補強に苦しむプレミアリーグのビッグクラブ…「移籍市場締め切り前倒し」の影響はいかに⁉
「シーズンが開幕する前に、トランスファーマーケットは締め切るべきである」。昨季までは8月末に設定されていたプレミアリーグの移籍市場締め切りは、新シーズン開幕直前の8月9日に前倒しされました。一昨年にプレミアリーグに所属していた20クラブによる投票では、14クラブが賛成票。バーンリーが投票を棄権し、マンチェスター勢が反対したレギュレーション変更は、原則論としては納得できるものです。これによって、移籍交渉を行っている選手が序盤戦を欠場するなどの弊害がなくなり、経済的に余裕のあるクラブが当初の結果を受けて弱点補強に打って出ることもできなくなりました。想定外の移籍によって、シーズン開始後にチームづくりの方針変更を迫られるクラブもなくなり、よりフェアな戦いが繰り広げられることになります。
ただし、導入のタイミングについては、2つの観点で拙速だったように感じます。ひとつは、ワールドカップイヤーを初年度としたこと。もうひとつは、「8月10日以降もマーケットが動いている欧州に、売却はできる」としたことです。ワールドカップに集中するために、期間中は自らの身の振り方について検討をストップする選手が多く、大会が終われば彼らは心身のリフレッシュに時間を割くことになります。ウルグアイの敗退直後にメディカルチェックを行ったアーセナルのルーカス・トレイラのように、早期に段取りをつけておかなければ、代表クラスの獲得は7月中旬以降にずれ込んでしまいます。クラブにオペレーションの変更を求める施策を、世界最高峰の大会が開催される年から始めたことが、モウリーニョさんやポチェッティーノさんの嘆きを生んだのではないでしょうか。
プレミアリーグは残り1週間、大陸は1ヵ月という締め切りに対する緊張感のギャップも、「代役を獲れなければ売却には応じられない」といった場合の成否に影響を及ぼしたのではないでしょうか。3位決定戦に残ったイングランド代表GKの獲得交渉に充分な時間をかけられなかったチェルシーは、クルトワ売却を断った後も、スペインのクラブや代理人からの揺さぶりに耐え続けなければならなくなるかもしれません。「余剰戦力の整理に時間をかけられる」というメリットもあるので、デッドラインデーを越えてみないと実態的なプラスマイナスはわかりませんが、来季以降は欧州と足並みを揃えたいところではあります。
以上はマーケットの動きをウォッチしてきた私の感覚値であり、実際にどうだったのかはクラブからの声を待つとして、「フェアなのはシーズン前終了だが、クラブが運用しやすくファンも盛り上がるのは8月末」なのではないかとも思います。少なくとも、シーズン前終了を継続させるためには「欧州全体が同一ルール」は必須でしょう。ここ数年、ロケットスタートを通常運用としているリヴァプールに倣えばいいのですが、ワールドカップやユーロの直後にもはや止められないインターナショナルチャンピオンズカップが続くなかでのドタバタを、2年に1回見ることになるのは勘弁してほしいという気分もなきにしもあらずです。
プレミアリーグ2018-19シーズンの序盤は、ワールドカップによる出遅れ組が多いビッグ6が、ジャイアントキリングを許しまくる展開になるのでしょうか。「BBC」によると、直近9年のプレミアリーグ王者のうち、次のシーズンで勝ち点を伸ばしたのは2011-12シーズンのマンチェスター・ユナイテッドのみ。前年王者よりも少ない補強額で優勝したのは、2010-11シーズンのマンチェスター・ユナイテッドと、2015-16のレスターだけです。「多くの王者が補強額を絞り、大型補強に成功したクラブに連覇を止められている」という彼らの論に乗れば、2018-19シーズンの勝者はリヴァプールですが、果たして…!いや、デッドラインデーまであと4日あります。優勝予想をするなら、戦力が固まった10日以降ですね。
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まぁ移籍市場が始まる前から分かってた事ですからそれを見越して動いたリバプール、アーセナルは賢くて上手く動けてないユナイテッド、スパーズ、チェルシーはアホだったってだけの事でしょ。
リバプール、アーセナルとそれ以外の4チームに差が現時点であるのは、私もフロントのやる気のほうが大きい気がします。
分かりやすい記事ありがとうございます。そういうことですか。
まだ代役確保が出来ておらず売却に応じてもらえないケースは頻発してそうですね。
他国のビッグクラブから主力選手を引き抜きにくい状況で、むしろよくアリソン獲れたなと思いました。笑