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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

スポンサー、選手、英国政府、アブダビ…マン・シティへのペナルティが及ぼす巨大な影響範囲。

週末の現地メディアは、スカイブルーに染まったといっても過言ではないでしょう。デヴィッド・オーンスタイン記者の独占スクープの後、「アスレティック」は15本の記事をリリースしており、「テレグラフ」のTOPページもマン・シティの財務規則違反に関する記事にジャックされています。115件の容疑に対して114件がアウトという判決は、ショッキングだったようです。

スポーツの世界を広く見渡しても、これほど広範囲かつ長期にわたる不正は過去に例がなかったといえるでしょう。ユヴェントス、ACミラン、ラツィオ、フィオレンティーナが一斉にペナルティを受けた2006年の「カルチョーポリ」は、自らに有利なジャッジを下すレフェリーをアサインさせようとした大がかりな買収ですが、対象となったのは2004-05シーズンからの2年だけです。

マン・シティの控訴が却下されれば、厳しいペナルティは免れないでしょう。近年のルール違反の前例を見ると、ポイント剥奪、罰金、降格、補強の禁止のいずれかは必須です。2023-24シーズンに1億500万ポンドの損失というPSRのラインを超過したエヴァートンは、8ポイントの剥奪。3450万ポンドのオーバーとなったノッティンガム・フォレストは、4ポイントを失っています。

彼らは初犯で、容疑はシンプルです。他業界に目を移すと、NBAのロサンゼルス・クリッパーズは、カワイ・レナードにサラリーキャップを超える額を支払った際に「5年にわたるドラフトの1位指名権剥奪」「3000万ドルの罰金」「オーナー、社長、ビジネス部門長は6ヵ月~1年の活動停止」といった重い処分が下されています。こちらも単一のルール違反です。

今回のマン・シティは、「調査に協力しなかった」だけで30件以上の違反が認定されているため、寛大な措置が取られる可能性は極めて低いといわざるを得ません。2019年、アメリカの投資会社シルヴァーレイクが10%の株式を3億8900万ポンドで買収した際に、世界一の評価額と報じられたシティ・フットボール・グループだけに、スキャンダルの影響範囲は巨大です。

40ポイント程度の剥奪で済めば、ピッチで降格を回避する可能性が残るので、スポンサーは静観するでしょう。しかし、最大のペナルティといわれているリーグ2への降格となれば、契約解除条項を発動させる企業が続出するリスクが高まります。マンチェスターの不動産を買い占めたUAEの投資ファンドは、パイプを築いたアンディ・バーナム首相を動かそうとするのでしょうか。

プレミアリーグのライバルクラブによる損害賠償請求は、少なく見積もっても2億ポンドを超えると報じられています。2011年から2015年に5位が3回あったスパーズは、CLに出場した際の収益を計算し始めているでしょう。クリシー、ナスリ、サニャ、コロ・トゥレ、アデバヨールをマン・シティに抜かれたアーセナルは、トロフィー獲得に至らなかった損失を試算しているはずです。

タブロイド系のメディアは、「アーリング・ハーランドはバルセロナに移籍する」というゴシップを配信しています。チャンピオンシップなら踏み止まろうとする選手も、リーグ2となると移籍の一択でしょう。NBAのようなオーナーや経営ボードへの直接的なペナルティがなかったとしても、スポンサーと選手を一気に失えば、自ら手を引く可能性があります。

マン・シティのオーナーであるシェイク・マンスールは、UAEの大統領シェイク・モハメド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーンの弟で、副大統領兼副首相として国を動かしています。押すボタンを間違えて、イングランドVSアブダビという国際問題に発展したら、プレミアリーグのなかで解決できる話ではなくなってしまいます。

丘の上に佇む豪邸の火事を遠くから見ている間は、野次馬でいられたのですが、ドローンで撮影してみたら手に負えない山火事になっており、麓まで燃え尽くすかもしれない…。想像以上に厳しい判決によってリアリティが生じ、世界のスポーツにおける最大のスキャンダルだと気づかされたということでしょうか。今、私たちが見ているのは、ゴールではなくスタートのようです。


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