イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ポゼッション70%は失敗⁉ マン・ユナイテッドの敗戦に学ぶ「アーセナルのチェルシー対策」

ボールポゼッションは30対70。マンチェスター・シティ戦をはじめ、プレミアリーグの上位対決では相手にボールを持たせてカウンターに徹することも多いチェルシーですが、ここまでポゼッションが低かったのは初めてだそうです。プレミアリーグ33節、対マンチェスター・ユナイテッド。中盤に据えたズマがフェライニを抑え、低く構えた両SBは序盤のルーク・ショー以外のサイドアタッカーを完封。「彼らのボール支配率は99%だったかもしれないが、そういったことは一切問題にならない。 試合を戦略的に進めるなかでは、スタッツなど関係ない。大事なのは勝ち点を奪うこと」。モウリーニョ監督の戦術がことごとく当たり、エレーラをアンカーに据えるという苦渋の選択を強いられたファン・ハール監督は、プレミアリーグでの連勝を6でストップされました。

優勝に大きく近づいたチェルシーの次節の相手は2位アーセナル。この試合に負けなければ、チェルシーの戴冠は決まりでしょう。ピッチの中でも外でも激しくやり合うライバルのモウリーニョ監督に1度も勝っていないヴェンゲル監督は、チェルシーの堅い守備をどう崩そうと考えているのでしょうか。アーセナルの指揮官は、何しろ頑固一徹な方ですので「いつもどおり、自分たちのサッカーをすれば、おのずと結果はついてくるものだ」などと考えているように思えてなりません。いやいやいや、そうやって今まで負けてきたんですから!今回はおせっかいを承知で、マンチェスター・ユナイテッドの敗因を元に、アーセナルがチェルシーに勝つための戦術について考えてみたいと思います。

チェルシー対策・王道編その1「ポゼッションよりカウンター」
ビルドアップをドログバやアザール、オスカル、セスクに執拗に突かれ、縦に出したボールをマティッチ、ズマとCBに狙われる。マンチェスター・ユナイテッドが記録した70%というポゼッションの多くは、攻めあぐんで後ろでまわしている時間でした。38分の失点は、スモーリングがファルカオに出した苦し紛れの縦パスを、テリーにインターセプトされたところから始まっています。2014年3月22日、スタンフォード・ブリッジで苦しい横パスを狙われ、エトーやシュールレにいいようにやられて6-0と記録的な大敗を喫したヴェンゲル監督も、チェルシーのリアクションサッカーを攻略することの難しさは、常々感じているところでしょう。

対策があるとすれば、相手陣内にプレスをかけにいかずにボールを奪う位置を自陣に下げ、奪ったら手数をかけず、相手のサイドの裏やトップに長いボールを当てるようなカウンターサッカーに徹することでしょうか。守備陣形ができている状態で、戻ってくるのに時間がかかるロングパスを奪われる分には怖くありません。1月にマンチェスター・シティに勝ったときのような戦い方のほうが、短いパスをつないで攻め込むよりもおもしろい形が創れるのではないかと思います。

チェルシー対策・王道編その2「中央を空けるな、カソルラとコクラン!」
マンチェスター・ユナイテッドの失点シーンでもうひとつ気になったのは、持ち場を離れてサイドに寄っていたエレーラが、セスクからのパスコースがオスカルしかなかったにも関わらず、コースを切れずに出されてしまったこと。4人で奪いにいったボールを獲れなかったことが、アザールがフリーという最悪な状況につながってしまいました。マンマークはそこそこいけるエレーラですが、パスコースを切ったり相手をサイドに追いやるようなプレイはうまいとはいえず、アンカーに向いているとはいえません。

しかし、アーセナルにはスペースやパスコースのケアができるコクランがいます。彼をアンカーに入れて左右にスペースを作ってしまうより、カソルラと2人でバイタルエリアを塞ぐような守り方にして、アザールやオスカルに目を光らせやすくしたほうがいいでしょう。とにかく、中央を空けないこと。マン・シティのアグエロを完封したアーセナルなら、ポジショニングさえ間違えなければジエゴ・コスタ不在のチェルシーを抑えることもできるはずです。

チェルシー対策・王道編その3「とにかく左、左、左!」
1点ビハインドのなか、残り20分からディ・マリアとヤヌザイを注ぎ込み、個人技に活路を見出そうとしたファン・ハール監督の作戦は完全に空振りでした。悪いことはいいませんので、アーセナルの右サイドで引き気味に守りを固めてくる「デイヴ」アスピリクエタを強引に崩そうとするのはやめましょう。崩すなら、ルーク・ショーが互角にマッチアップできていたイヴァノヴィッチのサイド、それも個人技ではなく連携です。左SBにはギブス、前にアレクシス・サンチェスを置き、エジルの加勢も得ながらマティッチやケーヒルを引っ張り出せれば、ジルーがワンタッチゴールを決められるシーンを創れる可能性が上がります。

と、以上が、マンチェスター・ユナイテッドの反省からまとめた王道編ですが、ここからはいくつか「これならモウリーニョ監督を出しぬけるのではないか」といった奇策を提案させていただきたいと思います。

チェルシー対策・奇策編その1「2トップなどいかがでしょう?」
長いパスを効果的に使うことを考えれば、前線の拠点が複数あり、ジルーの天才的なポストプレーからのボールを受けやすい2トップがおもしろいのではないかと考えました。最前線に2人いれば、チェルシーもプレスの的を絞りにくくなり、どちらかがサイドに流れることで、マティッチやズマ、ラミレスなどの鉄壁セントラルMFのひとりを中央から外せたりするのではないでしょうか。ジルーの相棒は、最終ラインの裏を狙えるアレクシス・サンチェス。エジルがトップ下に入る時間帯と、エジルがサイドにおさまってアレクシス・サンチェスをトップに据える時間を使い分けてもいいと思います。

チェルシー対策・奇策編その2「右サイドアタッカー、ヘクター・ベジェリン!」
FAカップ準決勝ではコンディションに問題があったと伝えられていたベジェリンですが、プレミアリーグ首位決戦には間に合うのでしょうか。ドビュッシーと連携してアザールを止め、カウンターの際には快足を飛ばしてもらうという意図で、サイドMFにベジェリン起用というのはいかがでしょうか。勝っている試合でSB2人を縦に並べる「二段重ね弁当作戦」をときどき使うヴェンゲル監督は、さほど抵抗なく受け入れてくれるような気がします。ウォルコットより速いといわれるベジェリンですが、実はシュートの精度もウォルコットより…!

「俺たちのぶんまでがんばって!」とマンチェスター・ユナイテッドサポーターが美しくお届けした、若干乱暴なアーセナルのチェルシー対策、これにて終了でございます。トップに足元のうまい選手と純正ストライカーを入れ、両サイドにはテクニシャンと足の速いプレイヤー。セントラルMFを2人置いて、前からのプレスは諦めて自陣でボールを奪ったら直線的なサイド攻撃を仕掛ける。サイドを攻略したら中央に侵入した3人がシュートを…どこかで観たことのあるサッカーだと思ったら、すみません、サー・アレックス・ファーガソンの4-4-2でした。こう書いてしまうと、「あんなサッカー観たくない」と、ガナーズサポーターのみなさんからブーイングをいただいてしまいそうです。

ちなみに、モウリーニョとファーガソンの対戦成績は、確かモウリーニョの7勝8分け2敗だったと記憶しています。「2勝してるんだ!」とポジティブに取るか、「負けてるじゃねぇか!」とドン引きするかはあなた次第。今まで勝ててないわけですから、2トップ+カウンターなど一度試してみてもいいのではないかと思いますが…。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す