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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

アーセナルは、なぜ3発も速攻を喰らってしまったのか?失点シーンが物語る足りなかったこと。

「彼らはまだタイトルにチャレンジしている。このプロジェクトは2年めだ。今回の敗北に失望しているかもしれないが、大きな後退ではない」。3-1で敗れてもなお、アーセナルを優勝候補としているのは、「Match of the Day 2」に出演したトロイ・ディーニーです。

現在は故郷のバーミンガムでプレイしているストライカーは、マンチェスター・ユナイテッドについては「アーセナル戦は戦術的にとてもよかった。カウンターアタックのチームであることを示した」と評価しつつも、「まだ、TOP4候補とはいえない」と辛口です。プレミアリーグで首位に立つアウェイチームの敗因を問われると、「タッチ数が多かった」と返しています。

「プレスをかいくぐったら、ボールを速く動かさなければならない。ワン、ツータッチ、最大でもスリー。それができていれば、最終的に極上の喜びを得ていたのは彼らだった」

このコメントは、マンチェスター・ユナイテッドの勝因にも聞こえます。アーセナルはなぜ、鮮やかな速攻を3つも許してしまったのでしょうか。それぞれのシーンをチェックすると、ガナーズに足りなかったことが見えてきます。

最初のゴールは、35分。2人のマーカーを見たアントニーが突破を諦め、仕切り直したシーンでした。デ・ヘアのパスを受けたリサンドロ・マルティネスにはウーデゴーアがプレス。縦しかなかった6番がマラシアに預けると、サカのチェックを嫌がったSBは後方に戻そうとしました。

この瞬間、サンビ・ロコンガは中途半端なポジションを取っていました。後方にいたマクトミネイのエリアまで戻れば、ジャカは左で空いていたブルーノをケアできます。前にいるエリクセンに対するパスコースを切れば、マラシアは出しどころを完全に失います。

SBからエリクセンにパスが出ると、セントラルMFは詰める素振りを見せたものの、時すでに遅し。フリーのブルーノ・フェルナンデスに、心臓をえぐるような高速パスが通ってしまいました。バイタルエリアはガラ空き。危機を察したガブリエウがスライディングで止めようとしたのですが、ブルーノが一瞬早く、サンチョにボールを渡しました。

最終ラインは3対3。ラシュフォードに着いたサリバとジンチェンコがラストパスをカットできなければ、当然ひとり余ります。アントニーのプレミアリーグ初ゴールは、プレスかリセットかを曖昧にしてしまったセントラルMFのポジショニングが招いた失点でした。

2発めは、1-1となった直後の66分。ディーニ―は、この状況について「アーセナルはマンチェスター・ユナイテッドを一気に逆転しようとするのではなく、ポゼッションをキープしながら、何か違うことをさせるべきだったかもしれない」と振り返っています。

「ユナイテッドは、怖ろしいトラップを仕掛けていただけだったのだから」

アーセナルが崩そうとしていたのは左サイド。サンビ・ロコンガがジェズスに出した縦パスがずれてしまい、ダロトがカットした瞬間、ホームチームはスイッチが入り、アウェイチームは時が止まりました

周りを見る余裕があったSBは、一拍置いてから中央のエリクセンにパス。やばいと思ったウーデゴーアが距離を詰めてくる前に、14番はダイレクトで前にいたブルーノに預けます

5秒前までブルーノの近くにいたジンチェンコは、サイドに戻ろうとしており、慌ててチェックしにいったとき、8番は既に前を向いていました。CBの前のスペースはガラ空き。必殺のスルーパスは、サリバの読みと逆のスペースを切り裂き、ラシュフォードの前に届きました。

勝負を決める3発めは、アルテタ監督が3枚代えを敢行して間もない75分でした。ピッチに入ったばかりの選手たちが、自らの役割と立ち位置を確認できていない空白の時間。アーセナルは、左サイドに7人も集まっていたのに、ロナウドからパスをもらったブルーノはノーマークでした。

エリクセンが飛び出し、斜めのスルーパスが出た瞬間、ガブリエウもサリバも左サイドに出張中。またしてもCBは無力で、2対0となっては、ラムズデールになすすべはありません。

エリクセンのスプリントをケアできたのは、直前にロナウドのパスを足に当てたファビオ・ヴィエイラですが、「サイドにあれだけ集まったのだから、ブルーノを100%つぶさなければならなかった」というのが妥当な見方でしょう。

かくして、3失点。敗因をまとめると、「CBの前のスペースをケアする意識が希薄だった」「ブルーノとエリクセンを自由にさせすぎた」ということになります。彼らに足りなかったことは、マンチェスター・ユナイテッドがゲームプランとして組み込んでいたことです。殊勲のエリクセンは、自らの役割についてこう語っています。

「われわれのゲームプランは、僕がウーデゴーアについてピッチを走り回るというものだった。守備的な仕事は、これまでのキャリアにはなく、あまり慣れていない。それでも、チームがいい状態だとわかっていれば、彼についていくのなんか簡単だ」


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