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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

マンチェスター・ユナイテッドCEOが指摘「この夏の大型補強は現実的ではない」

「ユルゲン・クロップ監督が彼の父親とコンタクトを取り、契約の内容を検討した」。事実だとすればリヴァプールらしくない…いや、リアリティが感じられないゴシップです。いくら世界王者といえども、ネイマールがパリに移籍した際の2億2000万ユーロ(現在のレートで255億円)を超える大金が必要といわれていたキリアン・ムバッペを獲る余裕はないはずです。

サディオ・マネがマドリードに移籍した際のオプションと受け取ればいいのでしょうか。プレミアリーグで優勝すれば、テレビ放映権料が多少UPするとはいえ、CL早期敗退による売上ダウンをカバーできる額ではありません。実力の割に移籍金が安い選手を一本釣りしてきたマイケル・エドワーズSDが、5200万ポンドのティモ・ヴェルナーにアプロ―チせずにムバッペに突進するとは思えません。

プレミアリーグの中断によって、マッチデイ収入が途絶えたクラブにとって、人件費をはじめとする固定費の負担が目下の最大の悩みです。欧州の売上ランキングで、全チームが11位までに入っているプレミアリーグのビッグ6といえども、英国政府の休業補償スキームも選手のサラリー減額も検討しなかったクラブはひとつもありません。マンチェスター・ユナイテッドのエド・ウッドワードCEOは、「数億ポンドの移籍に関する憶測は、スポーツ界が直面している現実を無視している」と指摘しています。

「すべてのサッカー関係者が直面しているチャレンジの規模について、幻想を抱いてはいけない。夏のトランスファーマーケットは、われわれを含むあらゆるクラブにとって『いつものビジネス』ではないかもしれない」
「われわれの優先事項は常にチームの成功だが、通常運転に戻ることを話す前に、トランスファーウィンドウのタイミングやより広い財務状況など、業界全体に対する影響を可視化する必要がある」(「BBC」の4月24日付記事「Ed Woodward: Man Utd chief says big-money transfer talk ignores financial reality」より引用)

プレミアリーグファンから買い物下手をいじられているわがCEOですが、ことビジネスに関してはリーグ屈指のやり手です。数多のスポンサーを獲得し続けてきた彼をしても、「誰もがパンデミックの状況下で財政的現実に向き合っており、われわれも同じだ。危機が続くほど、われわれを含むすべてのクラブに大きな影響がある」と言わしめる現状で、高額の選手がやりとりされる夏を想像しにくいのは確かです。

マンチェスター・ユナイテッドにまつわる移籍ゴシップをチェックし、ジェイドン・サンチョやジャック・グリーリッシュらの名前が挙がるたびにテンションを上げ下げしているサポーターからすると、何ともせつないお話ではあります。とはいえ、5月7日に予定されている「ロックダウン緩和に関する政府広報」の内容次第で、多少なりとも危機感が和らぐ可能性があります。

死亡者が2万人を超えてしまったイギリスですが、4月13日以降は1日あたりの死亡者が減少し続けており、NHS(国民保健サービス)の体制構築と検査キットや医療用防護具(PPE)の供給によって確実な対応が可能と見做されれば、段階的にロックダウン解除に向かうとされています。政府のジャッジにより、無観客ながらもプレミアリーグの再開にゴーサインが出れば、ウッドワードCEOの言葉のトーンも変わるかもしれません。

「BBC」は昨日、「Will more free transfers take place than big-money signings?(大型補強よりもフリートランスファーのほうが多くを占めるかもしれない?)」と題した記事を配信。マルティンス、カバーニ、ウィリアン、ゲッツェ、ダヴィド・シルヴァ、ララナ、クルザワ、フェルトンゲン、キエリーニ、ムニエ、ジョー・ハートといった「契約満了ベスト11」を掲載しています。彼らが主役となるのか、例年よりは静かなれど注目選手の移籍が話題になるのか。今はまだ、「状況は厳しい。しかし、どうなるか見てみよう」としかいえません。


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