偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスターユナイテッド、アーセナルがんばれ！～CL展望その1

3週間もすれば、いよいよチャンピオンズリーグが再開されます。決勝トーナメント1回戦。2007-08シーズンにはベスト4に3チームが残り、無類の強さを誇ったイングランド勢も、この2年は2チームが1次リーグで姿を消すなど、スペインの後塵を拝しています。ああ、昨年のマンチェスター・ユナイテッドはほんとうに信じられなかった。決して難しいグループではなかったのに。まさかバーゼルに勝てないとは。……この話をすると長くなるので元に戻しますが、昨季はマンチェスターの2チームが姿を消し、今季は2年連続でシティOUT、そして史上初めて、ディフェンディング・チャンピオンがこの段階で終戦を迎えるという屈辱をチェルシーが味わうことになってしまいました。イングランドに与えられている4つの参加枠を守るためにも、この戦いで早々と全員討ち死にするわけにはいかないわけですが、

うーん、しんどい。あまりにも、クジ運が悪い。

ご存知の方が多いと思いますが、ユナイテッドは2月13日にレアルと、アーセナルは2月19日にバイエルンと当たることになってしまったわけです。最悪、春を迎える前に誰もいない、なんてことになっても何の不思議もありません。

まあ、いつまでも運を嘆いていても仕方ありませんね。あまり愚痴っていると「負け前提」のように聞こえます。要は、勝てばいいだけです。そこでこの場では、簡単にではありますが、まずは敵を知れ、ということでプレミアの両雄が戦う相手を紹介したいと思います。

まずはレアル。対戦が決まったとき、サー・アレックス・ファーガソン監督が「久しぶりにモウリーニョと会うのだから、いいワインを用意しないと」と言ってましたが、これはジョークではありません。プレミアリーグでは、試合終了後にホームチームの監督が自分の部屋に対戦相手の監督を招き、一杯酌み交わすという文化があり、この2人はそういう機会を通じてかなり交流を深めたようです。外から見ていても、チームマネジメントに対する考え方、サッカーのスタイルなど共通項が多く、それゆえにがっぷり四つの熱戦が期待できそうです。

今年のレアルは、とにかく不安定。リーガ・エスパニョーラではバルサに15点、2位のアトレティコに勝ち点7点差をつけられ、もはや優勝は望むべくもない3位。ベンゼマ、イグアイン、クリスティアーノ・ロナウドと、ワールドクラスのFWを3人抱えており、勝つときは5点、6点獲っての大勝も多いのですが、負けるときはバラバラ。チャンピオンズリーグでも、決していい状態ではなかったドルトムントに2試合とも勝てませんでした。対するユナイテッドも今季は破壊力のある攻撃ともろいディフェンスが共存しているので、この勝負は、「お互いアウェイでどんなサッカーをするか。すなわち、いかに失点を最小限に止めるか」がポイントになるのではないでしょうか。

当然ながら、素晴らしいのはFWだけではありません。中盤の人材の豊富さ、最終ラインのレベルの高さもバルサと肩を並べるほどです。むしろ、いいときのディフェンスは、こちらのほうが上なのではないか、と思ったりもします。モドリッチ、シャビ・アロンソ、ケディラ、エッシェンのうち、常に2人はベンチにいるという信じられないセンターMF陣、DFラインを束ねるセルヒオ・ラモス、世界一のGKカシージャスなど、並べながら愕然としてしまうようなセンターのぶ厚さが彼らの強みです。さらにいえば、今季はリーガ制覇はほぼ無理なので、モウリーニョのモチベーションは自身3クラブめのCL制覇にあり、ここ1本に絞ってくるはず。プレミアでシティに負けるわけにいかないサー・アレックスよりも、高い集中力でこの大会に臨めるのもある意味、アドバンテージでしょう。

弱点があるとすれば、チームに蔓延する不協和音。監督と選手の軋轢です。暮れに”おしおき人事”でスタメンを外されたと報じられたカシージャスを筆頭に、C.ロナウド、セルヒオ・ラモス、カカなどさまざまな選手がゴシップ記事を飾っています。多少、大げさに盛っているのでしょうが、とはいえ火のないところに煙は立たず、ですよね。13日の初戦、レアルはどんなコンディションでピッチに現われるのか。ユナイテッドはこの時期までに香川はフィットするのか、DFラインは落ち着きを見せるのか。興味は尽きません。書いているうちに熱くなり、長くなってしまいましたが、次稿でバイエルンを紹介します。

バイエルンに死角はあるのか？～CL展望その2　に続く

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