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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

進化し続けるアーセナルにジンチェンコとジェズスは必要か?あらためて問われる彼らの存在意義。

アストン・ヴィラ戦の16分。ジンチェンコのロングフィードでラインの裏に抜け出したカイ・ハヴェルツのプレイを見て、アーセナルはストライカーを獲得すべきなのかもしれないと思いました。この日は左のインサイドだった29番は、ボールを足元に収めるのに手間取り、縦に持って角度を狭めてしまいました。

39分にガブリエウのミスパスのこぼれ球をさらったオリー・ワトキンスが、ボックス右からクロスに打つというイメージを瞬時に描いていたのとは対照的です。カイ・ハヴェルツの高さとキープ力は魅力ですが、プレイ選択のスピードとDFとの駆け引きは生粋のストライカーに劣ります。ベストポジションはトップ下か、セカンドストライカーなのでしょう。

対してジェズスには、ゴールゲッターらしい貪欲さと決断力があります。サカが右からファーにクロスを上げたのは18分。コンサの外に開いた9番には、2つの選択肢がありました。ヘディングで打つか、内側に入り込んだカイ・ハヴェルツに託すか。後者のほうがうまくいきそうだったのですが、ポストの根元に落とせば決まると信じたストライカーは、迷わずチャレンジしました。

過去2回のトランスファーマーケットで、アーセナルのストライカー獲得の是非が話題になったときは、ジェズスが元気でトロサール、マルティネッリ、エンケティアがいれば必要なしと考えていました。マン・シティで出場時間を増やした2019-20シーズンは、公式戦53試合23ゴール14アシスト。ゴールを記録した19試合は全勝です。

自ら決めるだけでなく、ウインガーのゴールをお膳立てできるジェズスは、アーセナルらしいストライカーとして称賛されるはずと信じていました。しかしシーズンが始まると、度重なる負傷で好調といえる時期がありませんでした。ワールドカップカタール大会の重傷は、ノースロンドンにおける彼の未来を変えてしまったのでしょう。

ヴィラ戦の結果に落胆した多くのグーナーは、最前線だけでなく、左SBについても疑問を抱いたのではないでしょうか。今のチームに、ジンチェンコは必要なのか?2022年夏の入団からしばらくは、斬新な偽SBは好評でした。確かなテクニックとパスワークに加えて、勝利へのこだわりと闘争心は、それまでのアーセナルに欠けていたものとして絶賛されました。

レギュラーだった偽SBは、シーズンが進むにつれて、ドリブルで抜かれたり、裏を取られたりするシーンが目立つようになりました。いつしか「守備重視のときは、キヴィオルか冨安」といわれ始め、今は不要論を唱えるグーナーや評論家もいるようです。ジンチェンコの存在意義が問われるようになったのは、チームが変わったからでしょう。

最も大きな変化は、デクラン・ライスの降臨とベン・ホワイトの成長です。1億500万ポンドのMFはトーマスよりもプレーエリアが広く、カイ・ハヴェルツやジョルジーニョがいれば中盤をコントロールできます。ベン・ホワイトは、外からサカを追い越すタイミングが秀逸で、中に絞ってウーデゴーアやアンカーと絡むプレイのクオリティも高まっています。

ジンチェンコの役割を彼らが担えるとすれば、左サイドは守備力がある冨安健洋やキヴィオルのほうがベターという声が大きくなります。ウインガーのチェック、クロス、インサイドMFやマルティネッリとの連携など、求められるプレイを並べると、今や適任はキーラン・ティアニーなのかもしれません。

ジンチェンコを見ていて気になるのは、SBが絶対にやってはいけないプレイがあることです。ヴィラ戦の62分、CKのクリアを追って右サイドに出た35番は、ティーレマンスを強引に抜こうとして奪われ、右足のシュートがファーポストを直撃しました。決まっていれば、敗戦に向かうターニングポイントとして語られていたのではないでしょうか。

ティンバーが戻ってくれば、左サイドのポジション争いは激化します。最前線は、カイ・ハヴェルツ、トロサール、ジェズスがローテーションで起用されるものと思われます。ジンチェンコは必要なのか。ジェズスよりゴールを量産できるストライカーを獲得すべきか。プレミアリーグとチャンピオンズリーグの結果がどうあれ、この議論は続くでしょう。

エドゥSDとアルテタ監督に意見を聞いてもらえるなら、「ジンチェンコは左のインサイドで起用」「即戦力の若手ストライカーを獲得しつつ、負傷が完治したジェズスにもう1年チャンスを」と書いて提出します。ウクライナ代表MFが攻撃に集中できる時間が増えれば、精度の高いパスとクロスという強みがより活きるはずです。

「痛みがなかった日を覚えていない」というジェズスは、ベストコンディションを取り戻せばシーズン20発に到達すると信じています。冬に噂になっていたザークツィーやイサクなど、成長余力がある即戦力を押さえて、9番や29番と併用するのが最適なプランだと思います。リアルな答え合わせは、シーズンを終えてから。今は、ジェズスの逆襲に期待しています。


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