偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドは、テン・ハフ監督のお気に入りを諦めるかもしれません。メイソン・マウントに対する4000万ポンドと5000万ポンドのオファーを断られた後、3回めの5500万ポンドもチェルシーが拒否。5800万ポンドとアドオン700万ポンドを主張するクラブに対して、ジョン・マータフFDは不信感を抱いているようです。

24歳のMFとチェルシーの契約は残り1年しかなく、新たな条件で延長する気配はありません。昨季プレミアリーグは24試合3ゴール2アシストというもの足りない数字で、本人はマンチェスター・ユナイテッドに行きたがっています。1年前のジェズスとスターリングの移籍金は5000万ポンドを切っており、強気の6500万に納得感はありません。

マン・ユナイテッドのディレクターは、ロンドン在住の専任特派員を間に入れているチェルシーのやり方にも不満があるとのこと。現地メディアの多くが「チェルシーが譲歩しなければ、撤退する可能性が高い」と伝えています。「ESPN」「マンチェスター・イブニングニュース」は、「次のターゲットはモイセス・カイセド」といっていますが…。

ブライトンのセントラルMFに対する興味は、攻撃的なMFの獲得とは別なラインでしょう。フレッジやマクトミネイを手離してもいいと考えているクラブは、トーマス・パーティーがユーヴェと交渉すると聞いて、フリーで獲得できるアドリアン・ラビオに注視していると報じられています。

カイセドのお値段は、最低でも8000万ポンド。予算厳しきマン・ユナイテッドは、メイソン・マウントより2000万ポンド以上の高額を素直に受け入れる余裕はなく、「余剰戦力を付けて出費を抑えられるならOK」というぐらいの話でしょう。チェルシーのMFの代替案としては、アヤックスのモハメド・クドゥスやユトレヒトのテイラー・ブースのほうがリアルです。

ブライトンのターゲットと報じられたクドゥスは、デンマークのノアシェランから2020年にアヤックスに移籍し、3年めの2022-23シーズンに公式戦42試合18ゴール6アシストと大ブレイク。ワールドカップカタール大会では、ガーナ代表の前線で体を張り、韓国戦で2ゴールをゲットして勝利の立役者となっています。

センターフォワード、右ウイング、アタッキングハーフをこなすユーティリティーも魅力で、チームメイトだったアントニーとの連携も問題ないでしょう。契約期間は残り1年で、本人は延長を拒否。アヤックスは、4000万ポンドまで張らなくても承諾すると見られています。

ユトレヒトのテイラー・ブースは、公式戦31試合2ゴール4アシストの昨季がトップリーグのレギュラー1年め。マン・シティで開花せず、ヴォルフスブルクに移籍したフェリックス・ヌメチャも、32試合3ゴール6アシストで頭角を現したばかりです。22歳トリオのなかで、メイソン・マウントを獲り逃した際のオプションといえるのはクドゥスのみでしょう。

マンチェスター・ユナイテッドとチェルシーのラインは、完全に切れたわけではありません。これから2ヵ月の間に、情勢は変わるのでしょうか。口の悪い記者は「カイセドはチェルシーへの嫌がらせ。本当は興味はない」といっていますが…。中央で動きが止まっている綱引きの行く末を、期待せずに追いかけたいと思います。決まらなかったら、困るのはチェルシーですよね？