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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

イタリア戦で先制ゴール!現地記者が語る「デクラン・ライスがアルテタ戦術にフィットする理由」

3月23日にナポリで開催されたユーロ2024予選は、イングランドにとってメモリアルなゲームとなりました。アウェイでイタリアに勝ったのは、62年ぶりの快挙。PKを決めたハリー・ケインは、ウェイン・ルーニーを抜き去る歴代最多の54ゴールを記録しています。

ロンドン勢が輝き、マンチェスター勢が冴えなかった一戦。13分の先制ゴールは「北北西」です。右からCKを蹴ったのはブカヨ・サカ。ファーで受けたハリー・ケインのワントラップボレーをディ・ロレンツォがブロックすると、こぼれ球を左足で叩き込んだのはデクラン・ライスでした。44分のCKも、サカの目標はファーのハリー・ケインです。

ディ・ロレンツォが触ってCKに逃れると、イングランド代表のエースが両手を広げて叫んでいます。VARの映像を見ると、明らかにハンド。ハリー・ケインのキックは、ドンナルンマの逆を突いて右隅に突き刺さりました。ハマーズとスパーズで2ゴール。2本のCKをピタリと合わせたサカは、右サイドで速攻の仕掛け人となって、いくつかのチャンスを創出しています。

0-2となってから、マンチェスター勢のやらかしがスタート。前半の追加タイムに自陣で奪ったサカがドリブルで上がり、カルヴァン・フィリップスとワンツーをかわしてボックス右のハリー・ケインにパスを通しました。ゴールライン際から10番が折り返すと、逆サイドからスプリントしてきたグリーリッシュはフリーでした。

右足のインサイドで処理すれば、間違いなく3点め。しかしグリーリッシュはインステップで合わせ、アウトにかかったボールは右に逸れていきました。後半は、マンチェスター・ユナイテッドの2人がイタリア人の希望をつなぎました。56分にドリブルで上がったのはマグワイア。自陣で縦パスをインターセプトされ、ヴェラッティのパスが中央のペッレグリーニに通りました。

左足でミドルを打つ素振りを見せた10番は、イングランドの最終ラインが対応しようとした瞬間、ボックス右にラストパス。レテギがフリーで受けたエリアは、本来はマグワイアの持ち場です。右足のシュートがピックフォードの足元を抜いて1-2。上がってミスパス、奪い返そうとして後ろを空け、カットに失敗してから戻らずと、CBの緩さが目立った失点でした。

80分には、ルーク・ショーがヴェラッティを背後から引っかけてしまい、2枚めのイエローで退場。後半はシュートを1本も打てなかったイングランドは、シュートレンジをカバーして何とか逃げ切りました。「BBC」のファン投票によるMVPは、やっぱりデクラン・ライス。先制ゴールを決めたセントラルMFは、精度の高いパスと泥くさい守備も印象的でした。

公式戦18勝4分16敗という戦績だけで、ウェストハムと当てられた方は、相当なプレミアリーグマニアです。降格ゾーンの18位に沈む一方で、ヨーロッパカンファレンスリーグは参加クラブで唯一の8戦全勝。プレーオフも合わせると10連勝で、優勝候補の一角と目されています。

プレミアリーグ、国内カップ、木曜日開催の欧州というタイトなスケジュールのなかで、デクラン・ライスは34試合をこなしています。プレミアリーグはフルタイム出場。完全休養の4試合は、下部リーグのクラブと対戦した国内カップとECLの消化試合だけです。

「フットボールロンドン」のカヤ・カイナック記者は、イタリア戦のデクラン・ライスを「アーセナルの移籍オーディションに合格」と表現。守備時のデュエルで4戦4勝、14回のリカバー、8回のインターセプトを記録したMFについて「ジョン・ストーンズとマグワイアの間に入ってビルドアップする姿は、トーマスと酷似している」と指摘しています。

「アーセナルの守備的MFの役割は、2つある。アルテタは、深い位置でテンポを作ると同時に、相手の攻撃を止めるために守備に関われる選手を望む。スペイン人はしばしば、チームはともに耐える必要があるという。木曜日の夜のイングランドは、マグワイアがイタリアに同点にするチャンスを与え、より深く下がることを余儀なくされたが、ライスは何度も攻撃を立ち上げた」

トーマスの役割をこなしつつ、トーマスの脇でもアンカーでも機能するデクラン・ライスは、依然としてアーセナルのトップターゲットのようです。「エドゥは1億ポンドも払うのか?」「ライスを隠れ蓑にしてブライトンのほうを向いている」という声もありますが、契約を延長したカイセドより、移籍を希望しているイングランド代表のほうが今や安くなる可能性があります。

ジョルジーニョ、ジャカ、エルネニー、トーマスは31歳、30歳、30歳、29歳。4人のアラサーでまわしているチームに、負傷が少ない24歳が加われば盤石です。アルテタとエドゥは、トップランナーのままゴールに辿り着けるでしょうか。チャンピオンズリーグに出たがっているデクラン・ライスが、ロンドンのライバルを選ぶとは思えないのですが…。


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