推し。同郷のルイス・ファン・ハールは、在任時にサポートしてくれなかったエド・ウッドワードが相当嫌だったようで、「コマーシャルクラブは避けるべき」と警鐘を鳴らしています。

有意義な会談が行われたというテン・ハフがファーストチョイスに見えますが、マンチェスター・ユナイテッドは、今はまだ優先すべき候補者はいないというスタンスを崩していません。「スカイスポーツ」のシニアレポーター、メリッサ・レッディさんは「すべてのターゲットに対して、招聘しやすさ、報酬、諸条件をリサーチし、総合的に判断する」と伝えています。なるほど。続報を待ちましょう。