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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

2-0から追いついたマン・シティ、王者を追い詰めたハマーズ…濃密な24分の攻防を振り返る。

前半終了間際の45分、ファビアンスキ、ソーチェク、マイケル・アントニオと縦にボールが渡り、エースがラポルテの背後に浮かした絶妙なパスがジャロッド・ボーウェンへ。カットインしたアタッカーは、エデルソンの前に出ると、追ってきたフェルナンジーニョの股間を通す鮮やかなシュートを決めました。

プレミアリーグ37節のウェストハムVSマンチェスター・シティは、前半を終えて2-0でホームチームがリード。ハーフタイムから、ツォウファルのオウンゴールでイーブンに戻るまでの24分は、リヴァプールがプレミアリーグ2021-22シーズンのトロフィーに最も接近した時間でした。

直近10年でプレミアリーグ優勝5回のマンチェスター・シティは、先制されるゲームが少なく、2016年のペップ就任からは、大半のゲームで先行して押し切っています。ましてや2点のビハインドなど、レアケース。トップリーグで、2点差から追いついた最後のゲームを辿ると、2012年3月31日のサンダーランド戦まで遡ります。1-3から決めたのは、バロテッリとコラロフ。アグエロの奇跡的な1発で、44年ぶりのリーグ優勝を遂げたあの年です。

さて、ここからは、濃密な24分を振り返ります。リヴァプールとチェルシーを屠った難敵に、カウンター2発を決められ、後半がスタート。ジョアン・カンセロ、フェルナンジーニョ、ラポルテ、ジンチェンコの急造4バックは明らかに不安定で、さらなる失点を喫してしまうかもしれません。

並のチームなら、焦りが生じて強引なプレイを連発するか、テンションを落として単調なアタックに終始してしまう状況です。この日のマンチェスター・シティも、後半開始からのラッシュを守り切られていれば、敗者の定番ルートを突き進んでいたかもしれません。

同点に追いつくまでに、ターニングポイントは3つありました。最も大きかったのは、49分のCKからの二次攻撃で決まったグリーリッシュのボレーです。あっさり1点差となり、世界は激変。ジェズス、ジョアン・カンセロ、グリーリッシュがサイドで圧力を高めると、ハマーズの選手たちの表情は強張り、ラストパスさえ通れば同点というシーンが続きました。

ハーフコートマッチを展開していたマン・シティは、それでもまだビハインドを背負っており、勝者と敗者を分ける崖の上にいます。ここでハマーズに3点めを許せば、一気に転がり落ちてしまうかもしれません。2つめのターニングポイントは61分。デクラン・ライスのインターセプトから、フォルナルスが縦パスを送り、マイケル・アントニオとラポルテが競ったシーンです。

ボールに先着したCBは、エデルソンとの意思疎通を欠き、左サイドにバックパスミス。出した瞬間、頭を抱えたのは、マイケル・アントニオにさらわれると覚悟したからでしょう。しかしこのボールは、ジンチェンコがフォロー。クリアして終わりかと思いきや、無理な体勢から蹴ったボールをボーウェンにカットされてしまいます。

ボックス右に侵入してワンタッチでロドリをかわしたところで、中央でフリーだったデクラン・ライスに転がしていれば、決定打が生まれていたのではないでしょうか。縦に突破したボーウェンは、ゴールライン際でラストパスという選択肢を失い、強引なシュートをニアのサイドネットに引っかけてしまいました。

スコアは2-1のまま、3つめのターニングポイントは64分。ボーウェンの浮き球を右サイドでカットしたフェルナンジーニョは、余裕を失っていたのでしょう。マイケル・アントニオの動きに気づかないまま、不用意に出したバックパスを奪われ、ストライカーと守護神が1対1になりました。ドリブルで勝負したほうが、決まる確率は高かったのではないか…。判断が遅れた9番の強引なループシュートは左に外れ、マン・シティは崖の淵で踏み止まりました

マン・シティが2-0か3-1で敗れ、リヴァプールがセインツに0-5で大勝すれば、勝ち点も得失点差もイーブン。最終節は、得失点差をより広げたほうが優勝という、いわば運動会の玉入れになっていました。あまりにも大きな1ポイント。最終節で戦うヴィラは、マン・ユナイテッド以外のビッグ5に全敗です。プレミアリーグ2021-22シーズンは、王者の連覇で終わりそうです。

アグエロのゴールや、コンパニのミドルを鮮明に覚えているように、10年経っても、あのスリリングな24分を忘れることはないでしょう。劣勢をものともしない王者の猛攻も、鋭いカウンターを連発して王者を追い詰めたハマーズという素晴らしいチームのことも。


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