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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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機動力のある攻撃、前に出る中盤…アーセナルの変化がわかる現地記者のスタッツ分析がおもしろい!

より機動力のある攻撃、より前に出る中盤、より安全な守備。「アーセナルにおけるアルテタのヴィジョン」と題した記事は、プレミアリーグで首位に立つチームの変化を明快に表現しています。左右に流れるジェズス、ボックスに走り込むジャカ、中盤でボールを散らすジンチェンコ…。「テレグラフ」のサム・ディーン記者による詳細なスタッツ分析に触れると、これまでのゲームのさまざまなシーンが蘇ってきます。

「2019年12月にアルテタが加わってから、どの時点よりもグアルディオラのシティに似ているように見える」。過去7試合と昨季を比較すると、最も変わったのは中盤に関する数字です。52.6%だったポゼッションは、57.7%にUP。1試合あたりのパス本数は481本から519本で、アタッキングハーフにおけるパスの成功も266本から302本に増えています。

最も注目すべきは、ファイナルサードでのボール奪取です。プレミアリーグ2020-21シーズンは3.7回、昨シーズンは4.9回、現在のチームは5.6回。自陣と敵陣のパス比率がイーブンだったチームは、ハーフラインを越えてからのパスが60%に達し、相手をつぶすポイントも前にシフトしています。

さて、チームに変化をもたらしたのは、誰でしょうか。サム・ディーン記者のレポートに登場するのは4人。グラニト・ジャカ、オレクサンドル・ジンチェンコ、ガブリエウ・ジェズス、ウィリアム・サリバです。とりわけ興味深いのは、ジャカのスタッツ比較。プレーエリアが広がったので、パスもタッチ数も増えたかと思いきや、2年前から順調に(?)減っています。

2020-21シーズンから順に並べると、90分あたりのパス本数は78.2、59.6、51.2。タッチ数も90、72、64となっています。逆に増えたのは、チャンスクリエイトとボックス内でのタッチ数。2年前は90分あたりで0.61だったチャンス創出は、1.24、2.01と明快に伸びており、敵陣ボックスでの関与は0.3から1.4、3.6と12倍に激増しています。

これらの数字から導き出される変化を端的にいえば、「中盤でボールを散らす役割を、背後をカバーしてくれるジンチェンコやティアニーに預けている」。2人の左SBのパス本数を足すと359本で、これを超えるSBはジョアン・カンセロ、カイル・ウォーカーとアレクサンダー・アーノルドだけです。

ジャカが上がっても、後ろがピンチに陥らないのは、ガブリエウ・ジェズスがスターターとなるプレスが機能しているからでしょう。前線でパスコースを切れるので、ジャカも最終ラインも下がらずに奪えるようになり、前年より多くの選手がボックスに殺到しています。

ジェズスの凄さは、ヒートマップを見ると一目瞭然です。以前に「スカイスポーツ」が取り上げていたのですが、彼のプレーエリアは中央、左、右がすべて均等で、対峙するDFたちに攻め方を読ませないようにしています。今回アナライズを行ったサム・ディーン記者も、「ガブリエル・ジェズスの機動力がアーセナルの攻撃に新たな次元をもたらした」と絶賛しています。

ポゼッション率が高まったのは、SBの中盤への関与やプレスの強化によるところが大きいのですが、ビルドアップのクオリティを上げた最終ラインの貢献も忘れてはいけません。ベン・ホワイトからポジションを奪ったウィリアムサリバは、456本のパスのうち425本を通しています。成功率は、93.2%。「テレグラフ」の記者は、0-3で勝ったブレントフォード戦のシブいプレイをレポートしています。

「ファビオ・ヴィエイラのゴールは、サリバがイヴァン・トニーをかわしてスピンし、トーマス・パーテイーとクイックにワンツーをかわしたところから始まっている」

インターナショナルブレイク明けの初戦は、ランチタイムキックオフのノースロンドンダービー。トーマスとジンチェンコが出られるかどうかはわかりませんが、頭部の負傷で大事を取ってロンドンに戻ったティアニーはいけるでしょう。

プレミアリーグの首位攻防戦は、アルテタのパスワークVSコンテの速攻といった展開になるのではないでしょうか。ジェズスとティアニーのポジション、ジャカの攻め上がり、サリバを中心としたビルドアップからのサイドアタックに注目しましょう。


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