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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Chelsea×West Ham】33歳でプレミアリーグ初出場のGKが、4位チェルシーを完封!

7節のブライトン戦からプレミアリーグ6連勝。前節のマンチェスター・シティ戦は2-1で敗れはしたものの、ペップ・グアルディオラのキャリア最低となるポゼッション46.7%という数字が示す通り、新生チェルシーの強さを印象付けた一戦でした。プレミアリーグ14節は、スタンフォード・ブリッジにウェストハムを迎えたロンドンダービー。ペジェグリーニ監督の解任が噂されるイーストロンドンのクラブは、守護神ファビアンスキの負傷リタイア以来、プレミアリーグ6戦1分5敗と泥沼にはまっています。誰もがチェルシーの勝利を疑わなかった一戦。強者に懸念があったとすれば、CLのバレンシア戦で脇腹を痛めたタミー・アブラハムのリタイアと、久しぶりのスタメンとなったペドロのコンディション、アスピリクエタのベンチスタートぐらいでした。

まさか、アウェイのハマーズがクリーンシートで勝つとは…!ジルー、ペドロ、プリシッチの急造3トップは不発に終わり、プレミアリーグ4ゴールのメイソン・マウントも、後半から投入されたカラム・ハドソン=オドイとウィリアンもゴールを決められませんでした。フランク・ランパードの攻撃的なチームは、シュート数19対6、オンターゲット6対4、ポゼッション66%対34%、パス成功率87%対69%とすべてのスタッツで17位のクラブを上回っています。番狂わせはなぜ起こったのか。あらためて、試合の流れを振り返ってみたいと思います。

ペジェグリーニ監督は、あまりにも不安定だった第2GKのロベルト・ヒメネスをスタメンから外しました。この日のゴールマウスを担うのは、33歳でプレミアリーグ初出場のデヴィッド・マーティン。ハマーズで600試合に出場した父親のアルディンさんは、ラジオ番組「TalkSPORT」のアナリストとして現地で息子の活躍を見守っていたそうです。チェルシーの最初のチャンスは3分。メイソン・マウントが中央をドリブルで進み、左のエメルソンを使うと、折り返しに反応したペドロのボレーはバルブエナにヒットしました。ハマーズの最前線は、スパーズ戦で素晴らしいゴールを決めたマイケル・アントニオ。6分にクレスウェルがアーリークロスを入れると、フィカヨ・トモリの前に入った30番のボレーは、ケパが挙げた手を大きく越えていきます、

7分、ジルーがボールをもらえる位置に下がると、空いたスペースに入ったプリシッチにコヴァチッチから縦パスが入り、ヒールで落としたボールをメイソン・マウントが左足でシュート。前にこぼしたマーティンは、詰めてきたプリシッチを横目で見ながら懐に収めました。16分にプリシッチが左から中に持ち込むと、ジルーが下がり、その裏にペドロが走り、アメリカ代表FWがオフサイドぎりぎりでスルーパスをフィード。ペドロは触れなかったものの、「3トップの連動性は悪くない」とその後の展開に期待を抱かせるシーンでした。

18分、エメルソンのアーリークロスをクレスウェルが頭に当てると、落下点にいたペドロのボレーはバルブエナが必死にブロック。右サイドで脅威となっていたリース・ジェームズが22分に浮かしたクロスは、クレスウェルに当たってニアポストにぶつかり、反応が遅れたマーティンにどよめきが広がります。CKを叩いたズマのヘッドは左にアウト。24分にスノドグラスのクロスがゴールに向かって上がると、マイケル・アントニオのヘッドはケパが左に弾き出します。ハマーズは単調なサイドアタックしかなく、1発があるマイケル・アントニオを見失わなければ完封できそうです。

42分にコヴァチッチが左隅にミドルを放つと、マーティンがファンブル。詰めたジルーのシュートは第3GKの足に引っかかってしまいました。前半終了間際のリース・ジェームズのきわどいアーリークロスも、プリシッチのハーフボレーが枠にいきません。押していたチェルシーは、スコアレスでハーフタイム。決定機の数は互角ながら、GKが不安定で攻めに工夫がなかったアウェイチームが勝つとは思えなかったのですが…。

後半開始早々の48分、ハマーズが先制しました。マーティンのキックが右のスノドグラスに収まり、脇にいたフェリペ・アンデルソンが逆サイドに展開。フォルナルスの縦パスでボックス左に走ったクレスウェルが、リース・ジェームズを切り返しでかわし、右のポスト際に完璧なシュートを叩き込みました。反撃に出るチェルシー。56分にジョルジーニョのスルーパスでプリシッチがゴール前に飛び出すと、フレデリクスが体を投げ出してCKに逃れます。59分にスノドグラスが左から上げたCKは、バルブエナのヘッドをケパが右に飛んでビッグセーブ。直後のCKでオグボンナが競り勝つと、コースにいたマイケル・アントニオは至近距離からのシュートを空振りし、頭を抱えています。

ランパード監督は、62分にペドロとジョルジーニョを下げ、ウィリアンとカンテを投入。67分にCKのクリアを拾ったスノドグラスが右足でファーに上げると、左のポストの前でズマと競り合ったマイケル・アントニオがゴールに押し込みますが、VARがハンドを主張して追加点は認められません。残り20分、フェリペ・アンデルソンに代わってヤルモレンコが入ると、ランパード監督はジルーをハドソン=オドイ。足をつったマイケル・アントニオは77分に退き、本職のセバスティアン・アレが最前線に入ります。

81分、コヴァチッチが右に展開し、ウィリアンのクロスが中央に入ると、飛び込んだプリシッチはバルブエナが冷静にブロック。89分にカンテのパスが右のプリシッチに通ると、渾身のボレーはミートせずに右に曲がってしまいました。91分に左からのFKをヤルモレンコがヘッドでクリアし、落下点にいたカンテがラインの裏に浮かすと、勇敢に飛び出したマーティンがハドソン=オドイと競り合い、ボールはゴールラインを越えていきます。後半のチェルシーはフィニッシュを枠に集められず、ハマーズに17年ぶりのアウェイ勝利をプレゼントしてしまいました。

いじりすぎたか、フランク・ランパード…!後半の出来を見ると、チェルシーは負けてしかるべきだったといわざるをえません。若い最終ラインは、クロスへの対応とセットピースの守備が不安定で、自チームが攻める時間を減らしてしまった感があります。相手の第3GKは前半にファンブルを連発しており、遠めからでも枠に収まるシュートをもっと打てていれば、紛れが起こる可能性は少なくなかったのではないでしょうか。早めの交代策は機能せず、集中力を切らさなかったハマーズ守備陣に対して強引なアタックに終始してしまいました。

初めてのプレミアリーグで、クリーンシートという勲章まで手に入れたマーティンは、バルブエナに感謝しなければなりません。何度もあったピンチで、対応を間違えなかったCBの冷静さが、チームを8試合ぶりの勝利に導きました。「BBC」は、ゴールマウスを死守した33歳の苦労人をMVPに指名しておりましたが、私の推しはディオプの不在を感じさせなかったパラグアイ代表です。ワトフォードのキケ・サンチェス・フローレス監督の解任が伝えられるなかで、ペジェグリーニさんのクビはつながりました。5位と18位が8ポイント差という激戦のプレミアリーグ2019-20シーズンは、1勝の重みをより感じられるバトルとなっています。

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“【Chelsea×West Ham】33歳でプレミアリーグ初出場のGKが、4位チェルシーを完封!” への3件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    序盤はマークも緩く良かったものの、それ以降の相手ディフェンダーにがっちりマークされている状態で、積極的に動き出すのか、足元に貰いたがるのかが、スタメン張ってるエイブラハムとジルーを分ける要因ですね。
    CL明けで厳しい1戦なのは分かりますが、PL2連敗を喫したことで、今のチェルシーの勢いは完全に止まってしまったと思います。

    ブーストが切れた状態で、如何に勝ち点を重ねられるか。過密日程が始まる中、本当の実力はここからだと思ってます。

  2. n より:

    もったいないタイミングの敗戦で、他チーム同様レッズに花を贈る形となってしまいました。驚くほどジルー&ペドロが嵌らなかったのと、オドイの本調子が戻るのだろうかという不安、相変わらず決定的なタイミングでミスしてしまうズマ、、、何より失速がちなの後半でなかなか効果的な改善策がうてない采配、まだまだ課題が多いですね。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    エイブラハムがいない分、裏抜けの動きなどを期待してのペドロ起用だったのでしょうが、昨季ほどうまくいきませんでしたね。
    サッリボールでならともかく、今のチェルシーでは両翼にドリブラーを置く方が良さそうです。エイブラハムありきですが。
    ジルーよりはまだバチュアイの方がプレースタイル的には合わせられると思う(し、実際使われている)のですが…

    若いCHOやプリシッチに調子のムラがあるのは仕方ないので、焦らずに時間をかけて上がっていってくれればいいです。
    個人的には、今季は降格さえしなければリーグ戦の順位はどうでもいいと思っているので、長い目で今後を見据えたマネジメントを期待しています。

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