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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「はまれば連発、ズレれば沈黙」アルテタ監督のアーセナルが、ゴールが少ない理由。

2021年1月28日、過半のチームが20試合を消化した時点のプレミアリーグの順位テーブルを見ると、チェルシーとアーセナルは勝ち点30で並んでいます。フランク・ランパードを解任したばかりだったクラブは、その後の7試合を5勝2分と復調し、チャンピオンズリーグ出場権圏内の4位に浮上。アルテタ監督を代えずに戦ったクラブは、2勝2分3敗と再び停滞し、ヨーロッパリーグ出場権獲得すら厳しい10位に沈んでいます。明暗分かれた両者の戦いぶりを振り返ると、大きな疑問が浮かんできます。

ミケル・アルテタ続投は、正しかったのか。ミケル・アルテタを信じるべきなのか。

2019年12月の就任以来、プレミアリーグ47試合で20勝11分16敗と凡庸な戦績しか残せていない若き指揮官は、アーセン・ヴェンゲルからバトンを受けたウナイ・エメリの25勝13分13敗を明確に下回っています。最後までCL出場権を争ったエメリの初年度は、オーバメヤンが得点王に輝き、リーグ3位の73ゴールを決めていました。今季のチームは、27試合で34ゴール。2年前は1試合あたり1.92ゴール、現在は1.26ゴール。このままいくと、2019-20シーズンを堅守速攻で戦ったウルヴスの51ゴールに及ばない48ゴールでシーズンを終える計算となります。

指揮官として初めて、オフシーズンからチーム作りを手掛けたアルテタ監督は、一貫性という言葉よりも「試行錯誤」という表現がふさわしいシーズンを過ごしています。開幕のフラム戦は、ティアニーを3バックに組み込む3-4-3。エミレーツのアストン・ヴィラ戦で0‐3の完敗を喫すると、ELで好調だったウィロックをトップ下に配する4-2-3-1にスイッチしました。ならば、エジルは必要な戦力ではなかったのか。9節のリーズ戦はスコアレスドロー、続くウルヴス戦は1-2で早くも5敗め。ノースロンドンダービーではウィロックを諦め、ラカゼットとオーバメヤンを中央に寄せる4-4-1-1のような戦い方を選び、2-0で完敗を喫しました。

14節のエヴァートン戦を1-2で落とし、4勝2分8敗でプレミアリーグ15位。試合数よりも少ない12ゴールに留まっていたチームが、前線と中盤に問題を抱えているのは明らかでした。チェルシーとのビッグロンドンダービーを、背水の陣で迎えたアルテタ監督の打開策は、1ヵ月半前と同様に「ELで結果を出した若手の抜擢」でした。2人めのエミール・スミス・ロウは大当たり。低い位置に構えるセントラルMFと前線をつなぐためには、縦パスを受けて前に持ち込み、決定的なパスを出せるトップ下の起用が効果的だったようです。

チェルシー戦からの7試合を5勝2分で駆け抜けたチームは、直近の6試合を2勝1分3敗と再び停滞しています。スミス・ロウ投入以降は、3ゴール以上が6試合、1ゴールが3試合、ゴールレスが4試合。「はまれば連発、ズレれば沈黙」のチームは、1-1で引き分けたバーンリー戦で、両方の顔を覗かせています。ウーデゴーアが右サイドで機能した時間帯と、ダニ・セバージョスが押し上げたラスト10分は猛攻。トップ下が機能せず、セントラルMFが守備重視の時間はカウンター頼みでした。課題は、明確なのではないでしょうか。攻撃参加が少ない2センター。2人のうちどちらかが攻め上がりを繰り返せば、トップ下とストライカーが前を向く形が増え、シュートやラストパスが冴えるはずです。

アルテタ監督が指揮を執るようになってからのアーセナルは、中盤の選手のゴールが激減しています。2019-20シーズンの20試合で、オープンプレーからきれいに決めたのは、ニューカッスル戦のエジルとノリッジ戦のジャカのみ。今季プレミアリーグでは、ジャカのFK以外にMFのゴールがありません。27試合のゴールシーンを振り返ると、オーバメヤンのワンタッチ、ラカゼットの強引なシュート、サカとニコラ・ペペのカットイン、ダヴィド・ルイスとガブリエウのヘッドが頼みのセットピースが大半を占めています。

ブルーノ・フェルナンデス、メイソン・マウント、イルカイ・ギュンドアン、ジェームズ・マディソン、トマシュ・ソーチェク、ハメス・ロドリゲス、ジャック・グリーリッシュ。TOP4とダークホースには、5ゴール以上をゲットしているプレーメイカーやパサーがおり、中盤が守備を気にして下がりがちになっているリヴァプール、トッテナム、アーセナルが苦しんでいます。トーマス・パーティーとダニ・セバージョスが、背後をジャカやダヴィド・ルイスにまかせて上がるシーンを増やすべきでしょう。

2018-19シーズン、エメリ初年度のアーセナルは、ムヒタリアン6ゴール、エジル5ゴール、ラムジーとジャカが4ゴール、イオビが3ゴール、ルーカス・トレイラが2ゴールを決めていました。クラブとグーナーが来季以降もアルテタ監督に希望を託すなら、残り11試合で次につながるパフォーマンスを示すべしと思います。KPIは、中盤のゴール&アシスト。ジャカ、トーマス・パーティー、エルネニー、ダニ・セバージョス、スミス・ロウ、ウーデゴーアの6人で1ゴール9アシストという厳しいスタッツの改善です。デブライネは1ゴール11アシスト、グリーリッシュは6ゴール10アシストをひとりで決めているのですから。

「アルテタにはヴィジョンがある。時間を与えられるべき」と主張する評論家がいます。「充分な戦力を与えられていないなかで、アルテタはよくやっている」と評価するグーナーもいるでしょう。しかし、現実を冷静に見ると、ガナーズの指揮官には1年という時間があり、1月末に並んでいたライバルチームの新監督は1ヵ月半でチームを立て直しています

「あちらは大型補強を敢行したから」という向きには、アルテタの8日後にウェストハムのオファーを受けたデヴィッド・モイーズを差し出しましょう。戦力を比較すれば、アーセナルが圧倒的に上でしょう。アルテタ監督は、今のスカッドでもTOP4を充分めざせるはずです。時間が必要といわれていた監督は、結果が必要といわれる時期に突入しています。チェルシーとマンチェスター・シティを連破したFAカップを思い出し、理想として掲げる「スピーディーでクリエイティブなフットボール」を実現していただければと思います。

「意志決定をより効率的に行ない、状況を早く打開する必要がある。ゲームをコントロールして、敵陣でのディフェンスのアクションを強め、ボールを与えてしまうミスを減らし、クリーンシートを増やさなければならない。やるべきことはたくさんある。 より多くのゴール、高い創造性」(バーンリー戦の直前のプレスカンファレンスにて「自身のイメージに近づいているのか」と問われて)


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“「はまれば連発、ズレれば沈黙」アルテタ監督のアーセナルが、ゴールが少ない理由。” への2件のフィードバック

  1. ひとっちゃん より:

     主さんが載せてくれたテタさんのプレカン発言に、矛盾感満載を感じないのは私だけじゃないと思います。今のアーセナルおいて、「誰がゲームをコントロールできる?」「敵陣でディフェンスできるのは誰?」「誰がミスして相手にボールや点を与えてる?」「高い創造性を誰が提供できる?」。現状を見れば、誰がスタメンで誰を交代して使うかは難しいことじゃないと思うけど、テタさんがしていることは真逆に近い感じがしますね。
     現実として、私は主さんが思っているより、選手の質は、全体的にずっとずーーーっと低いのかもしれませんね。

  2. アーセン より:

    今のアルテタが目指すべきは最適解の追求ではなく妥協することだと思います。システムや選手をいじりすぎオートマティックにプレイすることができず、ウィリアンが当初発言した様に覚えることが多くて選手の頭が疲労している様に感じています。
    多分頭脳明晰で人間的にも素晴らしいので信頼が厚いのだと思いますが、エジルやパパ、サリバの扱いをみていると、好き嫌いのエゴも見え隠れしており、敵だけでなくアルテタの視線を気にしながらミスをしない様保守的に戦っているのではないでしょうか。
    個々の能力値では近年のなかではかなり高いので今の得点数は全く納得がいきません。

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