2023.01.30 FAカップ・リーグカップ2022-23FAカップ・リーグカップ
またもアーノルドに圧勝、右足オンリーのイリュージョン!「三笘の3タッチ」でブライトンがレッズに連勝!
「一夜にして悪いマネージャーになったわけではない。おそらく人がいうほど優秀ではなく、ある人たちが思うほど悪くもなかった」。発言の主は、FAカップのブライトン戦を控えたユルゲン・クロップ。9ヵ月前まで、4冠独占の夢を追っていた指揮官は、プレミアリーグで9位に沈んでいます。
最大の原因は、減らない負傷者でしょう。マネが抜けた最前線は、ルイス・ディアスとジョッタも失い、好調だったフィルミーノまでリタイアしてしまいました。1月に獲得したコーディー・ガクポはなじむまで時間がかかりそうで、ファン・ダイクとファビオ・カルヴァーリョは2月にならないと戻ってきません。
ロベルト・デ・ゼルビ率いるブライトンは、10月末にチェルシーを4-1で下してから、プレミアリーグ8戦5勝1分2敗と絶好調。20節の直接対決は、三笘薫とソリー・マーチに自由を与えたレッズが3-0で完敗しています。あの試合と同じアメックスでの再戦は、カイセドが不在ですが、サラー、ガクポ、エリオットを並べた手負いのチームはリベンジを果たせるでしょうか。
レッズの立ち上がりは上々でした。4分にナビ・ケイタが中央をドリブルで切り裂き、右のサラーにラストパス。最初のシュートは、GKスティールの前に入ったウェブスターがスライディングでクリアし、こぼれ球を拾った2発めはルイス・ダンクがゴールライン上で掻き出しました。
ブライトンの決定機は15分。センターサークルからパスカル・グロスがソリー・マーチに預け、ボックスに入ったサイドアタッカーがファーにグラウンダーを通すと、フリーだったファーガソンのシュートは、右ポスト脇をカバーしたアーノルドが左足に当てています。
三笘薫の最初のシュートは21分、左からカットインしてファーガソンとポストプレー。打つと見せかけてジョー・ゴメスをかわし、左足で放った一撃はうまくミートせず、アリソンの懐に収まっています。24分、エリオットが縦に出した絶品スルーパスで抜け出したサラーは、スティールと向き合って打ったシュートを右に逸らしてしまいました。
30分にレッズの先制ゴールを生んだのは、右サイドのサラーを走らせるナビ・ケイタの素晴らしいフィードでした。ボックスの右手前まで進んだエースは、前に流れてきたエリオットに優しいスルーパス。GKと1対1になったティーンエイジャーは、クロスに打ったシュートを触られますが、ボールは左のサイドネットに収まりました。
ブライトンの同点ゴールは、39分のショートコーナーです。左からのクロスをアーノルドがクリアすると、走り込んできたタリク・ランプティが迷わずダイレクトショット。ルイス・ダンクの足に当たったボールはアリソンの逆を突き、慌てて差し出した右手の上を抜けていきました。
前半の三笘は、アーノルド、ナビ・ケイタ、バイチェティッチ、チアゴの包囲網に苦しんだものの、前線に飛び出したエストゥピニャンに出した30分の鋭いパスは見事でした。後半開始直後の47分には、ひとりならオッケーとばかりにアーノルドをワンタッチで抜き去りますが、カバーしたコナテが冷静にクリアしています。
51分のルイス・ダンクのFKは、右隅に落ち切らずクロスバー越え。55分にアーノルドを抜いてゴールライン際を突破した三笘は、アリソンにクロスをぶつけるも、ボールはファーに届きました。ソリー・マーチが胸で落とし、パスカル・グロスがボレー。決定的なシーンでしたが、スライス回転がかかったボールは浮いてしまいました。
クロップ監督は59分にエリオット、ナビ・ケイタ、アーノルドを下げ、ヘンダーソン、ミルナー、ダルウィン・ヌニェス。前線と中盤は接戦の際に用意していた策で、SBの交代は三笘に負けを認める緊急避難でしょう。1分後、右サイドにまわったミルナーが、素晴らしいロングフィードをボックスに入ったサラーに合わせますが、右に逃げたエースはクロスをGKに弾かれています。
71分、三笘薫が決定機を創出。ルイス・ダンクのロングフィードを右足アウトでトラップしたウインガーは、さらに右足アウトで中央に高速グラウンダーをフィードします。右からスプリントしてきたソリー・マーチにぴったり。しかしダイレクトのフィニッシュは、飛び出したアリソンが体に当てるビッグセーブでしのぎました。
ラスト20分から、サラー、ガクポ、ダルウィン・ヌニェスのシュートはゼロ。フロントスリーがうまくいっていないのは、誰の目にも明らかでした。それでも、90分まではイーブンだったのですが…。レッズの希望を打ち砕いた92分の決勝ゴールは、シーズンベスト!と叫びたくなる素晴らしい一撃でした。
右からのFKをファーに浮かしたのはパスカル・グロス。エストゥピニャンが丁寧にトラップして逆サイドに浮かすと、落下点にいたのは三笘薫でした。右足アウトのトラップは完璧。ボレーかと思いきや、柔らかいタッチで詰めてきたジョー・ゴメスをかわし、3つめのタッチでアリソンの左を抜きました。
トラップから2秒、すべて空中で披露した右足のイリュージョン。ジョー・ゴメスを翻弄したタッチには、ゴールラインの左にいたカメラマンもだまされ、アリソンに画面を振ってシュートの瞬間を撮り逃しました。2-1、ブライトンがリヴァプールに連勝。「BBC」のファン投票も、「スカイスポーツ」のローラ・ハンター記者も、マン・オブ・ザ・マッチはミトマです。
オンターゲット2本、チャンスクリエイト1回、ドリブル成功6回、デュエル8勝4敗。エリオットのゴール以降、枠内ゼロに終わったレッズはトータルで2本です。最後に、「警告のサインは出ていたのに、活気がないリヴァプールのバックラインは注意を向けられなかった」という書き出しで始まる「スカイスポーツ」のレポートを紹介して、この稿を締めることとしましょう。
「2週間前に3-0の大敗を喫したクロップが『監督としてのキャリアで最悪』と評した現場に戻ってきた。レッズは少しずつよくなってはいるが、後半の三笘の素晴らしいアドリブを阻止できなかった。トレント・アレクサンダー=アーノルドに恐怖を抱かせ、59分に退場させた日本代表は、決定的な一撃の前にもソリー・マーチに試合を決めるチャンスを与えていた」
「しかし、このシュートはアリソンの巨体に阻まれ、マーチに当たって跳ね返ったボールはポストの外を抜けていった。マーチ自身はゴール裏に突き刺さったが、ボールは…」
「それでも、三笘は右サイドで大混乱を引き起こした。ペルヴィス・エストゥピニャンの山なりのクロスをジョー・ゴメスの前でコントロールし、ゴールネットへ。この試合にふさわしいプレイを見せた。ゴール前にボールを入れたエストゥピニャンはオンサイドとVARが確認すると、アメックス・スタジアムには爆発的な歓声が上がり、ファンはヒーローの名前を歌い続けた」
最大の原因は、減らない負傷者でしょう。マネが抜けた最前線は、ルイス・ディアスとジョッタも失い、好調だったフィルミーノまでリタイアしてしまいました。1月に獲得したコーディー・ガクポはなじむまで時間がかかりそうで、ファン・ダイクとファビオ・カルヴァーリョは2月にならないと戻ってきません。
ロベルト・デ・ゼルビ率いるブライトンは、10月末にチェルシーを4-1で下してから、プレミアリーグ8戦5勝1分2敗と絶好調。20節の直接対決は、三笘薫とソリー・マーチに自由を与えたレッズが3-0で完敗しています。あの試合と同じアメックスでの再戦は、カイセドが不在ですが、サラー、ガクポ、エリオットを並べた手負いのチームはリベンジを果たせるでしょうか。
レッズの立ち上がりは上々でした。4分にナビ・ケイタが中央をドリブルで切り裂き、右のサラーにラストパス。最初のシュートは、GKスティールの前に入ったウェブスターがスライディングでクリアし、こぼれ球を拾った2発めはルイス・ダンクがゴールライン上で掻き出しました。
ブライトンの決定機は15分。センターサークルからパスカル・グロスがソリー・マーチに預け、ボックスに入ったサイドアタッカーがファーにグラウンダーを通すと、フリーだったファーガソンのシュートは、右ポスト脇をカバーしたアーノルドが左足に当てています。
三笘薫の最初のシュートは21分、左からカットインしてファーガソンとポストプレー。打つと見せかけてジョー・ゴメスをかわし、左足で放った一撃はうまくミートせず、アリソンの懐に収まっています。24分、エリオットが縦に出した絶品スルーパスで抜け出したサラーは、スティールと向き合って打ったシュートを右に逸らしてしまいました。
30分にレッズの先制ゴールを生んだのは、右サイドのサラーを走らせるナビ・ケイタの素晴らしいフィードでした。ボックスの右手前まで進んだエースは、前に流れてきたエリオットに優しいスルーパス。GKと1対1になったティーンエイジャーは、クロスに打ったシュートを触られますが、ボールは左のサイドネットに収まりました。
ブライトンの同点ゴールは、39分のショートコーナーです。左からのクロスをアーノルドがクリアすると、走り込んできたタリク・ランプティが迷わずダイレクトショット。ルイス・ダンクの足に当たったボールはアリソンの逆を突き、慌てて差し出した右手の上を抜けていきました。
前半の三笘は、アーノルド、ナビ・ケイタ、バイチェティッチ、チアゴの包囲網に苦しんだものの、前線に飛び出したエストゥピニャンに出した30分の鋭いパスは見事でした。後半開始直後の47分には、ひとりならオッケーとばかりにアーノルドをワンタッチで抜き去りますが、カバーしたコナテが冷静にクリアしています。
51分のルイス・ダンクのFKは、右隅に落ち切らずクロスバー越え。55分にアーノルドを抜いてゴールライン際を突破した三笘は、アリソンにクロスをぶつけるも、ボールはファーに届きました。ソリー・マーチが胸で落とし、パスカル・グロスがボレー。決定的なシーンでしたが、スライス回転がかかったボールは浮いてしまいました。
クロップ監督は59分にエリオット、ナビ・ケイタ、アーノルドを下げ、ヘンダーソン、ミルナー、ダルウィン・ヌニェス。前線と中盤は接戦の際に用意していた策で、SBの交代は三笘に負けを認める緊急避難でしょう。1分後、右サイドにまわったミルナーが、素晴らしいロングフィードをボックスに入ったサラーに合わせますが、右に逃げたエースはクロスをGKに弾かれています。
71分、三笘薫が決定機を創出。ルイス・ダンクのロングフィードを右足アウトでトラップしたウインガーは、さらに右足アウトで中央に高速グラウンダーをフィードします。右からスプリントしてきたソリー・マーチにぴったり。しかしダイレクトのフィニッシュは、飛び出したアリソンが体に当てるビッグセーブでしのぎました。
ラスト20分から、サラー、ガクポ、ダルウィン・ヌニェスのシュートはゼロ。フロントスリーがうまくいっていないのは、誰の目にも明らかでした。それでも、90分まではイーブンだったのですが…。レッズの希望を打ち砕いた92分の決勝ゴールは、シーズンベスト!と叫びたくなる素晴らしい一撃でした。
右からのFKをファーに浮かしたのはパスカル・グロス。エストゥピニャンが丁寧にトラップして逆サイドに浮かすと、落下点にいたのは三笘薫でした。右足アウトのトラップは完璧。ボレーかと思いきや、柔らかいタッチで詰めてきたジョー・ゴメスをかわし、3つめのタッチでアリソンの左を抜きました。
トラップから2秒、すべて空中で披露した右足のイリュージョン。ジョー・ゴメスを翻弄したタッチには、ゴールラインの左にいたカメラマンもだまされ、アリソンに画面を振ってシュートの瞬間を撮り逃しました。2-1、ブライトンがリヴァプールに連勝。「BBC」のファン投票も、「スカイスポーツ」のローラ・ハンター記者も、マン・オブ・ザ・マッチはミトマです。
オンターゲット2本、チャンスクリエイト1回、ドリブル成功6回、デュエル8勝4敗。エリオットのゴール以降、枠内ゼロに終わったレッズはトータルで2本です。最後に、「警告のサインは出ていたのに、活気がないリヴァプールのバックラインは注意を向けられなかった」という書き出しで始まる「スカイスポーツ」のレポートを紹介して、この稿を締めることとしましょう。
「2週間前に3-0の大敗を喫したクロップが『監督としてのキャリアで最悪』と評した現場に戻ってきた。レッズは少しずつよくなってはいるが、後半の三笘の素晴らしいアドリブを阻止できなかった。トレント・アレクサンダー=アーノルドに恐怖を抱かせ、59分に退場させた日本代表は、決定的な一撃の前にもソリー・マーチに試合を決めるチャンスを与えていた」
「しかし、このシュートはアリソンの巨体に阻まれ、マーチに当たって跳ね返ったボールはポストの外を抜けていった。マーチ自身はゴール裏に突き刺さったが、ボールは…」
「それでも、三笘は右サイドで大混乱を引き起こした。ペルヴィス・エストゥピニャンの山なりのクロスをジョー・ゴメスの前でコントロールし、ゴールネットへ。この試合にふさわしいプレイを見せた。ゴール前にボールを入れたエストゥピニャンはオンサイドとVARが確認すると、アメックス・スタジアムには爆発的な歓声が上がり、ファンはヒーローの名前を歌い続けた」
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