偏愛的プレミアリーグ見聞録

「FFPはすべての関係者にフラストレーションを与えている。オーナーたちはとても野心的で、できる限りの方法でスカッドを支え、向上させようとしている。しかし、ルールや条件がそれを許さない。これが現状であり、われわれはできることをやるしかない」

「FFPの状況に関わらず、選手を売らないとは保証できない。フットボールは何が起こるかわからない。プレミアリーグのクラブは、どこも選手を売るはずだ。マンチェスター・シティは、どのクラブよりも収益が高いのに、非常に優秀な選手を売却している。それがいま見えている景色だ。われわれも不本意ながら、アラン・サン＝マクシマンを売った」

発言の主はエディ・ハウ。直近のプレミアリーグ7試合で1勝6敗と絶不調のニューカッスルは、補強どころか主力を手離さなければならない状況に陥っているようです。従来のFFP、すなわちプレミアリーグの収益性と持続可能性に関するルール（Profit and sustainability rules＝PSR）を遵守したいクラブは、冬のマーケットの主役になる可能性が高まっています。

ダレン・イールズCEOもキーマン売却を示唆しており、現地メディアは前線と中盤のワールドクラスをネタにしています。ブルーノ・ギマランイスに興味ありといわれているのは、リヴァプールとチェルシー。どちらにとっても、9880万ポンド（約183億円）のバイアウト条項は高いハードルですが、よりリアルなのは夏にカイセドとラヴィアを獲りそこなったほうでしょう。

そしてもうひとり、冬にチームを離れるかもしれないと報じられているのは、アレクサンダル・イサクです。「アーセナルが獲得をめざしている」といっているのが「フットボールロンドン」だけなら笑ってスルーですが、ニューカッスルの地元メディア「クロニクルライブ」も乗っかっているとなると興味が湧きます。

プレミアリーグ初年度の昨シーズンは、22試合10ゴール2アシスト。今季は16試合10ゴールで、既に昨季の数字に並んでいます。2022年8月に、ニューカッスルがレアル・ソシエダに支払った移籍金は6000万ポンド。24歳のストライカーのスタッツを見ると、1億ポンド以上に吊り上げられそうですが、キャッシュがほしいクラブは現実的な値付けをすると見られています。

1億ポンドといわれるイヴァン・トニーにはアプローチしなかったガナーズは、イサクが6000万ポンドなら動くのではないでしょうか。クリスタル・パレスがエディ・エンケティアに3000万ポンドを出すと報じられており、これに応じればリース・ネルソンやモハメド・エルネニーでプラスマイナスゼロにできるレベルです。

スピード、テクニック、左ウイングもこなすユーティリティ、マジメで謙虚…すべての面でアルテタ基準をクリアできそうなストライカーは、得点力不足に悩むアーセナルを変えられる存在です。今はまだアプローチはないようですが、これまで挙がった候補のなかで最も魅力的だったので、ハイテンションで書いてしまいました。彼らの今後のアクションに注目したいと思います。