イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

真夏の名勝負!バイエルン・ミュンヘン、終了直前の同点弾&PKでチェルシーにリベンジ

 チェコはプラハのエデン・アレナで行われたUEFAスーパーカップは、両者の意地が激突した稀にみるエキサイティングなゲームでした。主軸が残り、継続性のあるチームづくりができる状態だったとはいえ、バイエルン・ミュンヘンを今季から率いるベップ・グアルディオラとチェルシー新監督のモウリーニョは、短期間でよくぞここまでチームを作り上げたなと感心しました。攻めていたのはバイエルン・ミュンヘンでしたが、決定機の数はほぼ互角だったかと思います。最後の最後まで、チェルシーが勝つと思ったのですが…。

試合開始後、バイエルン・ミュンヘンがゲームの主導権を握るものの、先制したのはチェルシー。立役者は、エディン・アザール。8分、自陣センターサークル付近でボールを受けた17番は、ドリブルで3人をあっという間にかわすと右サイドのシュールレへやさしいパス。フリーで受けた期待の若手が中をよく見てF.トーレスの足元に送ると、右足ダイレクトで放ったシュートがゴール右にきれいに吸い込まれます。手数をかけずにフィニッシュにつなげるモウリーニョサッカーらしさを体現するアザールの突破力と、巧みなコントロールシュートで簡単ではないボールを決めたF.トーレスの技術が結集した見事な一撃でした。

この日の主役は、間違いなく両クラブとも左サイドMFでしょう。先制されたバイエルンは即座に反撃に移りますが、前半だけでリベリーは何本のシュートを打ったでしょうか。アザールともども、左サイドでボールを受けると、相手をドリブルでかわしてシュートに持ち込むその強さと上手さは、相対していたチェルシーのイヴァノヴィッチ、バイエルンのラフィーニャやラームとも、わかっていてもなかなか止められませんでした。それでも両チームGKの好守もあり、前半はチェルシーの1-0のまま折り返します。

しかし後半間もなく、リベリーのしつこいまでの突破がついに実ります。左サイドでボールをキープしたトニ・クロースからの横パスを受け、軽く前に出し、コースが空いたのを確認すると、左隅に強烈な一発。それまでファインプレイの連発で、ゴールを許さなかったチェフもこれには触れず、1-1の同点です。勢いにのったバイエルンは、この後も攻め続けますが、逆転ならず。逆に84分にはFKからダヴィド・ルイスに完璧なヘディングシュートを打たれ、ノイアーのビッグセーブでしのぐなど、どちらが勝つかわからないスリリングな展開。後半終了間際には、2枚めの警告でラミレスが退場となり、ますますバイエルン優位となりますが、スコアは動かないまま延長戦となります。

延長前半開始早々の93分、勝ち越したのはチェルシー。決めたのは、やはり危険だったアザールです。左サイドから中へドリブルで侵入し、ラーム、ボアテングをかわすと右足一閃、強烈にノイアーを抜きます。リベリーに決められたシュートのお返しをするかのような勝ち越しゴールで、プレミアリーグ勢の8年ぶりの優勝の瞬間が近づいてきました。この後は、10人のチェルシーが守り、バイエルンがひたすらシュートの雨を降らせる展開。チェフは、何試合分のビッグセーブを披露したでしょう。しかし、決まりません。ロッベンのシュートは気負いすぎてゴールの右に外れ、リベリーのFKもチェフがクリア。残り1分を切ってチェルシーがリード。あのチャンピオンズリーグ決勝戦に続き、再びバイエルンは押しまくったゲームを失うのでしょうか…。

しかし2年前はドログバとチェルシーに微笑んだ勝利の女神は、この日は逆に三冠を達成したチャンピオンズリーグ王者に微笑みかけます。延長終了直前、120分間変わらず必死の攻勢をかけていたバイエルン・ミュンヘンは、左からのクロスをダンテが触ってハビ・マルティネスに流すと、途中交代で入ったフリーのセンターMFが左足でチェフを破り、何と2-2、またしてもPK戦です!

あの日、ロッベンが延長戦でPKを外してから運に完全に見放されたように、最後に追いつかれたチェルシーには、もはや味方するものはありませんでした。9人めまで全員成功していたPK戦は、ラストキッカー・ルカクのフェイントが空振りし、中途半端なシュートを左に飛んだノイアーがストップしてあっけなく幕を閉じます。勝ったのはバイエルン・ミュンヘン。UEFAスーパーカップでの激闘など、サッカーの歴史にはほんの小さくしか残らないのでしょうが、観た人は忘れない名勝負。ポストバルサを担うべき現代的な2チームが、2013-14シーズンのサッカーの行方を明示して、あっという間の135分を締めくくりました。

「直線的かつスピーディーな攻撃」「サイドMFの中への斬り込み・飛び出し」「中盤の組織的な守備」など、来年のワールドカップにつながる、2014年スタイルを見せられたような試合でした。この2チームに勝つのは大変ですね。スペイン勢の逆襲はあるのか、プレミアリーグ勢が後ろからモウリーニョの寝首をかけるのか。9月17日から、いよいよ今季のチャンピオンズリーグが始まります。(写真著作者/ハビ・マルティネス:Henrik Alexandersen エディン・アザール:Ben Sutherland)

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“真夏の名勝負!バイエルン・ミュンヘン、終了直前の同点弾&PKでチェルシーにリベンジ” への1件のコメント

  1. That’s a subtle way of thinking about it.

コメントを残す