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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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3失点7回はプレミアリーグ上位で最多!クロップ監督のチームの守備はここが弱点!?

マンチェスター・ユナイテッドは唯一のゼロ。マンチェスター・シティ、トッテナム、チェルシーは1回、バーンリーは2回。これらの数字は、今季プレミアリーグで3失点以上を喫した試合数ですが、上位のなかでリヴァプ―ルとアーセナルの5回はかなり目立ちます。欧州や国内カップまで対象を広げると、FAカップでノッティンガム・フォレストに4発喰らったガナーズは6回。CLでセヴィージャに3-0から追いつかれたうえに、FAカップ4回戦でWBAに前半だけで3つもらったレッズは計7回で堂々のトップです。1月にセインツからヴィルジル・ファン・ダイクを獲得したのは大正解だと思いますが、期待のCBが出場した3試合は5失点と、補強の成果を実感できるのはまだ先のことのようです。

プレミアリーグとFAカップの3試合で、ファン・ダイクが直接失点に絡んだのは、スウォンジー戦でヘディングのクリアが小さくなってしまい、こぼれ球をモーソンに決められたシーンのみ。レッズ守備陣の喫緊の課題は、他のポジションにあります。アンカー、右SB、そしてアルベルト・モレノ。直近の3失点以上を喫したアーセナル戦、マンチェスター・シティ戦、WBA戦は、大半が右サイドを崩されて中央で決められるパターンでした。ジョー・ゴメスの欠点は、相手よりもボールを見てしまうこと。カイル・ウォーカーのロングフィードの目測を誤り、サネに入れ替わられたミスや、アレクシス・サンチェスに前に入られてヘディングを決められたシーンは、アタッカーの動きを意識していれば防げた失点でした。攻めれば魅力的なアーノルドとアンカーに入ったときのエムレ・ジャンは軽いタックルが目立ち、WBA戦では彼らが簡単に抜かれたために、ブラントやジェイ・ロドリゲスに余裕を与えてしまいました。

1発でボールを奪うことより相手の自由を奪うことを優先し、スペースを埋める意識が高いモウリーニョ監督のチームの守備戦術は、レッズのセントラルMFとSBにとって、いいテキストになるのではないでしょうか。SBで及第点をあげられるのは、ロバートソンだけでしょう。彼が出場した試合で3発喰らったのはアーセナルとマン・シティ戦ですが、持ち場の左サイドを致命的に崩されるシーンはありませんでした。開幕当初は以前の不安定なプレイが影を潜めていたアルベルト・モレノは、あのセヴィージャ戦で悪い頃に戻ってしまった感があります。WBA戦は、左SBのカバーが緩かったためにファン・ダイクが2人を見ている状態で、屈強なCBのチェックが及ばなかったほうの選手に決められてしまいました。

と、ここまでレッズのMFやDFの守備について、ひととおり課題をピックアップしてまいりましたが、プレミアリーグで20失点以下の上位3クラブにミスがないかといえば、そんなことはありません。彼らの最終ラインの後ろには、決定的なシュートをセーブしてくれるエデルソン、デ・ヘア、クルトワがいるのです。リヴァプールにワールドクラスの守護神がいれば、開幕のワトフォード戦、チェルシー戦、アーセナル戦などいくつかの試合は勝ち点3で終えることができたでしょう。GKの活躍で拾った勝利が極端に少ないのも、レッズが抱える課題のひとつです。守護神の信頼感が上がれば、ロバートソン、ファン・ダイク、マティプはより安定感が増すのではないかと思います。

私は、ドイツで素晴らしいセービングを見せていたロリス・カリウスに2年めの奮起を期待していたのですが、次の夏にはビッグネーム獲得に走ったほうがいいのではないかと思い始めています。右サイドは、ナサニエル・クラインの復帰で変わるでしょうか。左は当面はロバートソンとミルナーでまわすのがよさそうです。中盤は、今季はエムレ・ジャンとヘンダーソンにがんばってもらうしかありませんが、カンテやマティッチのように後ろを締めながら攻撃にも貢献してくれる選手がほしいところです。ナビ・ケイタを引き気味に置くのか、あるいは…?攻めて攻めて攻め倒してプレミアリーグを勝ち切るレッズを見たいという気分はありながら、「守りたいときは守り切れるチーム」でないとペップのチームの上に立つのは難しいだろうとも思います。

SASという突然変異がなければヨーロッパリーグ出場権争いが精一杯だったクラブを、CLの常連に引き上げつつあるクロップ監督の功績はリスペクトされるべきだと思います。しかし、現状から一歩進んで久しぶりのタイトルを獲得するためには、「前で奪って速く攻める」コンセプトを徹底するだけでなく、後ろの強度も一定レベル以上に引き上げないといけないという認識です。ペップやモウリーニョさんのように、守備の選手に高いレベルの動きを要求できる監督なら若手抜擢やコンバートもいいのですが、守備戦術においては緻密さに欠けるクロップさんの場合は、最終ラインには出来上がっている選手を置くべきなのかもしれません。モンレアル、コシールニー、ムスタフィが揃わないととたんに脆くなるヴェンゲル監督にも、同じことを感じます。似てますよね、このふたり。「選手の信頼が厚い」「補強にお金をかけたがらない」「獲るとなると極端に前を優先」「今いる選手を大事にし、ドライな放出ができない」等々。憎めないのが、やっかいでもあります。

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“3失点7回はプレミアリーグ上位で最多!クロップ監督のチームの守備はここが弱点!?” への5件のフィードバック

  1. レッズ より:

    更新お疲れ様です。
    私にはファンダイクの獲得が大正解だとは今のところ思えません。
    DF最高額の100億を払っていることを考えればコストパフォーマンスはよくないですし、これだけの額を払っているのだから即効性を期待してしまうものです。
    まあまだ2試合しかでてないのでまだまだこれからの選手だとは思いますが。

    そして今季クロップ政権で初めてCLに出たのに常連というのはまだ早いかと。
    確かに今はCL圏内ですがルーカスモウラの獲得がせまるスパーズとオバメヤンの獲得がせまるガナに追い上げられる可能性は高いと思います。
    コウチーニョが抜けた穴をレッズは補強しないらしいですからね。

    いずれにせよ今季も無冠がほぼ確定となったクロップの評価は今シーズンCL圏に入れるかで決まると思っています。
    CL圏に入れば他クラブよりお金を使わずに攻撃的なチームを作った名将、入れなければコウチマネーがあるにもかかわらず補強をケチりいつまでも守備が改善しない監督。

    優勝はシティでほぼ決まりですが混戦のCL圏争いを楽しみにしています。

  2. Motsuki909 より:

    右SBは悩ましいポイントですね。ゴメスとTAAは成長過程。どちらを起用しても一長一短があります。

    リヴァプールは攻める為の守備(ゲーゲンプレスをはじめとした、“止める”守備ではなく“奪う”守備)に適性があると勝手に思っています。

    アンカーとDFラインが守備ラインではなく、フィルミーノが1stDFである限り、いっそ後ろの選手も攻撃に振り切れた方が良いのでは、と思う事もあります。

    攻撃的な上位にハマる事は、いくつかの実績が有効性を示しています。問題は中位以下または守備的な相手に対して、です。後方からのビルドアップとオーバーラップの数が増えれば、糸口が見出せるやもしれません。

    GKについては、シュートストップ能力ですかね。もしくはコーチング能力。バランスの良いGKが理想的ですけど、市場には出回らないでしょうし。極端に一芸に秀でたタイプでも良いのかな、とは思います。

  3. セレマツ より:

    クロップはモチベーターとしては優秀かもしれませんが、チーム作りは下手ですね
    攻撃は個人能力が高い選手が噛み合えばどうにかなるところがありますが、守備は連動性だったり約束事の共有が出来ていないとどうにもなりません。
    GKのスーパーセーブで勝ち点拾うとか考えること自体がナンセンスだと思いますよ・私は 。
    まぁ昨シーズンはストーク戦のミニョレのスーパーセーブのおかげでCL圏内確保出来たってのもありますが…

  4. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ダイクはモレノとのコンビネーションに苦労している感じを受けましたが、まだそれほど実践も積んでいないので何とも言えないですが、、。今はロボの方がSBとしての安定感は上ですね。
    冬の補強はこれ以上ないと思われるので、現有スカッドで戦い抜きCL出場権利を確保してほしいところです。

  5. タムコップ より:

    何年も脆弱な守備陣だと言われ続けてるのである程度免疫が出来てはいますが、やはりスペースを埋めてくれるアンカーのスペシャリストは一枚欲しいですね。
    これまで強かった時代のリヴァプールには必ずそういう汚れ役がいたんですが、今の陣容だとやはり薄いなーと。
    あとは管理人さんもおっしゃってるとおり、GKは緊喫の課題ですね…。
    万全時ではなかったぺぺ・レイナでも今の2人よりは一段上のパフォーマンスを見せてくれてたし。

    あとは、アグレッシブにボール奪取に向かう中盤よりも前目までの動きはいいのですが、後手を踏んで受け身になった際、あまりにも「戦術」を意識し過ぎてなのか、1対1で止めるディフェンス意識が低過ぎる気もしてます。
    その辺、ファン・ダイクの獲得が良い方向に出ればなあと思ってますが、やはり守備の基本は1対1で勝つことじゃないかなあ、と。
    ディフェンス陣崩壊の今だからこそ、ロバートソンのような絶対に陣地を割らせないという姿勢がアンカー以降のディフェンス陣には求められると思ってます。これが出来ればまず不必要な失点は減るだろうと。

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