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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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例年通りの落ち込みか、戦力強化で無敗継続か…好調アーセナル「鬼門の11月」を占う!

Why are Arsenal always so bad in November?(なぜアーセナルは、11月はとても悪いのだろうか?)」。イギリスメディア「テレグラフ」の見出しはストレートです。グーナーのみなさんにとっては、11月に魔物が棲んでいるのはもはや定説かもしれませんが、この記事ではデータを掲げながら「November hoodoo(11月の疫病神)」に憑かれる理由を分析しています。ヴェンゲル監督が就任してからの20年における1試合あたりの勝ち点を月ごとに見ると、年間でいちばん高いのは3月の2.18ポイント。ここ数年でいえば、チャンピオンズリーグ敗退が決まって「プレミアリーグとFAカップを勝たないと」と気合を入れ直す時期であり、前半戦で出た長期離脱者が戻ってくる季節でもあります。次にいいのは9月の2.14と10月の2.15。ユーロやワールドカップの影響で出遅れた選手が調子を上げ、疲労による負傷者やスランプの選手が少ないこの季節は、勝ち点の稼ぎどきです。今季のアーセナルは、公式戦10勝2分、プレミアリーグ6勝1分という素晴らしい戦績でこの2ヵ月を駆け抜けました。

さて、11月はどうでしょう。過去20年を見ると…ぶっちぎりに悪い1.59!次に低い8月が1.88ですので、この落ち込みは尋常ではありません。2014-15シーズンのプレミアリーグは2勝2敗、昨季は1分2敗。勝ち越しすらままならない毎度の停滞について、「テレグラフ」は4つの理由を挙げています。「負傷者の多発」「試合数の増加」「ライバルと激突」「キーマッチの存在」。最初の理由については、長年チームを見てきたグーナーなら実感を込めて「そのとおり!」とうなずくのではないでしょうか。

昨季のカルテを振り返ってみましょう。チェンバレン、ウェルベック、ラムジー、ウォルコット、ウィルシャー、ロシツキ、オスピナ…。11月21日に開催されたプレミアリーグ13節のWBA戦では、前半でコクランが負傷し、代わったアルテタも50分まで持たずにリタイア。1-2で敗戦というトリプルパンチを喰らうと、1週間後のノリッジ戦でカソルラ、アレクシス・サンチェス、コシールニーが負傷と2戦連続のトリプルパンチ。降格候補に1-1のドローという踏んだり蹴ったりの月末を過ごしています。徐々に忙しくなる季節に飛車角金銀落ちを強いられては、大半の監督がお手上げです。

2つめの「試合数の増加」については、純粋に多いのはボクシングデーから中1日の試合まである12月と、FAカップとその煽りの延期試合が詰め込まれる4月なのですが、11月は「インターナショナルマッチウィークの前後がタイトになる」時期です。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、EFLカップをすべて戦うアーセナルに、9月・10月に勝利勝利で駆け抜けた疲労がのしかかります。記事では、ヴェンゲル監督はターンオーバーがうまいとはいえず、選手層が薄いチームが酷使でさらに戦力を失うと指摘しています。

さらに、11月はプレミアリーグの上位クラブと当たる率が高く、ここ10年はチェルシー、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム、リヴァプールと戦っているとのこと。昨季も11月の最初のプレミアリーグはノースロンドンダービーで、ガナーズはエミレーツでドローに終わりました。ライバルとの対戦がなかった2011-12シーズンは2.33という高い数字を残しており、神様の悪戯も多分に影響しているようです。「キーマッチ」については、「ターンオーバーが苦手な監督を苦しめるチャンピオンズリーグが、その次のゲームを勝ち点ロストに追い込む」という指摘です。なるほど。記事は「今季はどうなるでしょう?」で締めているのですが、11月までは順当に来ているアーセナルの現状を整理してみましょう。

長期離脱はメルテザッカーとウェルベックのみ。負傷が多かったロシツキとウィルシャーはチームを離れており、同じくメディカルスタッフのお得意様だったウォルコットは、カソルラともども早期に復帰できそうです。今季のアーセナルはケガ人が比較的少なく、戻ってくるのが早いのが大きな変化です。対戦相手については、はっきり申し上げて最悪です。ノースロンドンダービー、マンチェスター・ユナイテッド、パリ・サンジェルマン、ボーンマス、EFLカップのセインツ。強豪3つと嫌いなセインツ、唯一の救いはアウェイゲームがオールド・トラフォードしかないことです。試合数、ライバル対決、キーマッチの3点セットは完全にジョーカーを引いたガナーズが、より充実した戦力を活かして負傷者を出さずに11月を勝ち切れるかというお話です。

さあ、予想してみましょう。私のベットは「いける!」。理由はシンプルで、「強豪と呼ばれるなかでも、いいところと当たったから」です。ハリー・ケインが病み上がりでアルデルヴァイレルトがいないスパーズは、最近6試合を4分2敗と勝利なし。ソン・フンミンが打ち止めとなった攻撃陣は6戦で3点しか獲っておらず、自慢のプレスと速攻が効かなくなってきています。プレミアリーグ8位のマンチェスター・ユナイテッドも最近4試合でわずか2ゴール。ズラタンは沈黙、ポグバとバイリーは負傷離脱で、マタさえ抑えられれば怖くありません。昨季は独走だったパリは、珍しくリーグ・アン3位。ズラタンを失ったチームは得点力が落ちており、カバーニとルーカス・モウラ以外に得点源がありません。アーセナルにとっては、与しやすい相手が揃ったのではないでしょうか。怖いのは、むしろ内なる敵、負傷です。アレクシス・サンチェス、エジルとCBが元気なら、過去のデータを裏切る充実の月を過ごせるのではないかと思います。

2-3と辛勝だった11月最初のルドゴレツ戦を、「苦しい季節の始まり」と見るか。ファーストタッチで決勝アシストを決めたエルネニーの底力と、CLで4試合4ゴールとメッシの次にゴールが多いエジルの覚醒を「選手層も得点力も上がって、きわどい試合を勝てるようになった」と評価するか。ティエリ・アンリが「ジルーでは優勝できない。ワールドクラスのストライカーが必要」と批判したガナーズは、新しいストライカーがノーゴールなのに首位と並んでおり、ジルーの復調でスカッドはほぼ万全。私は、このチームは相当強くなったとみています。「リヴァプール、マンチェスター・シティ、チェルシーよりも」とは胸を張っていえないのが、名将が揃ってしまったプレミアリーグの難しいところなのですが…。

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“例年通りの落ち込みか、戦力強化で無敗継続か…好調アーセナル「鬼門の11月」を占う!” への4件のフィードバック

  1. だしまる より:

    いよいよ魔の11月。今年のCLは早めに勝ち抜けが決まり、メンタルに余力あり。トッテナム・ユナイテッド戦を切り抜けられれば、選手たちにも俺たちいけるんじゃねという強い気持ちが出てくるのではないでしょうか。ここ数年かけて出来上がった今のチームは総合力でかなり強いはず。怪我人もフィジコ効果と層の厚さでカバーできるはず。私も今年は行けるに一票!

  2. ヤンガナ大好き! より:

    この記事、読みました!ガナーズ、通年でも11月の勝率、低いですね!

    自分は今期については3条件付きで行けると思ってます。 

    ① ターンオンバーをしっかり行い、エジル、アレク、両CBを酷使しない。
    ② 強豪との対決はゼロトップフォーメーションで堅守速攻を軸に、試合の中でフレキシブルにプランを変える
    ③ノースロンドンダービーに勝って勢いをつける

    ずばりキーマンはコクランだと思っています。今期のスタッツは目を見張るものがあり、強豪とのゲームでは彼のクレバー且つ泥臭い攻守が鍵になると考えます!

    エジルが代表ウイークオフになったのもかなり朗報です!これだけ怪我人が少ないのも久しぶりなので、今年のガナーズには期待したいです!

  3. おっ より:

    エジル、サンチェス、コシエルニの怪我がなければ安定して勝ち点を積めると思いますが、
    「強い」とは思いつつ、どこか穴のあるアーセナルですので、応援する側はハラハラしますね。

  4. makoto より:

    だしまるさん>
    ダービーは分けてしまいましたが、アーセナルが強くなったことに関しては疑いなしです。いけると思います。

    ヤンガナ大好き!さん>
    3条件、共感しております。3つめはなしえなかったものの、ここから年末までを勝ち点を落とさず走り抜けられれば楽しみが増えますね。負傷者が少ないのが何よりの好材料です。

    おっ さん>
    きれいに決めようとしてしまうのが、懸念ですね。ジエゴ・コスタ、イブラヒモヴィッチ、アグエロのように、多少無理めでもとにかく打つ選手がいれば、きわどい勝負でも勝ち点をもっとひろえるのではないかと思います。そういった意味では、ラムジー、ウォルコット、ルーカス・ぺレスに期待してます。

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