【Leicester×Chelsea】布陣変更は質を下げただけ…レスターはエース不在のチェルシーに必然の完敗!
開始2分、右サイドのインターセプトからカウンターに出たのはレスター。ヴァーディが左のムサに渡すと、角度のないところからの左足シュートは、クルトワが体を張ってセーブ。こぼれ球を再度キープしたムサは、次のシュートを打ち切れませんでした。悪くないスタートだったレスターは、マルコス・アロンソに上がられた6分、あっさり先制点を奪われてしまいます。カンテからパスを受けたアスピリクエタのクロスをペドロとモーガンが競ると、こぼれ球はアザールへ。自分で打つかと思いきや、10番は左で空いていたマルコス・アロンソに優しく落とし、右足のコントロールショットがシュマイケルの左手の先を抜きました。
反撃を試みるレスターは、16分にドリンクウォーターがアーリークロス。ヴァーディには合わなかったものの、ハイクロスからの失点が多いチェルシーには効果的なボールです。その1分後には、右サイドからオルブライトンが突破を図り、素晴らしいクロスが中央へ。競り勝ったチルウェルのヘッドは当たりが薄く、左サイドに流れてしまいます。18分に右からボックスに入ったヴィクター・モーゼスは、抜け出す態勢で転倒したものの、接触はなかったとして笛を吹いてもらえません。この後は、ホームチームの攻撃をチェルシー守備陣が冷静にはね返す時間が続きます。
左で奪い、右に展開するカウンターを連発するレスター。エンディディからパスを受けたチルウェルがヴァーディを縦に走らせ、落としをもらったエンディディがミドルレンジから打った28分のアタックは、迫力がありました。36分には、アウトにかけたオルブライトンの縦パスでヴァーディが右サイドに流れ、きわどいクロスが中央に届きますが、ムサの前に出たクルトワが弾いて決定機は潰えます。43分、チェルシーに久しぶりのチャンス。ダヴィド・ルイスが直接FKを中央のアザールに出すと、ダイレクトのラストパスがペドロにつながりますが、フィニッシュがうまく当たりませんでした。ラニエリ監督は、攻めていた前半のうちに追いつきたかったでしょう。0-1で折り返したセカンドハーフは、ゲームのイニシアティブをとったチェルシーが開始6分で追加点を決めました。
フクスがウィリアンをつかんでしまった右サイドからのFK。ボックスの外にいたマルコス・アロンソがこぼれてきたボールを叩くと、ウェズ・モーガンに当たってコースが変わり、ゴール左隅に飛び込んでしまいました。0-2となってもチェルシーのペースは変わらず。アザールに突破されそうになったモーガンは、シュマイケルの飛び出しで事なきをえます。60分、岡崎慎司を呼んだラニエリ監督は、フートを下げるというギャンブルに出ます。レスターの布陣は、フクスCB、チルウェルSBの4バック。64分、ヴィクター・モーゼスが高く上げたクロスに合わせたマルコス・アロンソの左足ボレーは、わずかに右に切れてハットトリックはなりません。
71分、試合を決めたのはペドロでした。敵陣でのインターセプトから右のヴィクター・モーゼスにボールが出ると、カットされたボールを拾ったカンテがすかさずペドロへ。右に出したダイレクトパスでウィリアンがフリーになると、シュートは飛び出したシュマイケルがセーブしますが、ゴール前に浮いたボールをペドロがヘッドで左隅に落とします。コンテ監督が79分にアザールをセスクに代えたのは、守るためではなく主力を休ませるためでしょう。バチュアイとロフタス=チークにプレミアリーグの場数を踏ませたチェルシーは、危なげなくタイムアップを迎えました。
特段よかったわけではなかったチェルシーの勝因は、「相手の3バックのクオリティが低く、横からのボールとダイレクトパスに弱かったから」だと思います。レスターの守備陣は、CBが1枚サイドに引っ張られただけでマークがずれ、しばしばファーサイドを空けてしまいました。マルコス・アロンソが2発決めたのは極めてシンプルな理由で、アスピリクエタやカンテが上がってくると、オルブライトンまで中のマークに駆り出され、いちばん外が留守になるのです。エンディディがラインに加わってカバーするなどの約束ごとまで徹底させる時間がなかったのでしょう。しかし…。
レギュラーを固定し、カウンター主体の4-4-2でプレミアリーグを制覇したラニエリ監督の最大の武器は「徹底度」だったのだと思います。カンテを失ったのは激痛でしたが、それだけならTOP10は充分狙えるはずです。予想外に低迷したのは、今季に入ってうまくいかなくなった指揮官が「ティンカーマン」に戻ってしまったからではないでしょうか。あの手この手を試すうちに、レスターは自分たちの強みを忘れてしまったようにみえます。
「レギュラー固定によって徹底度を上げた3-4-3」にひねられたゲームを観て、あらためて思いました。ナンパリス・メンディが復帰し、エンディディまで加わったチームを、いつまでも「カンテがいなくなったから弱体化した」などといっていてはいけない。復活できないとすれば、「カンテがいなくても勝てる戦術を指揮官が構築できていないから」だ、と。(マルコス・アロンソ 写真著作者/Carlos Foraster)
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レスターはフィルター役を2人配した19節のウェストハム戦の様な4-2-3-1が現状ベストだと思います。マフレズが今季少し凡庸になっているのはボールロストを拾われると危険なシーンに繋がるケースが増えて、昨季の様な大胆な仕掛けができていないからだと思います。なので、3列目に人数を割いてケアすることでトップ下に置いたマフレズによりアグレッシブになってもらうと、アザールの様に輝きを取り戻すかもしれません。
それにしてもこの3バック対決を含め、土曜日にプレーした16チーム中7チームが4バックではないフォーメーションでプレーしたそうです。僕はコンテという黒船襲来でプレミアに3バックブームが起きるのを密かに期待していたので個人的に面白い限りです。リーグに戦術的な変化が起きているのは間違いないく、次は欧州の舞台でプレミア勢にブレイクスルーが起きる事を密かに期待しておきます笑
更新お疲れ様です。
年末年始のゴタゴタでしたが、レスター戦はなんとか見る事が出来ましたがレスターは前回の対戦よりある程度対応して来ましたね。ヴァーディにも何本かいいロングボールが入りそうになりましたが、前線3人が撹乱してくれている中、アロンソが決めてくれましたね。
チェルシーの先行逃げ切り的な所がありますし、早い時間帯で前線ではないアロンソやモーゼスが決める事で前線のマークが多少分散するのもいい傾向でした。あとは、コスタ頼むよ。今は勘弁してと言った所でしょうか。しかし、トッテナム戦見れなかったのが痛恨です…。
ホタさん>
伝統や過去履歴を重んじるイングランドで、3バックがここまで広がるとは思ってませんでした。コンテは革命ですね。レスターについては、私は原点回帰するのがいいのではないかなと思ってます。メンディが戻り、エンディディが加わったのでやれるのではないかと。最大のネックは、SBのパフォーマンスが昨季レベルになく、横から危険なボールを入れられすぎることだとみています。
雨好さん>
サイドやセントラルの選手がちょっとポジションを間違えただけで、マルコス・アロンソとヴィクター・モーゼスが余るんですよね…。ギアが入って攻撃陣がゴール前に殺到したときの、チェルシーの機能美には惚れ惚れします。