偏愛的プレミアリーグ見聞録

ファビーニョとヘンダーソンをサウジアラビアに抜かれ、カイセドとラヴィアのハイジャックは失敗。遠藤航とフラーフェンベルフの獲得を何とか間に合わせ、頭数を揃えたリヴァプールの夏の補強は、「ぎりぎりセーフ」ぐらいの評価でした。

チェルシーとの開幕戦を1-1のドローで終えたクラブは、負傷者が続出し、ピッチの上でもさまざまなトラブルに見舞われました。2節のボーンマス戦でマック・アリスターが1発レッド。3節のニューカッスル戦もファン・ダイクが決定機阻止と見做され、赤いカードを突き付けられました。それでも5連勝で無敗キープ。最大のアクシデントが起こったのはスパーズ戦でした。

ルイス・ディアスが大誤審でゴールを取り消され、カーティス・ジョーンズとジョッタにレッドカード。9人になったチームが、必死に守りながらワンチャンスを活かそうとする様は感動的でした。ドローに持ち込んだかと思われたラスト1分、マティプがオウンゴール。敗れはしたものの、今季のレッズは簡単に勝てるチームではないと印象づけた一戦でした。

アンフィールドで全勝のレッズが、日曜日に戦ったのはノッティンガム・フォレスト。コロンビアに住む両親の事件でルイス・ディアスは欠場となり、前線にはサラー、ジョッタ、ダルウィン・ヌニェスが並んでいます。中盤はフラーフェンベルフ、マック・アリスター、ショボスライの新戦力トリオ。4バックはアーノルド、コナテ、ファン・ダイク、ツィミカスです。

8分のCKを叩いたジョッタのヘッドは、GKの正面。15分のマック・アリスターのミドルは、左に切れていきました。中盤を支配していたレッズは、右からの再三のクロスが味方に合わず。29分、サラーがボックス右に出したパスを追ったダルウィン・ヌニェスは、角度のないところからの一撃をGKマット・ターナーに阻まれました。

先制は31分、自陣で奪ったマック・アリスターが右のサラーを走らせたカウンター。中に持った11番は、左で空いていたジョッタではなく、右に流れたダルウィン・ヌニェスに縦パスを通しました。右足のシュートをGKが弾くと、詰めたジョッタが難なくプッシュ。ベンチに向かったストライカーは、スタンドを見上げて7番のシャツを掲げています。

2点めは35分、起点となったのは中央からドリブルで上がったショボスライ。パスをもらったサラーがボックス右に転がすと、ショボスライはフリーです。低いクロスに左足を出したのは、ゴール前2メートルにいたダルウィン・ヌニェスでした。40分のショボスライとフラーフェンベルフの連打は、いずれも右に飛んだマット・ターナーがセーブ。前半のレッズは完璧でした。

後半に入っても、レッズペースは変わらず。ジョッタとフラーフェンベルフは58分に下がり、エリオットとガクポが入っています。64分のサラーのFKは、右にアウト。77分、自陣ボックスの左手前からロングフィードを右に送ったショボスライは、自身にこの日2つめのアシストが付くとは思わなかったでしょう。

サラーの前に飛び出したマット・ターナーは目測を誤ってボールに触れず、あっさり奪われてしまいました。冷静だったエースが、ボックスの外から右足で流し込んで3-0。最後に決めたゴールもさることながら、ダルウィン・ヌニェスとショボスライを走らせてゴールを生み出した前半の2本の縦パスが、この日の勝因でした。

80分に登場した遠藤航は、パスを3本出しただけでタイムアップを迎えています。3-0で快勝のリヴァプールは、2戦連続のクリーンシート。プレミアリーグ10試合8ゴール4アシストのサラーは、トッテナム戦以外はすべてゴールかアシストを記録しており、直近の公式戦4試合で6ゴールと無双状態に突入しています。

前線の5人はトータル17発で、誰が出てもOK。プレミアリーグでフルタイム出場のショボスライと、フィット感が高まってきたマック・アリスターは、蓋を開けてみたら極上の補強でした。最終ラインのリタイアを最小限に抑えられれば、リヴァプールは優勝争いに残るのではないでしょうか。11月末のマンチェスター・シティ戦が、今から楽しみです。