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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

完全移籍決定は未だゼロ…現地記者が語る「プレミアリーグの冬のマーケットが盛り上がらない理由」

1年前のトランスファーマーケットは、初日にリヴァプールがPSVのコーディー・ガクポを獲得という華やかなニュースでスタートしました。移籍金は3500万ポンド。6日には、チェルシーがモナコのバディアシルに2800万ポンドを投じ、翌日に獲得したヴァスコ・ダ・ガマのアンドレイ・サントスは1800万ポンドでした。

最初の1週間で、トータル1億1600万ポンド。しかし今年は、9日を過ぎても「DONE DEAL」がありません。シェフィールド・ユナイテッドが5日に発表したビジャレアルのベン・ブレレトン・ディアスと、8日に報じられたティモ・ヴェルナーのスパーズ入りは、いずれもローン。移籍間近といわれているのは、バイエルンを蹴ってスパーズを選んだジェノアのCBドラグシンぐらいです。

夏は盛況だったプレミアリーグのトランスファーマーケットは、このまま静かに幕を閉じるのでしょうか。「テレグラフ」のマイク・マグラス記者は、「いつものカオスは解消する可能性がある」「大ヒットは見られないかもしれない」といっています。静寂の背景を語るキーワードは、「PSR」「SPL」「ラ・リーガ」「アジア・アフリカ」の4つです。

ひとつめのPSR、これまでの言葉でいうFFPは、エヴァートンの10ポイント剥奪によって目に見える脅威となりました。マンチェスター・ユナイテッドは動けなくなり、チェルシーの新戦力獲得は手持ちの選手の売却とセット。夏にラヤの移籍金を払えず、ローンで対応したアーセナルも、デクラン・ライスのようなビッグディールは不可能でしょう。

SPL、すなわちサウジプロフェッショナルリーグは、強豪クラブが海外の選手に割ける8枠を使い果たしました。ミトロヴィッチの売却で4500万ポンドを得たフラムや、ヘンダーソン&ファビーニョでを5200万ポンドで手離したリヴァプール、クリバリとメンディで3300万ポンドを手にしたチェルシーのような資金調達の手段は絶たれています。

売却益という観点では、ラ・リーガの凋落もマーケットの沈黙の一因となりそうです。「テレグラフ」の記者は、「レアル・マドリードが8850万ポンドを投じたジュード・ベリンガムの移籍は、ラ・リーガが衰退した勢力であることを覆い隠した」として、夏の移籍金ランキングの2位が1750万ポンドでアトレティコ・マドリードに復帰したグリーズマンであると指摘しています。

レアル・マドリードとバルセロナは、未来の収益を担保に引っ張った資金を利益として計上しようとして、UEFAにそれは負債だと突っぱねられています。セヴィージャ、レアル・ベティス、セルタ・デ・ヴィーゴはサウジに主力を売却し、ビジャレアルはパウ・トーレスとニコラス・ジャクソンをプレミアリーグに持っていかれました。

夏の新戦力がルイス・デ・ガラレタのみで、5人を売ったアスレティック・ビルバオが4位に着けているのは、ラ・リーガの地盤沈下を如実に物語っています。FFPに加えて、サラリーキャップという縛りもある彼らに、プレミアリーグのワールドクラスをビッグマネーで引き抜く力はありません。つまり、サウジに加えてスペインも資金源ではなくなったということです。

最後のキーワードは、アジアカップとアフリカネーションズカップ。ソン・フンミン、パペ・マタル・サール、イヴ・ビスマを大会に差し出したスパーズや、サラーと遠藤航が不在となったリヴァプールは、余剰戦力を売りさばく余裕がないという話です。唯一、積極的に新戦力を獲りにいっているスパーズも、ヴェルナーとドラグシンで終了となる可能性があります。

トランスファーマーケットの動きを追うのも、プレミアリーグファンの楽しみのひとつですが、この冬は近年にはなかった静けさを味わうことになるのでしょうか。ファブリツィオ・ロマーノさんの昨夜のポストで名前が挙がっているのは、ジェイドン・サンチョ、ドラグシン、ハンニバル・メイブリ。1月も10日を過ぎましたが、特段新しい話はありません。


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